社会問題小説・評論板
- Re: そんなつもりじゃなかったんです【短編集】 ( No.1 )
- 日時: 2016/02/15 20:20
- 名前: ミミ (ID: bUOIFFcu)
その1 女王様は形だけ-1
「あのさぁ...あたしを馬鹿にするとか神経どうかしてんじゃないの」
教室。
夕焼けのオレンジ色に染まる放課後の教室で、私は足を組み、教壇に座っていた。行儀悪いことこの上ないけど、先生もいないしまあいいでしょう。
教室の真ん中、わざわざ机と椅子がよけられている円状の空間には、ひとりの女子生徒。同じクラスの子である。
その周りには、私の方だけを空けるようにしてその子を囲む少しの女子生徒たち。こちらも同じクラスの子たちである。
「はは、あんた自分の立場わかって言ってたの?んなわけないか、あんた頭悪いし?あはは、学年200人中150位以下の底辺ですもんね?」
言葉を重ねる。
簡単にいきさつを説明すると、この子...石野 梓季(いしの あずき)があたしを見下した発言をしたため、制裁中、といったところか。具体的には、「おはよ〜、今日も背ぇちっちゃいねぇ?」「うわ、何もないとこで転ぶとかだっさ!ダッッッサ!」とかっていつも言ってくるってことかな。
まあ、ただちょっと馬鹿にして、面白がってるだけなんでしょう。わかるよ。特に深い意味はないって。
でも。
...ふざけないでくれる?
身長で負けても、天然でドジでも、あたし、あんたより確実に頭いいし。
歌も上手いし絵も上手いし、生徒会もやってるし、友達も多いし、運動も出来るし、人望も厚いし...っ、可愛いしっ。
あんたより格上なのよ。
それが、格下のあんたに馬鹿にされる、ですって?
許せない。
許せないわ。
いつもいつも心の底に渦巻いていた感情を解き放って。
最大の嘲笑と最大の侮辱を送ってあげる。
あんたがもうあたしの前で笑えなくなるくらい、学校にいるときにいつだって余裕がなくなるくらい、あんたのことぐちゃぐちゃにしてあげる。
「さあ」
始めようか?
「あたしを馬鹿にした罪を償わせなさい」
梓季のまわりにいた女子たちに言い放った。