社会問題小説・評論板

Re: 悲しみの階段 ( No.2 )
日時: 2018/04/01 12:24
名前: 蜜柑わたあめ (ID: y36L2xkt)
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第一章 いじめ
ガラッ!
ドアを開けた瞬間、教室が水を打ったように静まる。そして・・・・クラスで一際目立つ女子が、こっちに来る。そして、耳元でささやく。
「今日も来たんだ?ブス」
そして、悪魔のような瞳で嘲笑う(あざわらう)。
彼女は、綾部菜々美。私へのいじめの主格犯。さらに彼女は学級委員長。だから皆、逆らえない。自分の席に着こうとしたら・・・・。
「あっ・・・」
足を引っかけられて転んだ。すると、窓際にたむろしている女子や、教室の後ろの方で遊んでいた男子が、クスクスと笑い始めた。恥ずかしかったけど、黙って席について、授業の準備を始めた。ふっと、顔をあげ、窓側の方を見ると、静かに本を読んでいる男子がいた。彼は内田智だ。一応、いじめグループらしいけど、私にはなにもしてこないな…。
すると、そこに制服をラフに着て、チャラそうな髪型をした男子が近づいていく。そうしたら、こっちの方を見てキッと睨まれた。
・・・・・・・・・・・颯・・・・・っ。

Re: 悲しみの階段 ( No.3 )
日時: 2018/04/01 12:33
名前: 蜜柑わたあめ (ID: y36L2xkt)
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あいつは、牧野颯。かつては仲の良かった幼なじみ。弱くて、すぐ泣くけど、優しい。だから、幼稚園の時からずっと守ってあげてたっけ。小学校に入って、だんだん強くなっていって、高学年の頃には泣くことも無くなったし、逆に私が守られてた気がするなぁ…。でも、六年生の頃からあいつの性格は
調子こいてるクラスのバカ男子と同じになってた。
その原因の出来事も、鮮明に覚えてる。

それは、私と「矢田愛美」といじめが関わってた。

Re: 悲しみの階段 ( No.4 )
日時: 2018/04/01 13:06
名前: 蜜柑わたあめ (ID: y36L2xkt)
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・・・それは桜吹雪が吹雪く頃。
「わぁ・・・・桜キレー」
私は白いような、薄いピンクが見えなくもないような、そんな桜の花を見つめていた。肩で結んだ髪が
風でなびく。そんな中後ろで息を切らせていた颯が言った。
「おい、海花!クラス表見に行くぞ!そんな桜ばっかり見てないでさ!」
「なっ・・・!そんな桜って何なのよ!?颯は私より頭悪いくせに!だから桜のきれいさがわかんないのよ!しかも!今から行こうと思ってたし!勘違いしないでよね!?」
私は、少し言い訳にも聞こえる言い分をいって、校舎に入った。クラスは、見事に颯と同じ六年四組だった。
「う・・・颯と同じ・・・。」
私は、少し鬱になりながらも、クラスに入った。

まさか私は気付かなかった。
このあと、重大ないじめが起こること、そして・・
私が、加害者扱いされることを…

Re: 悲しみの階段 ( No.5 )
日時: 2018/04/01 20:37
名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
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事件は自己紹介の時に起きた。私の自己紹介が終わり、先生が私の隣の席の子を呼んだ。ふっと、横を見ると、使い古しのTシャツと、時代遅れのスカートに、所々穴の空いた靴下に、汚い上履き。
新学期に買ってもらった私の服とは、大違い。しかも、少しふけが出てたし、結ばれてない髪の毛はバサバサ。匂いもそんないい匂いではない。お世辞にも綺麗とは言えない少女だった。
「私は、矢田愛美です。好きな教科は、家庭科です。私は、家があまり裕福ではないですが、それでも良いという方だけ、仲良くしてください。」
すると、教室が笑いに包まれた。先生は笑いを止めようとしていたが、少女までもが笑っていた。

