社会問題小説・評論板
- Re: 悲しみの階段 ( No.11 )
- 日時: 2018/04/01 22:07
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: KG6j5ysh)
第二章 被害妄想
次の日 放課後 屋上で・・・
「どうしたの?橋本さん?話って何?」
明るい顔でこっちを向く。裏切ると思っただけで胸が痛む・・・
でも、やらなきゃ、私は、いじめのターゲット・・・。
1人の友情よりも、みんなの友情の方が大事。
私、そう思ったの。ごめんね?矢田さん。私は、息を吸って言った。
「ごめんね、矢田さん。いや、矢田愛美。スゥッ
・・・嫌いだったの。あんたのこと!大っ嫌いだったのよっ!ビンボー人!!私がわざわざ優しくして、LINEも交換してあげたのに!調子乗りすぎなのよ!!!!・・・さよなら、矢田愛美・・・。」
そう言ったら、私は、すぐに走り去った。矢田さんのすすり泣きの声も聞こえた。奏達の笑い声も聞こえた。でも、私は、走り去った。逃げた。矢田さんから・・・
いつの間にか、下駄箱についていた。悪口を言っているときに涙を流してたけど、それも乾いていた。上履きから外履きに履き替えて、とぼとぼと帰ろうとした、その時だった。
矢田さんが、飛び降りようとしていた。
頭が真っ白になった。
そのまま矢田さんは、芝生の上に、落ちた。
私の せいだった。
仲良くしといて、都合良く、逃げた私に
嫌気が 差したんだ・・・
「ごめ・・・なさい。ごめん・・矢田さん。」
この事が原因で、矢田さんは、植物状態になってしまった。
- Re: 悲しみの階段 ( No.12 )
- 日時: 2018/04/02 09:13
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
「・・・・なにぼーっとしてんのよ、ブス」
私は、綾部さんの言葉でようやく現実に戻された。私は思った。
ああ、これは、矢田さんからの復讐かもしれない。
矢田さんを裏切った、罰なのかもしれない。
今日もまた 地獄のハジマリだ・・・・
一時間目休み、次は体育なので、私はトイレに行ってから、着替えよう…と思っていた。しかし、更衣室に戻って、体育着を置いた場所に行くと…
「ない・・・・!」
体育着が、ない。ロッカーにも、教室にも、ない。
私は、まだ探してない場所と思い、ハッとした。
「体育館・・・・・。」
急いで体育館に行き、隅まで探す。それでもなかった。悔しかった。同級生に隠された体育着を、見つけられないなんて・・・・。
「橋本さん、貴女、なにやってたんですか!?遅刻ですし、見学なら早く言ってください!!」
クラスメートのクスクスとした笑い声が聞こえる・・・。最悪だ。先生にも、嫌われてしまったかもしれない。
あのクラスに、私の居場所は、無いんだ・・・。
改めて、思い知らされた。
- Re: 悲しみの階段 ( No.13 )
- 日時: 2018/04/02 10:48
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
体育が終わって、教室で体育着を探していると。
「探し物は、これかい?」
と言っている颯がいた。颯の顔は、どことなく、いや、明らかに馬鹿にしているような顔をしていた。
そして、手に持っていたものは・・・・。
汚いバケツに入った、私の体育着。
私は、崩れ落ちた。まさか、もう、颯は、幼なじみとは、思っていないということ・・・?私は、ただの、いじめのターゲットになっちゃったの・・・?
私は、にやついてるけど、しっかり軽蔑の色が映っている颯の瞳に、泣きそうになった。だけど、返してもらわないと・・・!
「颯っ!返して!返して!」
「オッケー、返す」
バシャッ!
