社会問題小説・評論板

Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.9 )
日時: 2015/12/14 18:44
名前: 雪 (ID: knWr5sbP)





「絵梨さん、ただ無視するだけじゃつまらないんじゃないかしら?勿論、あなた達のことを思ってよ。
私たちが見たいわけじゃないわ」

「...そうですか。でも、余り外傷が残るのは危険なんじゃないですか?
咲良の父などに通報されたら終わりです。この行為は入学する生徒のみに知らされるシステムですので
咲良は苦学生じゃないし、通報でもしようと思えばできます」



「あら、大丈夫よ。私の方からストップを掛けておいているから。それに絵梨さんは学校の中で一番のお金持ち。
証拠なんて何ひとつない。もし通報したとしても、私たちを陥るためについた嘘。
その傷は自分でやったものだって、言えばいいのよ」

「...そうですか。そうですね、じゃあ皆...」



大金持ちの美人教師と学園の女王様、絵梨との会話が終了すると、私はすかさず笑顔で答えた。
「はぁい」
今は6時間目。火曜日の6時間目は「いじめ」だ。6時間目は皆が好きに玩具で遊んでいい。
私は皆と暫く相談をし、体育館倉庫からバスケットボール20個、野球バット5本。


職員室から鋏2つを持ち出し、廊下を思い切り走った。遅れない様に、遅れない様に。
私はバスケットボール5個程を持った。そして着くと、早く早くと皆が背伸びをしてこちらを見ていた。

「絵梨様、お持ち致しました」

「あら涼、有難う。皆、好きにいじめていいわよ。
だけど死なない程度に」

そういうと、歓声とともに少女たちはバスケットボールや鋏、バットを奪い合う。結局27人が痛め付けた。
私は鋏。
咲良は雄叫びを上げる。鋏で皮膚を切られたため、腕から出血していた。思い切りバットを振り回され、顔に当たった。

バスケットボールを投げつけられ、床に頽れる。
床に落ちたバスケットボールを皆で奪う。




絵梨はただ、見ていた。救い出してあげたい、咲良が可哀想。こんなことなんかしたくない。
そんな、哀れな目で。