社会問題小説・評論板

Re: 追憶と悪夢 リスカット中毒 ( No.3 )
日時: 2014/07/28 09:11
名前: 儚恋 ◆4z4yLUbQKo (ID: jyOVwInT)

to1 日の光が開かされる前に




「えっ? 葵、優真のファンクラブ入らないのっ?」
親友の有紗が大きい声で、ランチルームを喚かせた。


「ファンクラブ・・・?そんなのあるの?」
わたしは、チラッと、遠く離れたテーブルに座る、優真を見た。

「ま、お二人は仲良さそうだし、ファンクラブ入らなくても、話せるから良いんじゃないの?」
くるみが、サンドウィッチを口に運んだ。

「ずるーい・・」
有紗がガックリと肩を落とした。

わたしと優真は、吹奏楽部という点で、さらに担当楽器がわたしはフルート 優真はサックスで、
最近はペア演奏をしている。という点から、フツーに仲良くしていた。

「い、いや!恋愛とかそーゆーの無いから、大丈夫!」
わたしが言うと

「…怪しい…抜け駆けは無しだからね?」
と有紗は言った。


優真は、美少年&性格が良いことで、女子から人気を集め、有紗も実は一途に想っていたのである。

勿論、わたしも応援したかったし、わたしが優真を好きになることはない。と断言出来た。


「あら、有紗さん、わたくしもファンクラブ入るのだけれど?」
と、後ろから有紗に話しかけてきた人が居た。


「…うあ?零条さん…?」
有紗がぞっと ゆっくりと後ろを向いた。

零条レイカは、この私立中学校での、お嬢様。
顔も良いし成績も良いという、憧れの域に入るような人間であるが、

常に取り巻きを連れた中学三年生である。

Re: 追憶と悪夢 リスカット中毒 ( No.4 )
日時: 2014/07/28 09:10
名前: 儚恋 ◆4z4yLUbQKo (ID: jyOVwInT)

「有紗、じゃーね。」
くるみが手を振った。

「うん、バイバイ。」
有紗は踵を返し、走ってグラウンドに向かった。


放課後の話である。


くるみとわたしは吹奏楽部。
有紗は、陸上部である。

特に有紗なんかはレギュラーで、短距離走もやってる。
足が速くて、運動音痴なわたしとはちょっと違う。

逆に言えば有紗は、ほぼ音符に撃沈というほど、音楽音痴でもある。
有紗に歌を歌わせたら一発死亡。


今日も吹奏楽部があるので、わたしとくるみは、音楽室に向かって歩いていた。


「——零条先輩、やっぱり優真のこと好きなのかな?」
わたしが言った。

「そうだろうね。葵のことを、妙に嫌ってるからね。」
「わたしのことを?どうして?」

「分かんないの——?まあ…」

くるみは、優真が葵を好きだから と言おうとして、とどまった。

(ダメだ、鈍感な葵にこれは告げても意味がない。)

「…くるみ?」
わたしは、考え込んだくるみに、声をかけた。

「何でもない。」
と言った。


わたしは、
くるみは少し無愛想だけど 優しいんじゃないかな。と思ってる。


 音楽室をガラッと開けると

一瞬わたしを振り返った。

(零条先輩・・・たち?)



ここ最近 吹奏楽部の雰囲気が悪い。


もとから雰囲気悪かったんじゃないか。と、わたしは思っている。


体験入部の時は優しくしてくれた先輩が、全然雰囲気ちがう。

ナルシストな先生に、イライラすると自分たちに怒りをぶつけてくる先生が居る。



・・・どういうこと。





「吹奏楽部!集合してくださる」
レイカが音楽室の中央に、全員を集めた。

レイカは体験の時から雰囲気は変わらないが、吹奏楽部の部長らしいことをしているように見せかけて、前の部長と全く違う雰囲気に吹奏楽部をしてしまった。

と、わたしと親しくしてくれる二年生と三年生が言うのだ。


「零条先輩は、前から思っていたけれど、だんだんと吹奏楽部を壊した。」と言わば言葉は何回か訊いた。




「出席を取ります。パートに別れて何時もの席に座りなさい。パートリーダーは、パートの中で休みが居たらわたくしに報告をすること。」

わたしの所属するパートはフルート。
でも人数があまりいないので、サックスと一緒にされている。

Re: 追憶と悪夢 リスカット中毒 ( No.5 )
日時: 2014/07/28 16:12
名前: 儚恋 ◆4z4yLUbQKo (ID: jyOVwInT)