休み時間になって、先生が居なくなると、クラスでなかなかイケてる女子3人が私の方に来た。すると、その1人が、
「海花ちゃんだよね?その服可愛いね!新学期に新調してもらったの?いいな〜!私、陽田奏。よろしく!でも…」
私は褒めてもらったことが嬉しかったけど、次に、衝撃の言葉を放った。
「このとなりにいる〜、矢田は〜、まじブスだよね!こんなやつが隣にいたら、海花ちゃん汚れちゃう!」
そして、矢田さんの机を蹴り飛ばした。
皆がクスクスと笑っている。
私は、とても怖かった。貧乏なだけでいじめなんて
蹴飛ばされるなんて…

Re: 悲しみの階段 ( No.6 )
日時: 2018/04/01 20:35
名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
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後で聞いてみたら、矢田さんは貧乏で服も一年中同じで、不潔だから、いじめてるらしい。
私は怖かった。いじめ…それが、今、目の前で起こったんだ…。
給食のとき、私はあの奏たちと話しながら給食を食べてた。私は、その子達とすぐ仲良くなれたし、趣味も合った。すると、話は担任の先生の話になった。「ってかさ、あの担任も気付かないのかなぁ?
あの上履きの汚れとか、ぜってー貧乏でもないだろww」「うんー」「わかる〜」と、うなずくことしかできない。私も女子だけど、女子って怖いな〜と心底思ってしまう。すると、矢田さんが急にたって、屋上へ歩き出していったのだ。なんなのだろうと思い、食べてたパンを牛乳で流し込んで、屋上へ走り出していた。
屋上へ出る重いドアを押し開け、「矢田さん!」と叫んでいた。
「…何?私になんか用?」と睨み付けられた。
怯みそうになるけど、負けじと言った。
「こんなところで死んじゃダメ!まだまだ人生これからだよ!」
「…は?」

「へー、携帯小説?」
矢田さんはスマホの携帯小説サイトを見せてくれた。
「うん、私、小説書くの好きなの。」
矢田さんは照れながらも言ってくれた。
「えっすごいよ!どの小説も面白いし!ねぇ、LINEのID教えて!貴女と友達になりたいの!」
「え、うん!でもいいの?いじめられてる私なんかと」
「いいの。これは、可哀想とかじゃないから!矢田さんと私が友達だから、交換するんだからね!よろしく!」
それから、彼女と私の秘密の屋上での友情が始まった。

Re: 悲しみの階段 ( No.7 )
日時: 2018/04/01 19:50
名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
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私は、昼休みになる度に屋上へ行って、矢田さんと話していた。
矢田さんは、最初睨まれたときは、仏頂面をしていて、人が嫌いなのかな、と思っていたけど、話してみると、とても面白くて、きらきらの笑顔でいつも話してくれる。小説の事、家の事情のこと、最近の流行のこととか。矢田さんとは何を話しても面白くて、時間が過ぎるのが早かった。
ある日矢田さんは、
「あの…私、小説家になりたくて、この小説サイトに書き込んでるの。あっ、いつか本を出版したら、橋本さんに一番に読んでもらいたい!いいかな…?」
と言ってくれた。私はもちろん
「うん、いいよ!矢田さんの本、楽しみにしてるね!」と指切りをした。
私達は、笑い合った。矢田さんが笑って、私も笑う。そんなひとときでも、とっても楽しく、幸せを感じた。

でも、幸せは、長くは続かなかった…。

Re: 悲しみの階段 ( No.8 )
日時: 2018/04/01 20:34
名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
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夏のじりじりした太陽が照りつける夏のある日。
私はいつものように屋上に来た。屋上のコンクリートに体育座りをして待っていると。
ティロティロリン♪ティロティロリン♪
LINEの着信音が鳴る。何だろう?こんな時間に…もしかして、お母さん?と思いスマホを取り出すと…

「助けて、今、4階のトイレ。橋本さん、今すぐ来て。」

・・・・嘘・・・でしょ・・・・。

私は急いで階段を駆け降りて、トイレに向かう。
息が切れてるとか、髪がぐちゃぐちゃとか、そんなの気にしない!今は、今は・・・・!

