社会問題小説・評論板
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- 死に方を知らない君へ。【保留中です】
- 日時: 2014/04/01 20:33
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
*ご挨拶
初めまして、もしくはお久しぶりです。私は杏香(きょうか)と申します。
以前にもこの場所で活動していた事があり、その時の名前は千咲(その前は空花)です。
この小説は、以前私が書いていた「花言葉の約束」のリメイク版です。
以前書いた時は、展開が早すぎたり人間がよく書けていなく、納得がいかなかったという事で、今回やり直しをする事に決めました。
前作とは、名前や設定、話の展開は変わります。(何も変わらない部分もあります)
ご了承ください。
*注意書きや説明
・私はまだまだ小説初心者です。
・更新は不定期です。(現在スランプと遅筆が重なっている状況の為、更新はかなり遅くなります)
・誤字、脱字等があるかもしれません。(見つけたら指摘して下さって構いません)
・削除しているレスが多いのは、一回やり直しをしたからです。
・一部暴力表現が含まれます。
上記の内容を踏まえたうえで、この小説で不快になる可能性がある方は戻る事をお勧めします。
コメントを頂けると嬉しいです。
*目次
登場人物・プロローグ >>1
第一章 「理想と現実」
>>20 >>21 >>22 >>23 >>31 >>32 >>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>42 >>43 >>48 >>49 >>50 >>51 >>54 >>55 >>56 >>57 >>63 >>64 >>76 >>80 >>85 >>86 >>87 >>90 >>91
>>92 >>99 >>100
第二章「花言葉の約束」
>>101 >>102 >>111 >>112
*お客様
・黒紅葉さん ・麻里乃さん ・杏里さん ・初月さん ・神崎姫奈さん ・ホワイトパールさん
・.・☆愛美☆・.さん ・華世さん ・近鶴さん ・美里娃さん ・恵美さん ・上鷺さん
このスレを見て下さり、本当にありがとうございます。
コメントは本当に励みになります。これからも宜しくお願いします(*´∀`*)
- Re: 死に方を知らない君へ。 【復活しました】 ( No.31 )
- 日時: 2014/02/05 21:27
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
ぼさぼさの髪。目の下にくっきりと浮き出たくま。生気のない目。
すっかりやつれてしまったお母さんの姿は、あまりにも衝撃的だった。
初めてそんな姿を見た時、思わず固まってしまったのを覚えている。
そしてお母さんは外見だけでなく、性格も変わってしまった。
あまり飲む事の無かったお酒や、吸う事の無かったタバコにまで手を出すようになって。私が話しかけても、まともに言葉を返してくれなくなった。
笑顔すらも見せない。私に浴びせられるのは、容赦ない暴力と罵声だけ。
でも、本当のお母さんはそうじゃないんだ。
本当のお母さんは優しくて、いつも笑顔で——そんな、私の自慢のお母さん。
今はもう……すっかり変わってしまったけれど。
出来ることなら、幸せだったあの頃に戻りたい。……でも、そんな都合の良い話がある訳なかった。
現実は、おとぎ話じゃない。
お母さんに殴られる度、その思いは増していく。
- Re: 死に方を知らない君へ。 【復活しました】 ( No.32 )
- 日時: 2014/03/08 21:19
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
「ああもう! 何であんたってそんなに使えないのかしら。もういいわ!」
お母さんの怒声が響き渡ると同時に、私は思い切り突き飛ばされた。
私はバランスを崩して無様に転び、思い切り顔面を床にぶつけてしまった。痛みに耐えて立ち上がろうとしても、お母さんがそれを許さない。
後ろから背中を蹴られ、私はそのまま足で床に押し付けられる。
痛くない……そう心の中では言い聞かせていても、既に体は悲鳴をあげていた。体のあちこちが痛む。心だってもうボロボロだよ。
「ごめんなさい……っ」
私はかすれた声で、お母さんに必死で謝る。
けれどやっぱり、許してはもらえなくて。
「そんな謝り方で、許してもらえるとでも思ってるの!?」
お母さんはそう言って、私の背中を更に強く踏みつけた。
私はあの後、何回謝ったのだろうか。
何とかお母さんに許してもらい、ふらつきながらも立ち上がる。……でも、これで終わりじゃなかったんだ。
お母さんは油断していた私の頬を容赦なくぶつと、私を睨みつけた。
「あーあ。あんたのせいでもうこんな時間になっちゃった。罰として、夕食は無しだからね!」
「……ごめんなさい」
