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「おーい、何騒いでんだ？入学式始まるから廊下に並べー」
教室を覗いて男の教師が声を張り上げる。はーい、とさっきの事が無かったかのような明るい声で返事をする。

入学式は体育館ではなく、学園の講堂で行われた。
教師のする話が長くて寝てしまう生徒もいた。
「理事長のお話」
そのアナウンスが流れると、寝ている生徒を隣の生徒が小突いて起こす。水を打ったような静寂が訪れた。

そんな講堂に理事長が姿を現す。
「理事長、お願いします」
理事長の話が始まった。
「中等部一年の皆さん、初めまして。私は赤河辺学園の理事長、赤河辺 光彦です。宜しくね」
ニコッ、と作り笑いをする。その顔は春花の方に向けていた。

「今年から私の娘が入学するんですよ。見かけたら是非声をかけてくださいね。誰にでも優しい子ですからね」
話の内容は娘の自慢話だった。その後も自慢話は続いた。

＿＿娘の自慢話だなんて。ここは無茶苦茶すぎる。何が「いい子」だ。ちゃんと娘の事を見てるの？

女王気取りの春花を見た澄菜は理事長に苛立ちを覚えた。
そしてこう思った。

理事長を潰し、学園の制度を変える、と。自分は負けない、と。