社会問題小説・評論板

Re: 死ねない訳 ( No.4 )
日時: 2013/10/20 17:12
名前: レラン (ID: pqUQa2Av)

あれから4年が経った。
実際、今もやはり友達と呼べる存在がいない。
ただ、『気が合うから一緒にいる』という人が1人。
何故か付いてくる、『友達ごっこ』をしている人が1人。
それが、自分の知っている人だった。単純に言えば知人。
あとは、全て他人だった。
同じクラスの人でも、みんな見かけない顔だった。
こんな人がいたんだ。と、小6になってそう思うことがある。
やはり、自分は少し変だ。
小6にもなって同級生に友達がいないのも、同級生全員が知らない人なんて、僕は一体、どれだけ変わりものなのだろうか。

自分は一人ぼっち。友達がいない。変。そんなことを考えながら、今日も窓の外を眺める。
授業時間はだいたいそんなもんだ。塾にも行ってるし、先取り勉強をやっている自分にとって、授業はつまらない。すぐに答えが出てきてしまうほど、単純すぎるのだ。
鳥が何羽か飛んでいる・・・・・・
鳥はいいな。自由で、仲間も多い。相変わらず、僕の世界は狭く、自由なんてない世界だ。

「-----------はぁ。」
『普通』ではない自分に呆れて、ため息が出てしまう。
「どうしたの??」
授業中に本を読む、間抜けな俊が言った。いつものことだというのに、今日はなぜか聞いてくる。
「いや、別に。何か自分に呆れてさ。」
「ふーん……」
何かと突然俊はいろいろ聞いてくるのだが、一体、聞いて何がしたいのかがわからない。
質問に答えると、いつも「ふーん……」と、返事をしてあとは何も言わない。おかしな奴だと僕は思った。いや、それ以上に変なのは僕なんだけどね。


「---------それでは授業を終わります。」
担任の声と共に、なんと言っているのかわからないほど声を張り上げて、男子が廊下に飛び出してゆく……。もちろん、俊も飛び出していった。
女子も、図書室や、違う教室に遊びに行った。先生もいない。
いつも教室では一人だが、今日は違った。
左前に座っている、男子生徒。井沢優が、教室に残っていた。
確か優はクラス一の優等生で友達も多く、いつも誰かと話してる。
明るい性格で、誰からでも好かれている。僕とは正反対なやつだ。と、僕は思った。

僕いつもどおり、僕は絵を描き始める。
今日は何を書こうか……
いつも迷うのだが、最終的に初音ミクか、鏡音リンなどのボカロキャラを描いている。でもさすがに飽きたな。
オリキャラでも考えてみよう。
集中しながらただ、絵を描き続ける………。
白い髪のポニーテール。服装は可愛いけど、少し目つきが悪い。
なんなのだろう。このキャラは。自分でもそう思う。
失敗した。そう思い僕はスケッチブックを破り捨てようとした。
その時だった。
「あっ待って!!ちょっと見せて………。わぁ、すごい。いいなぁ。絵が上手くて。
前の図工の時描いた絵も霊奈さんの絵がコンクールに出されて、賞もらってたよね??いいなぁ。」
突然、優が声をかけてきた。初めて褒められたし、声をかけてもらったことがなかった僕は、少し戸惑った。
戸惑っていながらも、
「あ、ありがと。でも、この絵は失敗作だよ??絵も上手くないし。」
自分はかなり焦ってたし声は小さい。ダメだ。すぐに嫌われる。
そう思っていた。
「えぇ!!そうなの?!!こんなに絵が上手いのに?!!僕はこれいいと思うよ?!上手すぎるでしょ。絵の才能あるよ?」
あまりにも意外な答えだった。笑顔で僕に話しかけてくれた。褒めてくれた。
こんなこと初めてだった。嬉しくてたまらなかった。
誰かと話しをすると嫌われるし、みんな遠くなっていくのに彼は違った。
本当に嬉しかった。こんな突飛な出来事は、何年経ってもきっと忘れないだろう。