社会問題小説・評論板

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おまじない。
日時: 2012/10/15 22:11
名前: 三朝 ◆Ma8jEpmcbs (ID: UE6W7gUy)

初めまして。

三朝(みささ)と申す者です。

久々に社会問題系小説書こうとしてます。


*諸注意*

・荒らし、チェンメ等はご遠慮ください
・アドバイス等は大歓迎です(^−^)ノ
・更新は亀よりも遅いです←
・誤字脱字、たまにやらかします←
・先に言っておきますが、チャットシーンやメールシーン等では顔文字や「(笑)」を使います。
嫌な方は見ないことを推奨←


□登場人物□

中野千花(ナカノ チカ)

伊藤美雨(イトウ ミウ)

波崎涼香(ハサキ スズカ)

Re: おまじない。 ( No.1 )
日時: 2012/09/18 08:22
名前: 三朝 ◆Ma8jEpmcbs (ID: kb49zp4f)

ポケットにケータイを突っ込むと、私は裏庭へ行った。

今は昼休みだから、クラスではみんなが楽しくおしゃべりしたり、友達と机をくっつけて給食を食べたりしているんだろう。
でもそれを気にも留めず、私は裏庭へ向かった。

だって、どうせぼっちだし。

教室にいても話す友達、いないし。
だったら、気まずくならないように、教室から抜けてきた。

でも、別にいいんだ。
人間関係を壊さない程度に自由に振舞い、みんなから少し離れたところにいる。
それが、私は楽だった。ウマのあわない人と愛想笑いでいつもニコニコ営業スマイル振りまいて仲良くするくらいなら、1人でいることを選びますよ、と。それが、私という人間。
それにさ、友達がいたら昼休みに裏庭に行ってケータイでネットなんて、できないよねきっと。

裏庭に着くと、周囲に人—特にクラスメートがいないことを確認した。
私の通っている中学はケータイ禁止じゃないからコソコソする必要なんてないんだけど、なんとなく嫌なんだよね、ケータイ使ってるところ見られるの。
よし、裏庭は相も変わらず無人だ。
クラスの中じゃ滅多にケータイ使わないし、クラスのみんなの私のイメージに“ネット中毒”なんてないだろうな、とか下らないことを考えながら左手に持ったケータイを勢いよく開いた。

裏庭は今日も日が当たらず暗い代わりに、涼しいな。

Re: おまじない。 ( No.2 )
日時: 2012/09/18 09:02
名前: 三朝 ◆Ma8jEpmcbs (ID: kb49zp4f)

ブックマークでなく敢えて閲覧履歴からよく行くサイトを探し出した。
探す、と言ってもよく行ってるからほぼトップか、それに近いところにあるんだけど。
再び周囲を見回すと接続した。

接続中…の画面が消えると、よく行くサイトのトップページが表示された。ピンク系の色でまとめられた、お洒落で可愛らしいデザインのトップ。
自分でもなんでこんなSNSなんかにハマっちゃったんだろう、とか思う。でも—仕方ない、と自分では思っている。何が、かはよくわからないけれども。
パソコンよりダルいスクロールをすると、「新着メッセージがあります」という赤太字が目に入ってきた。
差出人は、と確認すると予想通りだった。このサイト、いや、ネット上での一番の友達である漆黒のレインだった。

私だって、友達はいる。それがネットの中だというだけで。漆黒のレインとは本当にウマが合って仲がいい、と私は思っている。現実での漆黒のレインがどう思っているかは、知らないけど。漆黒のレイン—通称レインは、現実で出会っていたかったな、と感じるときがある。
ネットでも現実でも、私の痛みやら何やらを、まともに聞いてくれるのは彼女だけだったから。
“彼女”と言ったけど、レインが本当に女かもわからない。一人称が“俺”で自分では女だと言っているし受け答えの感じも女の子っぽいけど、それでも事実はレインしかわからない、と。
真実が何かわからないネットはめんどうくさいけど、ネットにおいてはそんなもの求めてないよ、私は。メディアリテラシーなんて低くていいかわりに、どんな情報も信用しませんよ、ということ。そして被害者にも加害者にもならないで平穏にネットの海を泳いでいこう。我ながら寂しいな、そんなの。

そうは言っても私、ネットは嫌いじゃないんだ。
それにもちろん、レインのことも嫌いじゃない。

Re: おまじない。 ( No.3 )
日時: 2012/09/18 16:02
名前: 三朝 ◆Ma8jEpmcbs (ID: kb49zp4f)