バケツに入った、私の体育着と一緒に、底の方に溜まってた、泥も一緒に飛び出した。お陰で、体育着も、制服も、ぐちゃぐちゃだった。そして、運悪く菜々美さんたちクラスメートも帰ってきてしまった。
颯は、笑った。
菜々美さんも、笑った。
クラスメート達は、笑った。
私と矢田さんがあの時笑ったのとはちがくて、
私を惨めだと思い、私を見せしめだと思い、
笑っていた。
- Re: 悲しみの階段 ( No.14 )
- 日時: 2018/04/02 12:08
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
《放課後》
私は、矢田さんの入院している病院へ行く。いじめられてからは、毎日のように。
静かな病院の一般棟に、ローファーの靴音が響く。
最初のうちは、この音に淋しさを覚えることもあったが、今はもう無くなった。
〔406号室 矢田 愛美様〕
この看板を見つけ、ドアを引く。すると、矢田さんのお母さんが待っていた。
「あ、海花ちゃん。こんにちは。」
私は、矢田さんを思っているお母さんに笑顔を向けられて、少し胸が痛む。だって、
自殺の原因は、私だから。
矢田さんは、今もまだ眠っている。長いまつげに、夕陽が差し込む。矢田さん・・・。少し、泣きそうになる。すると、矢田さんのお母さんが話を切り出した。
「海花ちゃん・・・。ありがとうね。愛美と友達でいてくれて。」
「えっ・・・?私なんにも・・・。」
「あの子、家から帰ってくるといつも、貴女の話ばっかりなの。5年生の時は、いつも暗い顔して黙ってたの。でも、あの頃は、明るい顔して『新しい友達の海花ちゃんって子がね!!』って、話してくれるの。ありがとう。」
「・・・。」
私は、何も言えなくなった。矢田さんが、そんなに思ってくれてたなんて・・・。
「自殺の事を教えてくれたのも、貴女。きっと、止めようとしたから、一命は取り止めたんだわ、本当に、感謝してる。うちは貧乏だから、どうしても友達はできないし、いじめられやすい。でも、そんな中でも友達でいてくれて、ありがとう。ありがとう。」
少し泣きながら話していた。たぶん、矢田さんの事をとても大事に思ってるから、涙が出たんだと思う。そうだとしたら、私は、私は・・・!
最低な、人間だ・・・・・っ!
耐えきれず、私は帰った。あの時みたいに、裏切ったときみたいに・・・・。
- Re: 悲しみの階段 ( No.15 )
- 日時: 2018/04/02 15:21
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
「はぁっ・・・!はぁっ・・・!」
走って帰ってきたから、かなり息が切れてる。スカートの裾が、握ってぐちゃぐちゃになっている。
——————矢田さんが、あんなに、思っててくれてなんて・・・。本当に自分が、情けなく思った。
本当は可哀想だからと思って友達になってた私が。
本当は奏の方が面白いと思ってしまった私が。
あの子にとっては、私は、私は・・・・!
たった1人の、親友だったのに・・・!
私は、ずっと、被害者じゃなくて、加害者だったんだ。
- Re: 悲しみの階段 ( No.16 )
- 日時: 2018/04/02 15:38
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
次の日————
ベッドから出るのが辛い。今日もまた、朝が来てしまった。お母さんが出掛け際に、
「今度、部活の発表会があるんでしょう?私、行ってみたいわ〜。友達と頑張る姿も見たいし。」
と言っていた。私は思わず俯いた。いじめのことは、もちろん、話してない。何故ならば仕事をしながら女手1つで育ててくれたお母さんに、迷惑はかけられない。そう思ったからだ。私は、心配はさせまいと、笑顔をつくって、
「行ってきます。」
と言った。教室に行くのは恐ろしい。だけど、部活は楽しみ。
だって・・・・・・。
立花先輩に、会えるのだから!
教室に着くと、あるはずのものが、無い。机とイスが、無かったのだ。私は、下唇を噛んだ。惨めな私。悔しすぎる。私は、思った。
今日の部活で、先輩に言ってやるんだから。
机もイスも、ベランダにあった。机には、死ねだったり、ブスだったり。すっかりなれてしまった自分が怖い。怖かった。
- Re: 悲しみの階段 ( No.17 )
- 日時: 2018/04/02 15:57
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
《部活の時間》
私は、吹奏楽部だ。内田くんと一緒なのだけど、グループの関係で、関わるなんてほとんど無い。私は、ホッとしてる。ここが唯一の学校で落ち着ける時間だから。そうなのは、もう一つ理由がある。それは・・・。音楽室のドアが開く。私は、あっ!と思った。
「立花先輩ー!」
私は一目散に駆け寄った。そう。ここで落ち着けるもう一つの理由は、優しい先輩、立花先輩に話を聞いてもらってるからである。しかも、イケメンなのだ。普段は、たくさんの女子達が邪魔してしまうけど、部活の時は、グループが一緒だから、話にのってもらっている。先輩は、私を見つけては、
「あ、橋本。どうかしたのか?また、クラスのやつに何かされたのか?」
と優しく聞いてくれる。私は、愚痴も混ざっちゃうけど、先輩に話を聞いてもらっている。早速、今日の事を話した。
「・・・橋本、そんなことがあったのか。辛いよな。苦しいよな。大丈夫だ。今はお母さんとかに相談できなくても、俺に話せば、少しは楽になるだろう?いつか、生徒指導の先生に言ってやる。これは、犯罪だからな。」
そう言う真面目な先輩の姿もカッコいい。これからも、先輩に話、聞いてもらおう。
それを見ている、内田くんは、先輩を睨んでたとは、知らずに・・・。
- Re: 悲しみの階段 ( No.18 )
- 日時: 2018/04/02 16:33
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
次の日の放課後。
私は、音楽室で吹奏楽の練習をしていた。いつか、もっと上手くなって、先輩に、見てもらいたい・・・。先輩の事を考える度、うきうきしてくる。しばらく練習していてて、もう帰ろうかな、と思った時。
ガラッ!
