社会問題小説・評論板

Re: 子供のストレス ( No.1 )
日時: 2016/12/20 21:45
名前: ニンジン×2 (ID: PLnfHFFW)

「ゆーい! ゆいっ! おきなさいっ! 聞いてるの? ねえ! 九時よ! 九・時!」

ママは私の事をおもいきり揺さぶった。その衝撃で床に落ちちゃった。その痛さで、目が覚めた。

「う〜ん……わかった、起きます起きます、って、九時? 学校は?」

「お休みよ、さっさと朝食食べて、勉強して!」


「優衣! 勉強、私が仕事終わらせる前に全部やっておきなさいよ! 

最難関の中学に受からなかったら、高校受験でリベンジさせるからね!

あ、そうそう、今日は学校お休みよ。

だって前回の模試の偏差値五十七よ! 

今日は一日中勉強してなさい!」



 ママは鬼のような形相でぎろりと私を睨み付けた。

 また始まったよ。ママのお受験ゲーム。

 机の上には膨大な量のテキストがおいてある。始めは終わらなかったけど、今はママが帰ってくる前には終わるようになった。

ママは私の事を過度に期待してる。

多分、大学生のお姉ちゃんが馬鹿だったからかな。

中学受験は失敗して、偏差値三十台のところ、高校受験も失敗して偏差値三十台、大学受験も失敗。二浪してやっとFランクの所に受かったんだ。

しかも一年とちょっと前、中学受験の勉強を始める直前に、パパが死んだ。

 だから私は、こんなに苦しい思いをしているわけ。
  
 机の前に座り、シャーペンを動かし続けながら、問題と一緒に考える。

 私は何で生まれてきたのだろう。

 自殺すれば、楽なんだろうな。勉強がない、楽しい世界に行けるんだろうな。

 お姉ちゃんも、いまだに腕と心の傷が消えない。

お姉ちゃんの部屋の壁には、ところどころ穴が開いている。

今は別居しているけど、まだお姉ちゃんはママに殺されたままだ。
 
 いつか、心理カウンセラーになりたいな。そして、お姉ちゃんを助けたいな。

 絶対にかなえられない夢を思い描き、よけいに悲しくなった。

私には何も権利がない事を、実感できるから。

ママが引いたレールに沿って走るだけ。少しでも止まったら、言葉のむちでたたかれる。

 「私、頑張る! そしてママを見返してやる! 頑張れ、愛川優衣!」

 一人でそう、叫んでみた。すると、涙が一粒頬を伝った。