社会問題小説・評論板

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署名戦争
日時: 2012/05/12 14:14
名前: 小豆 (ID: Wwp0q0mP)

おはようございますこんにちはこんばんは、小豆です

初めてこのスレをたてました。

この話を通じて、見えないこととか、どうしようもないこととか、覚悟のないことの恐ろしさを感じていただければ幸いです。

なんて言ってるけど要は愚痴ですよ(=^・^=)
まあそんな暗くもないしいじめでも何でもない、
ちょっと力と頭と覚悟の足りなかった私たちの、一日戦争です。

私たちの、本当にあった、どうしようもない一日の話。

そこに行くまでの私たちと、通り過ぎた後の私たちの日常。

Re: 今日一日、署名戦争 ( No.1 )
日時: 2012/05/12 14:15
名前: 小豆 (ID: Wwp0q0mP)

1・始まるまーえーの?!

夏。
一文字なのにたくさんの意味を背負った言葉。
日差しから、代表的なのはプールにアイスに宿題にセミにエアコン、ちょっとひねれば遠出に宿題写しのお泊り会と公園の犬の散歩、裏をかいて鍋、などなどとても数えられない。
そして、青春。
春って文字がついてる癖に出しゃばってくんなとか思う。
でも、確かに夏の間輝いていたのよ、と近所の大学生のお姉さんは悪戯っぽく笑った。

明日に明日は今日にあり。
昨日の昨日は今日につながってもいる。
だからとりあえず、日常を描く。

2:人間関係なんて楽しくないけど利用価値はあるよね、なんて気取ってみせるのはどこかにのってたから。

五月一日
私たちはいつもと変わらない日常を過ごす。
いつもと変わらないけど、少しずつ、あるいは劇的に変わっていく日々を。
新学期始まって以来私は図書室に入り浸っていた。
去年生徒会をしていたので、一応どこにでも顔はきくのだが、特と言ってやりたいこともないため惰性のように図書室に通う。
元々本は大好きだ。
ファンタジーから始まって、ノンファンタジーにグロイのもかわいいのも涙を誘うものもあからさまな娯楽も、果てはライトノベルやBL小説まで。
そういうことで今日も黙々と読んでいる。
あ、ごめん嘘。
黙々と、なんてそんな根暗じゃないよ?
むしろトラブルメーカーかな。
・・・悲しいことに。

「あとさんぷーーーーーーん!!??◎□◎」
待て待て待て、今は何時だっ?
7:15分には学校についてた。7:30から朝の会だけど、今日は集会だったから多目的室に7:25分にはついてないくちゃいけない。
残酷なほど正確に時計が刻む時刻は、
「7:27分だと…?」
一分も使っちまったじゃねーか!
ぶち壊さんほどの勢いで図書室の扉を開けた。(正しくは蹴っ飛ばした)
全然時間立ってないかと思ってた!!
三階の図書室から二階にある台に多目的室まで私の足で何分かかるだろう?
なんにせよ分かっただろ!!
俺はそんなおしとやかじゃないってね!こんちくしょおおおお!!
靴をひっぺはがして、深呼吸。
「失礼しまーす…。」
なるべく音を立てないように、注目を浴びないように。
「って、あれ?」
てっきり先生の声が響いていると思ったが。
そんなことはなく、生徒一人一人のくだらないおしゃべりが部屋に萬栄していた。
「なんだびっくりさせんなよお。」
綺麗にクラス別集会体系(ようは身長順)に並んでいた。
が、こうも騒々しくては先生もほめる気はしないだろう。
ってかせんせー遅れてんのな。
うだうだ考えながら余裕をもって、・・・列の先頭に行く。
クラスで3番目の身長である。男子の一番前の桑原とは7センチ差、(こいつは小学生と比べても小さい。中二のくせに。笑)女子の一番前のリカちゃんとは3センチ差である。
なのに、
「遅れたねー、チビだからかなッ」
なんて言ってくるので、切れてもいいだろうか。
「うっさいわ、童顔!!」
あとはとんと無視して体育座りに姿勢を整えると、早速というようにリカちゃんがほんのちょっぴりぽっちゃりめの顔を向けてくる。
「ねーねーなんで遅れたの?」
「え?ああ、何でもないよ、図書室行ってただけ」
すると少し後ろに座っていたカンナちゃんが茶々を入れてくる。
「がんばるねー、リカも少しは頑張ったら?」
「えー、なによお」
なぜかリカちゃんはうれしそうに笑った。
「っていうか、別に頑張ってないし。」
「走ってくるのはガンバたっしょ?」
「まあね!!」
悔し涙である。
いいの、先生来てなかったからセーフなのお!!
そうやって私もくだらないおしゃべりの中に溶け込んでいった。
それから5分くらい経っただろうか。
「うるさいぞォ、静かにしてくださーい。えーと、今日の司会は誰だっけ?」
ハリネズミの脳味噌はそんなことも覚えらんないのかよ!
はりねずみこと、国語とうちのクラス担任の善哉先生。

