社会問題小説・評論板
- Re: 「「貴方にはわからないでしょうね」」 ( No.5 )
- 日時: 2015/10/31 12:42
- 名前: 蛍 (ID: IqVXZA8s)
[第3話]
——…なんで二人は——なのに、ふみちゃんは可愛くないの?
——またあいつが最下位だぜ
—あの子はよく出来るのにねぇ
——…
…
「———ッ」
目が覚めると病院—なんてことはなく、何度もお世話になった保健室の天井があった。
息が荒い。頬にはガーゼなのか湿布なのかよくわからないもので処置がなされていて、痛みは少し和らいでいた。
どうやらあの後、倒れてしまったようだ。我ながらボールが頬に当たっただけで倒れるなんて、情けない。日頃の不規則な生活が原因だろう。
「…目は覚めた?」
ベッドのまわりを覆うように閉められていたカーテンが開けられ、隙間から見慣れた顔が見えた。
保険医の佐久間先生だ。美人で、生徒からの人気も高い。
そして、先生は学校内で数少ない、私を理解してくれる人だった。
「先生…。ありがとうございます」
「いいのよいいのよ。また白城さんにやられたのかしら?」
「……わかりません…でも、多分そう、です」
「ごめんね、先生が助けてあげたいけど、白城さんは…」
そこで先生は言葉を濁し、代わりに微笑んだ。
なんとなく言いたいことはわかる。彼女の親はどうやら学校に寄付もしているらしく、逆らったら先生の首はない。
そんな危険なこと、先生にはしてほしくない。
「そういえば…ここまでは鈴森さんが運んできてくれたのよ。すごく心配そうにしていたけど」
…また、あいつだ。あいつの名前なんて聞きたくない。ぎゅっと拳を握り、沈黙を守る。
「あぁ、ごめんね…。楯山さんは鈴森さんのこと、苦手なんだったっけ」
「…失礼、します」
素早く立ち上がり、乱れた髪と服装をととのえて保健室から出る。先生はびっくりしていたが、優しく手を振って送り出してくれた。
教室に戻ると二時間目の授業の途中だった。数学の先生は体操服で入ってきた私に向けて、着替えてきなさいとだけ短く告げ、私は机の上の制服を抱えて更衣室に向かった。
ちょうど着替え終わった時、二時間目の終わりのチャイムが鳴った。更衣室から出るとどのクラスかもわからない男子たちが廊下を走ってきて、その中の一人に衝突してしまう。…やばい。もし1組の人だったら……
「ごめん!!大丈夫!?」
ぱっちりとした二重に、やんちゃな印象の八重歯を持つ顔の整った少年がそこには立っていた。
