社会問題小説・評論板
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- 愛されなかったキミへ。
- 日時: 2012/11/04 18:24
- 名前: ゆき (ID: 1aSbdoxj)
———————————どうしてなのだろう。
どうしてキミばかり——————
———————————傷つかなければいけないのだろう………———
- Re: 愛されなかったキミへ。 ( No.1 )
- 日時: 2012/11/10 08:49
- 名前: ゆき (ID: 1aSbdoxj)
いつもと変わらない、澄んだ青空の広がる下。
私はいつものように社内を動き回っていた。
「 山本ー この資料すぐコピーして。 」
「 はーい」
「 山本 コーヒーまだー?! 」
「 はいはいっ 今行きます!! 」
「 山本 コピー早くっ!!! もうすぐプレゼンッ!!! んもーッ!!! 」
「 今やりますーッ!!!!
騒がしく響き渡る、皆の声。
残暑の影響か、全社員がイライラオーラ全開。
まだ私は入社ばかりの雑用で、会議になんてめったに出ないし、
山本=雑用 の印象が皆についてしまっている。
雑用だって、案外大変。
そんなこと頭にない上司の皆様は、当たり前のように、
気軽に私の名前を口にする。
「 ……ふぅ………」
一息つけるのは、仕事帰り。
黒く染まった空の下、マクドナルドに寄って、
チーズバーガーと、コーラ、最後にアップルパイを食べるのが日課。
毎日食べても飽きないくらい、私の大好物。
周りのカップルなど気にもせずに、黙々と食べるのが私流。
一口一口、ちゃんと味わって食べたい派なので。
今日も、一人、チーズバーガーを頼み終え席に座っていると…
「 ……真奈さんですか……? 」
いきなりそう話しかけれれた。
- Re: 愛されなかったキミへ。 ( No.2 )
- 日時: 2012/11/10 08:52
- 名前: ゆき (ID: 1aSbdoxj)
「 はい? 」
くるっと首を回し振り返ると、
どこかで見覚えのある、懐かしい顔が、
胸の奥をぎゅっと握り潰した。
……なにこの感覚。
彼女を見るだけで、凄くつらくて苦しい気持ちになる。
………そんな謎も、彼女によって、すぐの解かれた。
「 お久しぶりです。 黒澤です。奇遇ですね。」
……やっぱりそうだったんだ。
「 …久しぶりね。……優ちゃん。 」
そう言うと、優ちゃんは愛嬌のある笑顔で微笑んだ。
「 ここの席、座って? …聞きたいことがあるから。」
「 …失礼します。……お話って… 姉のことでしょうか……? 」
「 ……ええ…。 ……詳しく、教えて。」
先ほどまでニコニコしていたとは思えないくらい、
真剣な面持ちで私を見つめる優ちゃん。
「 ……わかりました。
長くなると思いますが、飽きたりしないでくださいね。」
ふふっと微笑んだ優ちゃんは、
先ほど笑顔からは考えられないくらい、寂しく微笑んだ。
- Re: 愛されなかったキミへ。 ( No.3 )
- 日時: 2012/11/11 10:45
- 名前: ゆき (ID: 1aSbdoxj)
———————8年前———————
「 ……真奈っ おはよう!! 」
「 おはよう、 愛!!!! 」
私の隣には、いつも可愛く微笑む彼女、”黒澤 愛”の姿があった。
私たちは、誰もが羨むくらい仲が良く、
”大親友”そんな言葉が、自然と私たち二人のものになっていた。
「 昨日、可愛いお店見つけたんだ。
お揃いのもの、買おうよ!! 」
「 うんっ!!! 放課後、早速行こうね!!!」
放課後も、ずっと一緒。
時々、マクドナルドで恋バナをしたりもして。
どっちか一人でも失恋すれば、必ず二人とも涙していた。
だって、自分ことのようにつらかったのだから。
彼女の悲しみを、半分労わってあげたい。
そういう気持ちになるくらい、私たちの絆は深く、強い確かなものだった。
毎日が天国のように幸せで、
何度、時間が増えたらいいのに、そう思っただろうか。
何度、一生、愛と親友でいたい、そう願ったろうか。
………でも、ある日を期に、幸せでしかなかった私の世界は、
どんどん歪んで、そしてガラスのようにバラバラに砕け散っていった。
そのきっかけをつくったのは、クラスのある女の子。
…些細な一言から始まってしまった。
「 黒澤愛ってさ、ちょっと可愛いからって、
調子乗ってるよね。」
その子がそう言った途端、みんな一斉に口を出し始めた。
「 わかるわかるっ!! 自意識過剰っていうの?
自覚ありの、ぶりっこだよねー。」
「 超、身の程知らず。
鏡見ろよブース。 」
「 皆言い過ぎだってぇー!!!
ぎゃはははははっ!!! 」
……歪んでる。
皆歪んでるよ。
妬みから始まった、暗い現実。
皆…………狂ってる。
そこから始まった、彼女への陰湿な、”いじめ”。
- Re: 愛されなかったキミへ。 ( No.4 )
- 日時: 2012/11/17 16:46
- 名前: ゆき (ID: 1aSbdoxj)
初めは、陰口程度だった。
愛を見ながらクスクス笑っては、影で思いっきり陰口を言う。
それだけでも、愛は苦しめられていたのに。
…彼女たちのいじめは日に日にエスカレートしてしまった。
愛がいてもお構いなしに、暴言を吐き捲くる、最低な女子へと、
クラスメイトの皆は変化を遂げた。
しかし。
教室に男子が入ってくると、
何事もなかったように、一切悪口は聞こえなくなる。
……ぶりっこは、あんたらじゃん。
そう思っても、怖くて言えないのが事実。
次のターゲットのでもされたら、愛みたいに、耐えられない。
「 ……移動教室だよ。 ……真奈 行こう?……」
「 ………うん……そうだね……」
必死で笑顔を作る愛。
凄く痛々しくて、見ているだけで泣いてしまいそうになる。
お願いだから、やめてよ。
あんなに可愛い笑顔だった愛を、こんな風にしたのは、
すべて彼女たちのせい。
神様。 どうか彼女を守ってあげてください。
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