Re: 今日一日、署名戦争 ( No.2 )
日時: 2012/05/12 13:58
名前: 小豆 (ID: Wwp0q0mP)

2:恋愛は責任とおままごと

ざー、と凪いだ沈黙の中、一人が腰を上げて前に出る。
本日司会の、神崎である。
去年の今年も、おそらく来年も生徒会をするであろう、一見バカな真面目系男子。
そういえばあの子に告られてたけど、どうなったのだろう。
地味にモテているあたりむかつくのだが。
うだうだ心の中で考えていたのだけれど、結局くだらないことなんですぐに忘れてしまった。
だってそうだろ?
そういうのは、メールやら電話やら
「誰にも言わないでね?」
をお約束に、翌日にはクラス中に知れ渡っている。
中学生で恋愛なんてするもんじゃない。
落ち着いて恋愛なんてできないんだから。
突っつかれて、叩き潰されて、言葉の裏に友達より恋人取るなんて許せないと言われて、ままごとの恋愛にあっという間に冷めてしまうでしょ?
その証拠に一年持ったカレカノなんて聞いたことがない。
ちょっと誰でもいいからイチャイチャしたくなって。
礼儀も忘れてぎすぎすしだしてあっさり別れて。
親しき中にも礼儀あり、じゃないとねえ。

始まった集会の内容をまじめに聞いてるようでキイテないような生徒、
いったい何人いるだろう?

Re: 今日一日、署名戦争 ( No.3 )
日時: 2012/05/12 14:09
名前: 小豆 (ID: Wwp0q0mP)

3:終わり、なんて来ないわけない、なんて嘘っぽい

ぞろぞろ多目的室から出てくる人の波。
廊下にいきなりおいてあるホワイトボードには、応援団の集合時間とか日々更新型で書いてある。
6月には体育祭だ。
応援団の一員としてとりあえずホワイトボードをチラ見したけど、何にも乗ってなかった。
今日は集まりはないみたい。
じゃあお昼休みはダンスリーダーの集まりかな。
毎年この中学校では集団演武として女子はダンスをする。
(ちなみに、男子は組体操である。)
ダンスリーダーが各クラス三人ずつ選出というか立候補されて、みんなを引っ張っていく。
大体の活動が自分の学年の子にダンスを教えるだけなのだが、これがまためんどくさい。
練習はあくまで自主参加、来ない奴・来てもしゃべるやつ・やってても全く上達しない奴。
私だってまったくうまくないけど、あくまでも教える立場として言えば、・・・イラつく。
あと一か月チョイ。
皆上達してくれるかな、上達させなきゃいけないんだよね。
ああ、めんどくさい。
内申書に全くかけらも関係しないなら、こんなのやらないでいいのに。
中間休みに図書室に行くことを決意して、せかせかと教室に向かった。

Re: 署名戦争 ( No.4 )
日時: 2012/05/12 14:55
名前: 小豆 (ID: Wwp0q0mP)


