社会問題小説・評論板

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少年シッター
日時: 2012/07/11 23:12
名前: koll (ID: gG5ipZbC)

「テレビの前の皆さんは誰かに自慢できる事がありますか?」

無駄に透き通った声の女性が視聴者に問いかけた

「あるとするならば素晴らしい!胸をはって自慢しましょう!そうすれば相手もあなたに興味を持つはずです!」

満面の笑みでそう言った女性の目はまるで自慢できる事がない奴は屑だとでも思ってる様だった

「自慢は決して悪い事ではありません!むしろ自慢する事がない人の方が—…」

ブチンっと電気が切れる音がして、またいつもの静かな時間が訪れた
リモコンをポイッとそこらに放り投げた小柄の男はため息をついた

男の名前は唆賀(さが)年齢は20代前半

「最近はほんとろくな番組やってねぇな」

一人暮らしを始めてもう2ヶ月は経つ
ずっと憧れてた一人暮らしだがなにか物足りないと思った唆賀は奮発してテレビを買ったのだがよけいに憂鬱さが増しただけで終わった

「アなたニハじマんできルコトがありマスか?」
「!?」

突然背後から不自然な発音をした声が聞こえ思わず肩を大きく震わせる
振り返ってみると青い目をした金髪少年がちょこんと立っていた
多分小学生ぐらいだろう

「誰だお前どっから入ってきた?」
「I do not understand Japanese.」
「はい?」
「久しぶりね、玄関のドアぐらい鍵かけときなさいよ」

聞き慣れた声と同時に唆賀の母が部屋に入ってきた

「おい、こいつ誰?」
「私の友達の息子なんだけど…ちょっと今その友達が行方不明になっちゃって…しばらくの間見てやってくれない?」
「はい?」
「この子のお父さんは生まれてすぐ亡くなられたらしいし
 私も捜索の手伝いをしなくちゃならないから
 あんたにしか頼る人いないのよ
 大丈夫!どうせすぐ見つかるわ!」

「おいおい、俺にはガキのおもりなんか出来ねーぞ?
 それにこいつ外国人じゃねぇか
 日本語わかんのかよ」
「まだ日本に来たばっかでまったくわからないわ
 だから絵でも描いてコミュニケーションとって頂戴
 じゃあ私もう行くからよろしくね!」
「あっ!!おい!!!」

逃げるように去った母の顔は少しホッとしているかの様に見えた
残された少年は母が去った方向を少し見た後俺の方に視線を向ける
その瞳はまるで宝石の様に綺麗で唆賀は思わず目をそらす

「えー…あー…ゴホン。日本語わかる?…わからねぇよな」
「Talk in English and is stupid.」
「おぅふ…」

英語なんてまったくわからない唆賀はとりあえず少年にテレビを与えてみる
丁度何かのアニメをしていたので少年はそのまま見入ってしまった

その間に唆賀は英語辞典でも探そうと押入れを開けてみたが
ほとんどいかがわしい本ばっかで死にたくなった

Re: 少年シッター ( No.1 )
日時: 2012/07/11 18:47
名前: koll (ID: P/D0CuiW)

「TV already got tired.
Become a person to talk to!!」
「あっ…あの俺そんな事言われてもわかんないし…」

ガクンガクンと思いっきり肩を揺さぶられる唆賀
そういえばコイツの名前聞いてなかったなと思いしどろもどろの英語で聞いてみる

「わ…わーちゃあーねー?で合ってたっけ…」

少年は顔を少し歪ませた
日本語なのか英語なのかよくわからない発音に困ったようだ

「HUh?What is your name?」
「そうそう、それ。イエス!」
「…My name is pakira」
「ん?パキラ?植物の名前にそんなのあったような…まぁよろしくな
 えーっと、ないしちゅーみぃーちゅー?」

それを聞いたパキラは思わずブフォッと吹き出し
「Likewise」とだけ言った

それから唆賀達は数時間の困難のやり取りで母が言った通り絵でやり取りする事に決めた

「まずはお前の食糧とか衣料とか買わないとな…」

パキラの服装は全て目立たない色で包まれていた
鼠色のフードに黒色のズボン
よく見ると目にクマも少しできていた
母が行方不明になって疲れているのかもしれない

唆賀は白い紙に棒人間2人と横にコンビニらしき物体を描きパキラに見せる

「Shopping?」
「そうそうショッピングショッピング」

もう時間は夜の8時を過ぎていた
子供を連れて夜のコンビニに行くのは危ないと一瞬思ったが1人で残すのもどうかと思い結局連れて行くことにした

「何が食べたい?えーっと…イート?ユーワッツイート?」
「ユーワッツイート?You are really interesting person.」
「だから英語じゃわからんて…」

パキラは少し間を開けてからまた口を開けた
ひどく冷たい口調で

「…It looks just like mother.
Feel sick.」

当然その意味を唆賀がわかるわけもなく
そのままコンビニに着くまでぎこちない沈黙が続いた

コンビニは初めてなのかパキラはそわそわしながらコンビニを回る

「好きなの選べよ」
「I want this!I want this!!」

興奮気味で唆賀に突き出してきた物は何故か石鹸だった

「え…これ石鹸なんですけど…食い物選べよフードフード!!」
「This is food!」
「はぁ?ノットフードノットフード!」
「This is food!!!!」

パキラの必死さについに折れた唆賀
とりあえずおにぎり何個かと石鹸一個洗剤用具を買ってコンビニから出るとパキラは石鹸を手に取って匂いを嗅ぎだす

「おい、それまさか食べるわけじゃねーよな?ノットイートだぜ?」
「This is food.
Is all the food except the soap pigswill.」
「oh…意味わからん」

次の瞬間パキラは石鹸に勢いよくかぶりつく
躊躇なしに。
まさか本当にやるとは思ってなかった唆賀はパキラが完全に飲み込むまで動けなかった

「…は!?えっ!?」


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