社会問題小説・評論板

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彼女は私に依存してる
日時: 2012/03/19 17:13
名前: 三世 (ID: cs0PNWSr)

#プロローグ


ねぇ、

教えてよ




どうして貴女はワタシの大切なモノを、

拒み、

妬み、

罵倒し、

枯らしてしまうの?


醜い、

そう言って貴女が握り潰してしまったモノは、

ワタシが必ずこの手で受け止めてみせる


嗚呼、

無邪気に明日を語り合ったあの頃が懐かしい


このまま貴女が何も気づかないのなら

ワタシは貴女を壊し、この滑稽なモノガタリを終わらせるよ。
















Re: 彼女は私に依存してる ( No.1 )
日時: 2012/03/19 18:18
名前: 三世 (ID: cs0PNWSr)

#1


「君島 蛍です」
中1の夏、うちへやってきた女の子。
棒アイスをくわえ、
リビングでへばっていた私に優しく微笑んでくれたのを覚えてる。

蛍のご両親は不幸な事故に遭い、既に他界している。
どんな事故だったのか、未だに私は真相を知らないけど。
ご両親の突然の他界に、親戚中をたらい回しにされた蛍は、お父様の幼なじみ、つまりうちのお父さんが養子として引き取ることになったんだ。

「あ、でも今日からは結城 蛍だね」
切なそうに笑う蛍に私は、
「別に、私の前では君島 蛍でいいよ。
私たち今日初めて会ったんだし。
こんなこと言ったら傷つくかもだけど、しばらくは君島 蛍でいてほしい。
で、ちょっとずつ家族になりたい」
これが、私の本心。
最初から全てを受け止めてしまえば、
きっと何処かで大切なモノを見落としてしまう。
お父さんに初めて告げられた時から、
よく考えて私はそう決断していた。

「……ん、じゃあそうさせて……もらおうかなっ……」
サラサラサラ。
キレイに分けられた、
黒髪のツインテールが。
ポロポロポロ。
大粒の涙が伝う、
透き通るような白い肌が。
まるで音楽を奏でてるようで。
美しい、
と思った。


私が見つめている中。
蛍はずっと泣いていた。

Re: 彼女は私に依存してる ( No.2 )
日時: 2012/03/20 08:03
名前: 三世 (ID: cs0PNWSr)

#2


蛍がうちに来て1週間が経過した。


「嬉しいなぁ、
明日から早苗ちゃんと同じ学校に行けるなんて!」
夕御飯を食べ終え、
テーブル越しに頬を嬉しそうに赤らめる蛍。
テレビを見て笑っていた私は、
視点を蛍に変え、
少し先輩面で、
「じゃあ、色んなトコ教えたげる」
なんて。
「えっとねぇ〜…」
すると蛍は、
キッと真顔になり、
テーブルに身を乗りだし、
右手の人差し指を顔の前で立て、
「1番最初にトイレの場所を!!」
「…………」
沈黙。


「……アハハハハハハ!!
そうよねぇ、
それは気になるわよねぇ!!」
沈黙を破ったのは、
台所からのお母さんの爆笑。
「お前、明日ちゃんと教えてやるんだぞ!」
ビールのおつまみを口に運びながら、
お父さんもそれに便乗する。
「え、なんで笑うんですかぁ〜!?」
混乱する蛍。
「そう、だね」
私もクスクス笑う。




蒸し暑い夏の夜。

私たちは既に、
家族の道を歩み始めていた。




Re: 彼女は私に依存してる ( No.3 )
日時: 2012/03/19 20:46
名前: 三世 (ID: cs0PNWSr)

#3


「さんなぇ〜!!」
ガラリ。
教室の扉を開き、
一目散にこっちへ駆けてきたのは、
小学校時代からの親友、
若葉。
「よく私が来るって分かったね」
感心したように私が言うと、
「だって窓から早苗が登校してくんの見えたから」
って若葉が笑った。

「ねぇ、
蛍ちゃんってどんな子?」
鞄の中から教科書やノートを取り出す私を見て、
若葉が目を輝かす。
「どんな子って…」
空っぽになった鞄は嘘みたいに軽い。
私はそれをロッカーの中に押し込めると、
椅子に腰掛けた。
「こないだも話したじゃない」
机に頬杖をつきながら、
上目遣いで若葉を睨む。
すると若葉も床にしゃがんで、
私と視線の高さを同じにした。
私の方が少し高いけどね。
「もっと知りたいのよ〜、
だってあんたんちに住んでる子でしょ?」
「住んでる子、じゃなくて家族、ね」
「そーともゆう」
「……で?」
「いいなぁ、って」
「はぁ?」
若葉にはお父さんもお母さんも弟もいる。
決してお金持ちなんかじゃないけど。
前に若葉の家に泊まったとき、
すごく明るくて仲のいい家族だという印象を受けた。
なのに、
「何でよ?」
すると若葉はため息をつき、
「超鈍感!」

キーンコーン、カーンコーン……

同じタイミングでチャイムが鳴った。
「んぁ、じゃ後で!!」
若葉が私の席から去る。
超鈍感て……。
何だそりゃ。
こっちもはぁ、である。
ガラガラガラ。
「おーら、お前ら席着けよ!!」
担任の先生が教室に入ってくる。
その後ろにいるのは……



蛍だ。




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