4:嘘じゃない、これは生存戦略・嘘はもっとうまくつく

「ああおわったあ」
一時間目、例にもれず理科。
大っ嫌い、この教科。
いや、教科自体は面白くて好きなのだけれど、先生がうざい。
後々授業風景も書こうかな。
いわゆる『優秀な偽善者』なのだ、あの先生は。
「シズカぁ、なんか面白いことなあい?」
くるっと後ろを向くと、斜め後ろの席にいるシズカは、・・・すっかり興奮していた。
「ねえねえもう授業中ヤバかったわぁ!!○○君と●●君が話し合いでこんなに顔を近づけてさあ!!」
もうわかるよね?
分かんないとか言ったら容赦しないんだからなっ!!
そうだよ、シズカはヲタだよ!
「あー、はいはい、私はGL専門なんで。イヤBLも好きだけどね?」
「えー、GL?やっぱBLでしょお」
知るか!!
「あー、あのカップルは良いもんねー。私としてはシズカとセンナのカップリングが好きなんだけどねー」
だからこの話題終わんねー?
言外にそう言っているのだが。
「私で萌えないでくれない?」
「いいじゃん、好きでしょ?センナのこと。」
「うん。好き!!」
「うわあああ、むふふ良いこと聞いたあ!」
そか。
一見興奮してキラキラしたように顔を作ってみるが、内心凪いだ波のようだ。
べつにあたしアンタたちに萌えちゃいないんだけど。
確かに、私はオタクだと思う。
でもぶっちゃけ三次元には興味ない。
(二次元だったら普通に『ムフフ』ってモえてんだけどね。)
だからってここでバッサリ切ってしまったら、少しだけこの子と壁ができる。

同じ趣味、それはある意味生存戦略なのだ。
例えばの話、趣味も特技も特と言ってない子がいるとする。
でもちょっと下ネタにもついてこれる子なら、ちゃんとそっち系の友達ができる。
でもちょっと性格が派手なこは、いるだけで華やかなので、根無し草でも十分過ごしていける。
でもちょっと美人な子は、ギャルっぽい子たちが勧誘に来る。
でもちょっと一生懸命で、初めは何にも知らなくても話題についていけなくても、そのうち十分話についてこれるようになる。
でも、もしも。
そのどれも持っていなかったら。
あるいは、変にねっとりしてしまっていたら。
孤立に孤立が重なる。
まあそのうちその子も学習して何らかの方法で輪に入っていくのだけれど。
学習能力のない子は救いようがない。

シズカもそうだ。
というか、前は全然別のギャルっぽいグループにいたのだが、私たちのグループと交流を持つようになって、初めは何にもわかんなかったんだけど今じゃすっかりオタクである。
もしかしたら少し無理をしているのかもだけど、そんなのは自己責任だ。
私もそう。
同じグループのランちゃんは生っ粋のBL好き。
シズカもBL大好き。
私はそこまでじゃない。
同じ趣味だけど、ちょっとずれてるって感じ。
でもこの二人キャラが濃いから、BLを完全否定しまくると私はたちどころにはじかれるだろう。
まあ向こうも時々こっちの趣味に合わせてくれているから、どっちもどっちだけど。
それからグループにはもう一人、センナちゃん。
ああ、あとセンナちゃんはオタクじゃないよ?
このこは変に興奮する私たちを突っ込む役だから、オタクでいる必要はなし。
何となく話も合うしね。

そうやっていたら、ランちゃんとセンナちゃんが来た。
「やっほ、なにそのテンションおかしいでしょ。」
「いまねえ、センナちゃんとシズカのコンビについて…」
「はあ?意味わかんない、ばっかじゃないの。」
「えー、いいよねえこのコンビ。」
ランちゃんに話題を振ってみる。
「あ、私はそこまででもないかも。むしろアメリカさんとイギリスさんが・・・」
話を今度はシズカが遮った。
「あーーー!、私もそれ好きやわぁ!」
シズカは大阪出身だ。

打算を重ねあった、友達。
名前を変えれば、きちんと礼儀を分け合って、相手の趣味も尊重した関係。

中学生の友達も大人の友達も、こんなもんだろうに。
何となく相手を大切にして、時々ムカついてもひとりの人間だからとうなずいて。

チャイムが響いた。


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