誰か入ってきた。それは、私のクラスの内田くんだった。私は、震えだした。後ろから、颯たちつれてきたんだ…と。でも、内田くんは、一人で来ているようだった。
「あ・・・、う・・・。」
うめき声しかあげられない。急いで帰ろうとたった瞬間、内田くんが、こっちに来た。
何・・・するの?まさか、耳元でブスとか言うつもり?
そう思ってたら、いきなり腕を捕まれた。
「橋本さん・・・。だよね」
内田くんの綺麗な声が私の頭に響く。そういえば、遠目でしか内田くん見ないから気づかなかったけど、意外に内田くん瞳とか、きれいだな・・・。
でも、はっと気づいた。確か内田くんは、いじめグループの1人だったんだっけ・・・。そうなると、なおさら震えが止まらない。だけど、内田くんは、話を続けた。
「いつも話してる、立花先輩いるじゃん。その先輩気を付けた方がいいよ。噂だと女たらしだとか。」
・・・え?
嘘だよね?と言おうとしたが、喉から声がでない。
「言いたかったこと、それだけだから。」
そういったら、そそくさと練習に戻っていってしまった。
私は、とぼとぼと帰りながら思った。
何で、こんなこと言うの?
何で、話しかけてきたの?
内田くん。
訳が、分からないよ。
あの先輩が女たらしなんて、
嘘だよね?
嘘だよね・・・?
- Re: 悲しみの階段 ( No.19 )
- 日時: 2018/04/02 16:59
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
《部活発表会の日》
「さあ、頑張りましょう!部活に入ってもらえるように!」
円陣を組んだけど、なんだか乗り気じゃない。だって、昨日の言葉が、まだ耳に残ってる。
「噂だと、女たらしだとか。」
ちらっと内田くんを見ると、昨日のことなんて気にしないようにしらっとしている、内田くんが。私は、気にしない方がいいよね、うん!と思った。今は、発表会に集中だから・・・。部長が点呼をとっているなかも、何か、心に残る、あの言葉。ボーッとしてると、部長が、叫んだ。
「立花くんが、いない!」
するとみんなもざわざわし始めた。
「えっまじ?立花が?」
「あいつメインの楽譜なのに!」
「今日は学校来てたよね?」
私は、ドキドキを止められなかった。あの先輩が何かあったのかもしれない。もしかしたら・・・!
「〜っ!私、立花先輩探します!」
気がつけば、走り出してた。
優しく話を聞いてくれる先輩。
カッコいい横顔の先輩。
吹奏楽もうまい先輩。
先輩、先輩、先輩、先輩。
今すぐ探します—————!
「あはははは!マジウケる!」
今は使われていない第二美術室から、先輩の声が。
だけど、聞こえたのは、こんな会話の内容・・・。
「おい立花w今度は誰だましてんの!?」
「ああ、今度はいじめられてる一年だよ。いじめられてると、すぐにオトせるからな〜。もうすぐ告られるんじゃね?」
「本当お前、性格悪いよな、恋心を弄ぶってさ!」
「は?何いってんの?恋はゲームだぜ?それが俺のスタイルだからなww」
・・・。
何も言えなくなった。まさか先輩が本当に、女たらし何て・・・・。階段で俯いていると、ポンと頭を乗せられた。それは、内田くんだった。
「内田・・・くん・・・。」
「探したよ。噂は本当だったみたいだね。」
こんなぶっきらぼうだけど、優しさが伝わって、涙が込み上げてくる。
「泣くなよ。そんな先輩は、忘れろよな。」
「・・・だって、ずっと、相談乗ってくれたし。忘れられる訳、ないじゃん・・・。」
「じゃ、俺が、その先輩忘れさせてやるから。」
・・・え?
「好きなんだ。お前のことが。」
(恋沙汰になってごめんなさい。でも、ちゃんといじめ要素は入れますので。bye蜜柑わたあめ)