社会問題小説・評論板

Re: イツノヒカノモノガタリ ( No.168 )
日時: 2017/01/03 17:55
名前: 光ノ詠 (ID: VpfXouOp)

雨上がりの空 晴れ渡った空が高らかに新しい世界へと誘う
影で漏れ出した噂は 僕の目立つところじゃないところで 芽を育てていた
羽をはやした 疑惑の念はぬぐわれることはない
失った信頼や友情は どんな形であろうと元に戻ったりはしないのだ

入学式 入った扉から異様な声が漏れたのを覚えていた

「また またあいつがいるぞ」

聞こえないふりで通り過ぎ まだ明るく接してくれた女子の輪に囲まれて もう取り繕うことが自然になり果てていた笑みを浮かべ 談笑に入った
‥‥‥よく考えれば僕は今「思春期」という枠に入る男子である
そんな僕が男子とまともに話さず女子の輪に入っていてもいいんだろうか

結論として出てきた答えは「どうでもいいや」
何も考えずに適当に会釈をこぼし 始業の、始まりのチャイムを聞いて…
貶されながら 職員という「建前」の話を聞いていることにした

暗い感情が交差する じめじめとした空気が町中を覆っていた
足早に水たまりの水を跳ね飛ばし 高々と飛び越えて家へと戻った
やる気のなくなった空模様が悪化し 雨が涙のように降り注いだ
母親の怒鳴り声は聞こえない 仕事が決まったのだ
何もしないでいても結果痛みが走るだけなのだ くつろぐように醜悪の世界へ足を踏み入れて寝転ぶ
鏡にはいまだかつてないほどの 無表情の自分がいた
脳裏に先ほどの言葉が詰まった 「またあいつがいる」
あれはなんだ? いやがらせか? どう聞いてもただの憎悪を含んだ言葉にしか聞こえることはなっかった
頬にこぼれた 体温に似た温かさを持つ水滴が なぜか零れ落ちた

…「僕は… 会いたかったんだけど…な?」
静かに聞こえてくる泣き声は 暗がりの中に落ちて

見えないうちに消え去った