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社会問題小説・評論板
- Re: 学級崩壊 ( No.2 )
- 日時: 2014/11/22 16:53
- 名前: 藍里四季 ◆dcuKuYSfmk (ID: IfRkr8gZ)
一話 学校
すぅ、と校門の前で息を吸う。
「……戻ってきた」
再びこの地に、戻ってきた。
あの時、もう二度と訪れないと決めた地に、再び戻ってきた。
「綾乃……?」
低く、ほんの少しかすれた、男子の声。
聞いたことのない——でも、どこか懐かしい声が耳に届く。
「……荒川」
振り向くと、色素が薄い茶髪の、長身の少年が立っていた。
「何年振りかしら。あなたが私を自殺にまで追い込んだ時振りだから——三年振り」
私はにっこりと微笑み、荒川蓮(アラカワレン)に一歩、近づいた。
「あの時は——ごめん」
荒川は深く、頭を下げた。
「ごめんで済んだら警察はいらない。私、まだ許したわけじゃないから」
私は荒川を一瞥すると、校舎に向かって走り出した。
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