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社会問題小説・評論板
- Re: 薄桃色のカーネーション〜幸せの花束〜 ( No.4 )
- 日時: 2016/03/31 22:30
- 名前: ニンジン×2 (ID: l9lUJySW)
四話 薄桃色のカーネーションと白いカーネーション
麻衣が亡くなって一週間後、葬儀が行われた。
写真の中の麻衣を見ていると、とても悲しい気持ちになった。
お坊さんのお経なんか耳に入ってこない。
ぐっと歯を食いしばり、涙をこらえようとした。
それでも勝手に出てくる涙は、私の黒い服を濡らしていった。
1時間ほどたって、葬儀が終わった。
私は直ぐに、棺桶の中に駆け寄った。
その中にいる、生きていない麻衣は人形に見えた。
“人形の様な麻衣”の手には———————————
私が事故の日に落とした、コロンが握られていた。
「………っ!!」
麻衣の手からコロンを取り、逆に新しく買ったコロンを握らせ、葬儀場を出た。
お葬式から帰る途中に、麻衣がバスに轢かれたところに寄った。
そこに、白いカーネーションの花束を置いた。
花言葉は“私の愛は生きている”
素敵な花言葉でしょう?
でもね、白いカーネーションは、亡くなった人に贈るものとされているの。
薄桃色のカーネーションの花言葉は、感謝の心。
花言葉の意味が違いすぎるな……。
白いカーネーションにしてごめんね、と心の中で謝りながら、手を合わせた。
その花束は、メッセージカード付き。
お花屋さんで、特別にもらったメッセージカードだ。
「麻衣へ
ごめんね。麻衣。
きっと許してくれないよね。分かってる。
私、麻衣を殺した。
初め、私は麻衣が事故にあったことを運転手さんのせいにしてたよね。
でも、あれは私がコロンを落としたのが悪い。
麻衣もそう思うでしょ?
本当にごめんなさい。
そして、さよなら。
凛より
」
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