社会問題小説・評論板

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.7 )
日時: 2014/02/28 18:36
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

toくるみ

「入るよー」
返事がないけれど 寝ているのだろうと考えて 入った

「あ…くるみ」
薄々目を開けた優希に

「…どう、気分は?」
とあたしは言った。でも顔がほてってるから 絶対ダウンだろう。

「…さっきより…悪いかも。でもたぶん大丈夫だから」
と布団から立ち上がって、今日の割り当ては何?と聞いてきた

「待って」
あたしは優希の額に手を当てて、言った

「…まだ、熱あるよ。無理しないで。あたしたちが分担してやるから。心配しないで」
と体温計を渡す。

丁度持ってきたお茶を渡すと、勢いよく飲み干した

「…ありがと」
とコップを渡す。

「…」
しばし沈黙が続いた。


——ピピッ ピピッ

「…38.3…ダメじゃん。割り当てどころじゃないよ。早く寝な。たぶんあしたもダメだね」
体温計をしまい、氷枕を新しいのに取り替えるために、一旦キッチンへ

(…ふう)
こういう風に何かやっていると 気持ちもまぎれる

冷たいタオルと お茶と氷枕と 後、お薬

「どうぞ。あ、くすり、お茶で飲んで汗」

「…ありがと」
そのまま、部屋を離れた

———
それから二時間くらいたった。

もう六時だ。皆クタクタになって、リビングにやってきた

「わ、肉じゃがだー!美味しそ。うめ大好き」
と、小梅がニッコリ笑い、ゆずが言った

「ほんとだー おいしそう!。」

「えへ、ありがと。」
あたしは褒められて嬉しくなる。
優希の分は おかゆをさっき持っていった。

『いただきまーす』
全員、あいずも何もしていないのに なぜか声がそろう。これが五つ子ってものなのだろうか。

「おいし」
我ながら 良くできた。
と思っていると、扉が開く音がした

「・・父さんか母さんでも帰ってきたか?」
翔太が、怪訝な顔をした。

両親の顔を見るのはもう一週間ぶりにでもなるか。

「…そうっぽいよね。泥棒とか空き巣じゃあるまいし」
小梅が笑った

「それじゃあ 鍵閉めたはずなのに開かないしね」
とゆずが言う

「見に行ってみようか」
と、行儀は悪いのだが席を立った。

——
廊下は、リビングと違って少し寒い

「……」
玄関が見えてきたあたりで、お母さんが帰ってきたと気付いた

「お帰りなさい」
そう言うと 

「ただいま」
と声が帰ってきた

やさしげなその声は さしぶりに聞いた気がする

「お母さんの分の夕食、あるよ。食べたら」
そう言うと、お母さんはにっこり笑った

「そうするわね。本当はわたしが作らなきゃいけないはずなのに。くるみ、いつもありがとう」

でもお礼されるだけ。

「ううん、いいよ。」
コートを脱いで お母さんが、部屋のところにかけた。

「頂きます」
リビングに入ってきたお母さんに、小梅が怪訝な顔でにらみつけた

小梅だけじゃない、翔太も柚香も皆お母さんのことをあまりよく思っていないみたいで。

何にせよ あたしたちを野放しにして 何もしてくれないのだから

でも本音は お母さんが好きなのだけれど。

「あら、優希は?」

「熱があるから 上で寝てるよ」
誰もしゃべろうとしないので、あたしが言った

「そっか。ちょっと様子見てくるわ」
と お母さんが立ち上がった

「寝てると思うし いいんじゃない?」
小梅が上目使いで言った

誰も あなたに顔を合わせたくない

その瞳がそう物語っているようだった。