矢田さんを、助けなきゃっ!

「矢田さんっ!」

「橋・・本・・さん?」

矢田さんは、アザが身体中に作られてて、いつもバサバサの髪は、ハサミでぐちゃぐちゃに切られてて乱れ放題。更に全身が濡れていて、明らかにいじめとわかる格好をしていた。
・・・奏だ。
スカートに、一粒…また一粒、涙がこぼれだす。
「私が…私が…気付いていれば…矢田さんは…っ。」
「橋本さん・・・?私、大丈夫だよ・・・?橋本さんのせいじゃないよ・・・?」

私が未熟だったんだ。

私が情けなかったんだ・・・!

矢田さんに、無理をさせてしまった・・・!

私は、泣いた。思う限り泣いた。矢田さんも泣いた。泣きすぎて、二人で、笑った。
矢田さんは、強い。

矢田さんは、優しい。

矢田さんは、矢田さんは・・・!

私は矢田さんと一緒に教室に戻った。

Re: 悲しみの階段 ( No.9 )
日時: 2018/04/01 20:33
名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
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ガラッ、シーン・・・
私たちが教室に入ると、一気に静まり返った。
あ、そっか・・・

矢田さんは、いじめのターゲットだから・・・。

私は矢田さんを突き放して友達のところへ行った。
「ねぇ、さぁ聞いてよ・・・」
こそこそと私から離れてるように見える。私は感じた。

ハブられてる・・・!

他のクラスメートに話しかけてもそうだ。もちろん、颯だって。もう一回リトライして、話しかけてみた。
「ねぇ、なんでハブるの?何でよ!教えてよ!!」
そうしたら、教えてくれた。
「何でって、決まってるでしょう?

あんたが矢田と友達だからよ

矢田と友達何て、もうビンボー菌ついてるんでしょう?そーんなあんたとは、もう友達じゃないわよ!」
そ、そんな・・・。そんな理由で・・・。
私は、悪寒を感じて震えた。
五時間目のテスト中・・・。ある一切れの紙が私の席に飛んできた。読んでみると、
《海花、放課後体育倉庫ね!なるはやで!》と書いてあった。ちらっと後ろを向くと右手をヒラヒラさせる奏の姿が。

放課後・・・

「な・・・何?奏。話でもあるの・・・?」

Re: 悲しみの階段 ( No.10 )
日時: 2018/04/01 21:05
名前: 蜜柑わたあめ (ID: KG6j5ysh)
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怖がる私の姿を見て、奏や、奏の取り巻きたちがクスクスと笑う。奏は、話を始めた。
「海花はわかると思うけど、矢田をボロボロにしたのは、私。理由は、海花に好かれて、うざかったから♪うふふっ。」
時々笑う奏の顔は、まるで青い炎の美しさに見とれてるような、そんな美しさと怖さが入り交じった顔だ。奏は話を続けた。
「それで、矢田と仲良くしてる、海花にも、巻き添えでハブりたくって。どぉ?これでも矢田といる?」
「・・・っ!」
「もしも、クラスに戻りたかったらぁ、海花がぁ、矢田にぃ、あることをしてほしいのよ。」
「矢田さんに、する事・・・?」
「矢田に、こう言うこと。」
と言って、紙を渡してきた。
《あんたなんか、友達じゃないわよ!このビンボー人!ビンボー菌うつさないでよね!?ブス》
「・・・っ!?嫌っ!こんなこと、矢田さんに、言えないよ…」
グッ!
「っ・・・・・・」
「さぁ、貴女はどっちをとるの?親友の矢田をとって、学年からずっ・・・・とハブられるか、クラスをとって、地位を保つか・・・」