私がもう一度頭を下げて謝ると、お母さんは満足したのか何も言わなかった。
何度お母さんに殴られても、叩かれても、蹴られても。その感覚が麻痺した事は、一度も無い。
きっとこれからだって、私は何度もあの痛みを味わうだろう。
……いっその事、麻痺してしまえばいいのに。
私は今までに、数え切れない程そう思った。
- Re: 死に方を知らない君へ。 ( No.33 )
- 日時: 2014/03/08 21:17
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
約束通り私は夕食抜きの罰を受けて、反省している事を示すためにリビングで勉強していた。
漂ってくるのは、カレーの美味しそうな香り。お腹が空いて仕方なかったが、これは"罰"なのだ。
どんなに手が疲れても、休む事は決して許されない。よそ見だってダメだ。
少しでも賑やかなテレビに目が行ってしまえば、その時点でゲームオーバー。すぐに容赦ない暴力が、私を痛めつけるだろう。
口でそうだと言われなくても、私はその事を経験から知っていた。
だから……今回こそは、選択肢を間違わないようにしなければならない。
自分を守る為に。そして、お母さんの為にも。
幸いお母さんに再び殴られる事はなく、夜を迎える事が出来た。
とは言っても……言葉や態度では、何度も怒りをぶつけられた。
その1つ1つを思い出すだけで、胸が痛くなる。
お母さんはきっと、私の事なんて大嫌いなのだろう。決して口には出さないけれど、私には分かる。
お母さんは心の中で、こう思っているのだ。
あんな子供、生まれて来ない方が良かった。消えてしまえばいいのに、って——。
考えるだけで悲しかった。でも……仕方ないよね。
私はゴミみたいに価値のない存在で、ゴミだけど簡単には捨てられない厄介者だから。
ひとり、心の中で呟いた。
死ねなくてごめんなさい、と。
- Re: 死に方を知らない君へ。 ( No.34 )
- 日時: 2014/02/06 20:38
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
私がどんなに時間よ止まれと願っても、時計の針を止める事すら出来ない。
——そうして、当たり前のようにまた朝がやって来る。
夢の中ですら現実を突きつけられ、気持ちのいい目覚めどころでは無かった。
しかしそれもいつもの事。幸せな夢なんて全然見た事が無いし、何より私は朝が嫌いだ。
まだ寝ていたいと駄々を捏ねる体を起こして、ちゃんと開いていない目をこする。冷たかったベッドは私の体温で温まり、心地良い気分だったがその余韻に浸っている暇は無い。
うっかり二度寝して、朝寝坊なんてしてしまったら……。その先の答えは、考えなくても分かる。
考えるよりも先に、体が答えてしまうからだ。
……その証拠にさっきから、体の震えが止まらない。
震える体で着替えを済ませて、リビングに向かう。
リビングに着いた途端、お母さんが鬼のような形相で私を睨みつけた。
「遅いわよ! さっさと朝御飯食べちゃいなさい」
その怒鳴り声に気圧されて、私は急いで席に着く。
テーブルの上に用意された料理は、カレーライス。昨日の残りだった。
お母さんも同じものを食べている。とにかく、急いで食べなければ……。
そう思いながらお皿を手に持つと、ひやりとした感触を指先に感じた。嫌な予感がしたが、食べない訳にはいかない。
私はカレーライスをスプーンですくい、口に運ぶ。そして次の瞬間、口の中に冷たい食感が広がった。
嫌な予感は、どうやら当たってしまったらしい。
カレーライスは、氷のように冷たかった。
- Re: 死に方を知らない君へ。 ( No.35 )
- 日時: 2014/02/06 20:42
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
今までに朝食をわざとぶちまけられたりする事はあったが、こんな事は初めてだ。
私が驚きのあまり固まっていると、突如お母さんが声を荒げた。
「なによ、何か文句があるっていうの!?」
お母さんの方を見なくても、その目が私を睨んでいる事くらい分かる。
私はとっさに謝った。思わず声が少し震える。
「ごめんなさい! 何も文句なんて無いです!」
「ああそう。言っておくけど、温めるなんて事はするんじゃないわよ! これはあんたに対する罰なんだから……!」
お母さんの冷たい声が、私の頭の中で反響する。
これは"罰"……そう、私に対する罰なのだ。私はそう自分に言い聞かせて、すぐさま返事をした。
「……分かりました」
そして、私はまたカレーライスを食べ始める。
相変わらずカレーライスは冷たかったが、私にはどうする事もできない。今の私にできるのは、このカレーライスを食べきる事だけ。
……私はカレーライスを、次々と口に運んでいく。
味なんて、何もしないような気がした。
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