社会問題小説・評論板

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.9 )
日時: 2014/02/28 19:16
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

to優希

「!」
一階から聞こえる、口論の声に目を覚ました

父さんと、母さんか。
この前から 一週間くらい、友達の春輝がしばらく学校に来なかったことがある。

その内容は、「家の事情」で

後から聞いたらその「家の事情」とは親の離婚だった。ということを知り、今では違う学校に通っていると聞いた。

そのことを思うと うちの親もそうならないだろうか。とちょっと怖くなってしまった

「…はあ」
暑いのに なんとなく布団をかぶって、口論の声が聞こえないように、これ以上考えないように 枕で耳をふさいだ。

喉の渇きに 置いてあったお茶を飲んだ。

「完全ダウンしたな・・」
ここは 翔太&優希の部屋で、優希は下の段、翔太は上の段で、毎日二段ベットで寝ている

額に手を当てて、あまりの身体の不調に何度も寝返りを打つ
暫く、ずっと時計を眺めていると、翔太が上から顔を出した

「ゆうき 大丈夫か?」
大丈夫じゃない。けど——…

「・・大丈、夫・・だけど……下から、声が…」
と言うと、そうかな?と翔太が耳を澄ませた

『そっちこそ!あなたが真面目な職業につかないから わたしまで働いているんでしょう?』

『収入も大したことないくせに威張る権利はおまえにない!』

『わたしの収入に頼っているくせに!』

「…確かに。父さんと母さんだな。くるみたちに相談しようぜ」
と ドアを開けて、フラつく俺を翔が抱きかかえてくれる。

「入る…ぞ」
有無も言わせずに、部屋に入った

「・・どうしたの?」
柚香と小梅は寝ているようだったけれど、くるみだけは起きていた。

二段ベットに 小梅と柚香は寝ていて、その横にL字型にもう一つ二段ベットが並んでいる

(■□
  ◆)■=一段目 ゆずか □=二段目 小梅 ◆=一段目 くるみ

でも一段目は、ベットじゃなくて机と収納で 二段目にくるみが寝ている

「…父さんと、母さん、ケンカしてる…」
おぼろげに俺がそう言うと、くるみは頷いた

「そうね。ゆず、うめ おきて」
くるみは、柵を飛び越えて 柚香を揺り起こし、梯子を下りて小梅を揺り起こす。

「なに?」
柚香は、俺と翔太を見て 梯子で降りてくる

「眠いよ」
小梅も目をこすりながら、俺たちを向いた

「父さんと母さん 夫婦喧嘩してる」
翔太が言う

「さっきから お皿が割れる音がするし。」
くるみがそう言った

「え!皿?」
小梅が そう言った瞬間、物音が貫いた

ガッシャ————ン!!

「…お皿でも投げて、割った音っぽいだろ…?」
と、止めに行こうと俺が立ち上がる

「ゆうき。だめ。」
俺はくるみに腕を掴まれた

「——なん、で」
ぐらっと視界が揺れて、斜めに倒れそうになるのを翔太が受け止めた

「…ほら。熱あるでしょ?まだ。それに、あたしたちは 明日学校があるの。もう12時 速く寝なくちゃならないよ。あたしがお母さんたちを止めに行く。だから ゆうきは寝てて」
くるみが言った

(なんで くるみばっかり)

くるみばっかり。

くるみが言うことは正論で正しい。

でもくるみばっかり頑張りすぎ。

「くるみも女だろ。皿投げれるヤツと居たら 危ないだろ。俺が止めに行く。俺が止められないならくるみを呼ぶ。俺が止める。だからゆうきは病気をなおせ。」
翔太が横で言った

「……分かった。でもダメそうなら あたしを呼んでよ」

「分かってる。」
翔太はそう言うと、リビングまで向かおうとするが

「……お願い、わたしも行かせて。」
柚香が、立ち上がった

「あ、あたしも!」
小梅が立ち上がるが、無力に くるみに二人でじゅうぶんだよ と引き戻される

「じゃあ柚香と翔太に頼むよ」
くるみが 初めて人に頼った。