わたしの所属する吹奏楽部は、全52名

となると、あまり指示も行かないというのも現状である。
従わない先輩もいる。

フルートは3人で、今は2年生の大原杏花先輩とわたしと、三年生の千賀春奈先輩だけだ。

なかなかフルートは難しいので、たまにアドバイスをもらう。
大原先輩は、すごく優しい先輩だ。
千賀先輩も 悪い先輩ではないのだけど…

「葵」

「は、ハイ!」
千賀先輩がチラッとこっちを向いた。

「次、サックスね。北山、大川、出茂、長瀬、清水。」
全員いるね。
と、確認をしずに声に出して言う千賀先輩は、報告をしに行ってしまった。


「ね、やっぱり千賀先輩っておまえのこと広い目で見てる。」
「え?」
優真が隣から声をかけてきた。

「…ゆうまだって、別に嫌な目で見られてない…「違う。お前は、大原先輩を抜かして 下の名前で呼ばれてるだろ?親しい感じだから」


「出席が終わったら、全員外でランニング。学校の外周を1周したら先生を待つことです。打楽器もさぼらずに。」
そう言った零条先輩は、見た目にあわず、金管楽器でバリバリ走り出す。

体力があるのである。
普段はけな気なかんじだが、走るのも早い。

1年が疲れ果てていると、途中でやってきた先生に何か言われるので走るしかなかった。




        ф


先生が来た。


「それじゃとりあえずパートで練習15分間。」
その目黒先生だ。

音楽室に戻ると陽気に出てきて、そう一言言った。

練習しろと言われたから練習をしているのに、生徒の練習の邪魔をしては、それに逆らうと暴力を振る。


「一緒に合わせてみようか。」
と千賀先輩が言いだしたので、ある部分からある部分までを目安に、三人で吹き出した。

その最高潮に至って居る時に、あの先生がやってきた。

「おう、千賀ちがどうだ?最近、頭から血が出たって聞いたんだが。」
(・・・)
わたしは、そのダジャレに絶句し、吹く音を止めてしまった。
大原先輩も、なるべく楽器の方を見、演奏を辞めなかった。

その瞬間、千賀先輩がうすうす言った。

「——・・・死ね・・・消えろ・・・」
そのまま、大原先輩に合わせたわたしと、大原先輩の演奏が続く。

千賀先輩も普通にまた、冷静な顔で合わせだした。




(・・・嫌だ…)
音楽知識もない先生が なぜ、顧問なんかやっているの?

Re: 追憶と悪夢 リスカット中毒 ( No.6 )
日時: 2014/07/28 16:31
名前: 儚恋 ◆4z4yLUbQKo (ID: jyOVwInT)

こんなのしょっちゅうのことだ。


やられたこともある。


って大原先輩は怯んだ様子もなく、着々と演奏を進める。
なのにわたしは、まだ怖くて、演奏を止めてしまう

(直さなきゃ)


「…ん、あたしリード変えてくる。」
千賀先輩は席を立った。

大原先輩は、わたしの方に話しかけてきた。

「今日、青川先生が、説教してたから 機嫌が悪いと思うの。気を付けて。」
「分かりました。ありがとうございます。」
わたしは笑顔で言った。

大原先輩の声に凄く落ち着いた。

先生は消え、どこかへ行ってしまった。
自由に練習と言った感じ。

打楽器とフルート以外はざつだんになってる。

千賀先輩も来て、パート練をしていた時だった。



「—先生、来るの遅くないですか。」
くるみのパートの先輩が立ち上がって 零条先輩に言いに行っていた。

「そうですわね。そろそろ職員室に見に行きましょう。ありがとう。一年、今日は…そうね。」
とファイルを見て、名前欄を広げた。

「黒川、狭川、清水。呼びに行ってください。」


「・・はい。」
くるみは低く返事をする

「分かりました。」
わたしも立ち上がった。


「——・・・了解です。」
優真も立ち上がり、三人で向かった。