社会問題小説・評論板

Re: 朽ちる花のごとく ( No.2 )
日時: 2015/02/13 03:21
名前: 園原 (ID: NGqJzUpF)

第2話 とある村の話


教室に入ると、クラスメートが一斉にこちらを向いて挨拶をしてきた。だが、いつものように駆け寄ってくるのは、友達_というよりは囲いと言うのが正しいのであろう_の阿里沙だけだった。少し違和感を感じた時、阿里沙が口を開いた。

「あっ、美姫っ!聞いた?鈴木の話っ」
「…聞いてないけど、どうしたの?」

本当は廊下で聞いたが。
阿里沙の問いにわざとらしく首をかしげて答える。

クラスメートがひそひそと一点を見つめて話していた。

鈴木の席だ。

アイツの…。

鈴木優。

地味で冴えなくてのろまでムカつくアイツ。

無駄に真面目だから、こんなHRギリギリの時間に登校してくるはずないと思うけど。

っていうことはやっぱり…。

「転校、するんだってぇ!」

阿里沙の猫なで声が耳にねっとりと張り付く。

「アイツさぁ〜?どんなに"お仕置き"してもぜんっぜん何にも言わないの!!つまんないよねぇ〜?まぁでも結局、一週間しか持たなかったけどぉ」

"お仕置き"。

女王様から嫌われると、女王様の召し使いからお仕置きを受ける。それがこの"国"のルールであり常識。

そしてお仕置きに耐えられなくなった者は…国からの追放、すなわち転校を余儀なくされる。

「そうね」

短くそれだけ言って席に座ると、鈴木の席にいた一人の生徒が近づいてきた。

「伊賀崎さんっ…」

話しかけてきたのは、ムカつくほどまっすぐな瞳をした奴だった。