「さて、と。レインのメッセージ開くか」
誰にともなく呟いた。当たり前、ここには私以外いないんだから。見間違いでなければ、だけど。

『やほー、スズ
今、昼休みなんだ。でもお腹痛いし
食欲ない(>_<;)

あ、そーだ。
そろそろ半値変えようかな…て思ってるんだ。
スズは、どう思う?

tk、なんかいいの思いつく?(笑)』

メッセージにそんなことが書いてある。
前もお腹痛いとか言ってたな、と過去のことを懐かしみながら傍にあるベンチに腰かけた。立ちっぱなしじゃ、疲れるし。
現実世界での私の名前は“中野千花”。でもネットでは“スズ”と名乗っている。…現実とネットで名前が違うのなんて、普通か。
私のハンドルネームは、昔の友人から一部をもらっている。きっと私のせいで、二度と会えない、でもずっと一番大事な友達。

「レインに返信、するか。」
そして、誤字脱字がないかをチェックしながら、メッセージの返信を打った。
自分の学校も昼休みであることとか、レインは高校生だから弁当か?と訊いてみたりとか、体調には気をつけとけよ、とか。
特に当たり障りのないことを書いた、つもり。

Re: おまじない。 ( No.4 )
日時: 2012/10/07 21:56
名前: 三朝 ◆Ma8jEpmcbs (ID: s7P63baJ)

レインにメッセージの返信をして、ケータイの時計を見ると、昼休み終了の予鈴が鳴る2分前だった。

さて、教室に戻るか。

ケータイにロックをかけてポケットにつっこむと、さっき来た道を戻っていった。
3階の教室まで戻るの、ダルイなぁー。


きーんこーん…

帰りのHRが終わった。
と同時に私は教室を出て行った。
レインからのメッセージを確認したくて。通知メールが着てないから、多分着てないと思うんだけど、それでも気になって。

「中野…さん」

教室をでてすぐ、クラスの女子に呼び止められた。
なんだよ、急いでるのに。
と思いながらも話だけは一応聞く素振りを見せた。
友達はいらないけど、同じクラスの人間に意図的に嫌われるなんて面倒くさいこと、したくなかった。嫌われたら後々めんどくさいし…

「何?」
「今日、あたしらの班教室掃除だから。忘れないでよ」
「うん、分かってる。トイレ行ったらすぐ戻ってくるよ」

あーあ、出たよ。勝手に人のことサボりって勘違いするめんどくさい奴。
確かに私は愛想悪いし、お世辞にも掃除を真面目にやってるとは言いがたいけどさ、だからって私が掃除をサボったことは1度もないし!
なんて思ったけど、それは口にしない。

そして宣言通り、目的の場所へ行った。
もちろん、ケータイを見るためだけど。

Re: おまじない。 ( No.5 )
日時: 2012/10/15 22:34
名前: 三朝 ◆Ma8jEpmcbs (ID: UE6W7gUy)

「なんだ、通知メール来てなかったのに…」

トイレの個室に籠ると、ケータイを開きレインとメッセージのやりとりをしているサイトへ行った。
通知メール自体は着ていなかったけど、レインからのメッセージはあった。どうして、だろう…。
そんなことを思いつつも、気にしたって仕方ないので気にすることをやめた。私にはレインがいればいい。私の話を聞いてくれる人がいればいい。それが、レインだった。

レインからのメッセージはとても短かった。

『クラス、やだな。また切っちゃった』。

そんな短い文章でも、私にはレインが何を言いたがっているかわかった気がした。レインとずっと仲良くしてた私なら、レインの事情を知ってる私なら。
ふと時々、レインが言っていることは全て嘘なんじゃないかと思うことがあった。嘘を吐いて、レインの相談に乗っている私をすごくバカにしているんじゃないかと思うときがあった。そしてその、非常に冷めた冷たい感覚のそれはいつだって、レインと一番盛り上がっているときに唐突にやってきた。
それでも、『レイン』は大切だった。信じてない、信じられないけど、私の話を聞いてくれる、数少ない存在。だから私も、レインの話を聞いて、レインを支えたかった。

要するに、本当なら今すぐ返信したいけど、私はあえてその選択を取らなかった。

早めに教室に戻って掃除をしないと、クラスの女子がうるさいな。


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