社会問題小説・評論板

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愛玩動物の憂鬱
日時: 2011/12/23 16:58
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: l.IjPRNe)

どうも、はじめまして、またはこんにちは。
九龍と申します。


今回は虐待の物語を書きます。
題名に愛玩動物という言葉が入れられている理由は、物語で話します。
気分な悪くなる描写が多く含まれていると思いますので、ご注意を。

*注意*

・僕が嫌いな人は、まわれ右です。
・荒らし・チェーンメールはお断りです。
・文才については、補償はできません。




目次


お客様

Re: 愛玩動物の憂鬱 ( No.1 )
日時: 2011/12/23 19:08
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: SLr1s4QH)

プロローグ




君が僕を愛してくれるなら。

君が僕のそばにいてくれるなら。

僕は、人じゃなくたっていい。




君が好き。
大好き。
痛いことは苦手だけど、君がそういうことをするのなら、甘んじて受け入れるよ。
痛みも、慣れれば平気だから。

周りの人が何って言っても、僕は耐えるよ。
君が近くにいてくれるのが、僕の幸せだから。




君が僕を愛してくれるなら。

君が僕のそばにいてくれるなら。





僕は君のペットでいいよ——。

Re: 愛玩動物の憂鬱 ( No.2 )
日時: 2011/12/25 19:56
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: ujgQ5QpY)

第一話『好きな人』




僕には、好きな人がいるんだ。


サラッとした黒い髪に、黒い目を持つ人。
髪は短く切っていて、艶があって、梳くたびに艶を増す。
目は切れ目。男の人にしては、長めのまつ毛の奥に、黒い目が隠れてる。
背が高くて、学ランがよく似合ってて、華奢な人。
でも、儚さは感じられないんだ。
凛としていて、いつでも強い。そんな人。


彼の名前は、中村 光月。
確か、名前を教えてもらったのは、僕が、彼の隣の席になったときだったかな。
席替えをしたら、彼の隣の席に決まって、その時は彼のことは意識してなかったから、普通に名前を聞いたんだ。
その時に、お互いの名前を教えあったんだっけな。
思い出すと、なんであのときは彼を意識してなかったのか、不思議になってくる。



今では、気軽に話しかけたりはできない。
話しかけるのは、恥ずかしいんだもの。
目を合わせるのだって、難しいくらいなんだから。

好き、好き、好き。

君の目を見て話せないけど、話しかける勇気もないんだけども。
大好きなんだ、光月くんのことが!




「……あのさ、僕の思い、伝わった?」

首を傾げて、聞いてみる。
勇気を出して、言ってみた。
全部全部、隠さずに吐きだしてみた。

吐きだしたら、なんか、すっきりしたよ。

で、聞くけどさ。

「光月くんには、好きな人って、いるのかい?」


またまた、聞いてみる。
一度、勇気を出して話してしまえば、その後は結構簡単だった。
光月くんは、目を丸くして、僕を見てた。
その後、少しだけ間を開けて、はっきり言った。

「……いるよ」

あぁ、そうか。
まぁ、そんなものなんだろうね。


光月くんは、綺麗だから。
僕は特別綺麗でもないし、他の女の子よりとびぬけた何かがないから。
光月くんが僕を受け入れてくれる理由なんて、ないよね。





「……光月くん」

僕は、ゆっくりと、光月くんに話しかける。
光月くんは、バツの悪そうな顔をして、こちらを見た。


「ねぇ、好きな人がいるんだよね」
「うん」
「じゃあさ、じゃあさ。人だと駄目って言うなら、僕は犬でいいよ」

僕がそういうと、光月くんはまた目を丸くする。
僕はそんな彼を尻目に、笑いながらこういった。

「駄目って言うなら、構わないんだ。でもね、僕、君が好き。愛玩動物としてでもいいから、君に愛されたいんだ」

Re: 愛玩動物の憂鬱 ( No.3 )
日時: 2011/12/27 13:51
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: ujgQ5QpY)

第二話『奇妙』




僕がそう言ったら、光月くんはなにも答えずに、ただ僕をじっと見つめた。
迷惑、かな。
そう思い目を伏せると、光月くんがやっと、口を開いた。

「ねぇ、本当にそれでいいの?」

光月くんは、僕の頬に手をあて、顔を上げさせて、目を合わせてそう聞いてきた。
このころは、ただ頭の中がぐちゃぐちゃで、光月くんの目から、感情が見いだせなかった。
自分のことで精一杯で、彼のことは考えられなかったんだろうな。
だから、はっきり言っちゃった。

「うん。犬じゃ駄目なら、猫でも、カナリアでも、カエルでも、モルモットでもいいさ」


君が、僕を少しでも見てくれるなら。
少しでも、雀の涙くらいの量でも、僕に愛をくれるなら。
僕は光月くんに微笑みかけて、ゆっくり口を開く。


「嫌なら、嫌って言ってよ。そうじゃないと、僕のあきらめがつかないよ」

君が優しいから、そういうこと、言いにくいって知ってても、僕は君にそういったんだ。
夕日の光が、彼の横顔を照らしてた。その時、君がどんな表情をしてるか、初めてちゃんと解ったような気がした。
あのとき、君は悩んでたんだろうね。
いつもはしないような、難しい顔をしてたんだから。

僕はその間、じっと光月くんの目だけを見つめてた。
教室。廊下、あけっぱなしの窓。
その何処を見ても、やっぱり、生徒の姿は見えない。先生の姿だって見えなかった。
人はいない。どんな答えを出したって、どんなことを言ったって、誰も君を非難しない。




だから、聞かせて。
君の意見を、聞かせてよ。



「……駄目、かい?」
「……あのさ、もう一度聞くけど、蒼真はそれでいいの?」





「いいもなにも、僕が言ったことなんだ。取り消しなんて、しないよ」

彼の問いに、僕は笑いながら答えた。
彼は、信じられないような顔をして、でも、僕が笑ってるのを見たら、優しく微笑んでくれた。



奇妙なプロポーズ。
奇妙な恋愛事情。

でも、これでいいんだ。
君の愛を得られるというのなら、これでいいんだ。


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