社会問題小説・評論板

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You mean a lot to me.
日時: 2012/12/25 19:57
名前: かるふぁと@光フレッツ ◆gi3lAa5UzA (ID: EmbmWiOV)

こんにちは、はじめまして
かるふぁと@光フレッツと申します

この小説は僕自身の体験、思いを綴った『自伝』です
テーマは『リスカ(リストカット)』です


この自伝は、僕が自身の友達に伝えたいことを綴ってあります

リストカットを止めない友達に、『何か』を伝えたくて。
また、この中にいるかもしれない『リストカッター』の方、その周りの方々、
それから、関係のない方にも、『何か』が伝わればよいと思い、この場を
お借りして自伝という形で綴らせていただきます


この自伝を通じて、たくさんの方に『何か』が伝わることを祈って



2012.12.25 かるふぁと@光フレッツ

Re: You mean a lot to me. ( No.2 )
日時: 2012/12/25 17:33
名前: かるふぁと@光フレッツ ◆gi3lAa5UzA (ID: nG1Gt/.3)

《a fateful encounter》

僕がリストカットを始めたのは中学1年生の時

今年の、夏だったかな

なんかムシャクシャしてたんだよね

まあきっかけは、先輩、かな

その先輩、児玉っていうんだけど

僕、児玉先輩と付き合ってたんだ

もう別れたけどね

あはは、驚いた?

まあそれはどうでもいいんだ

児玉はね、僕にリスカを教えた人なんだ

付き合う前だったかな、付き合ってからだったかな

それは忘れたけど

僕が児玉の左手首の傷を見つけちゃって

「何それ」って聞いたんだ

そしたらさあ、児玉、笑って「リスカだよ」って言うんだよ?

びっくりしたよ

だって笑ってるんだもん

命に関わる事なのにね

怖かったな

ごめん、僕の感想なんてどうでもいいね

とにかく僕はその時初めて『リスカ』の跡を見たんだ

いーっぱいついてた

何か腫れててさ

5本どころじゃないよ

10本、いや、15本あるかもしれない

辛かった

だって、自分の好きな人がそんな事したなんてさ

嫌だと思わないかい?

だから僕言ったんだ「もうやらないで」って

そしたら児玉も「うん」って言ってくれた

だから僕は児玉を信じたよ

でも

その後も

児玉は、嫌な事があると

リスカをした

僕は何回も言った

何回も止めた

「やめて」って

そのたびに児玉は「もうやらない」って言った

でもまたやる

それの繰り返し

僕は児玉に聞いたことがある

「何でそんな事するの?」

返ってくる答えはいつも違った

「ゲーム仲間の友達が死んだんだ」

「また仲間が減った」

僕は児玉が何を言っているのか分からなかったよ

ただ「怖い」と思っていただけだった

でね、またある時はこんな答えが返ってきたんだ

「お前同じクラスに好きな奴いるだろ」

訳分からないでしょ?

嫉妬してリスカしたんだよ

バカじゃんって思った

でも

好きだから

優しく接したんだ

「そんな訳ないでしょ?僕には児玉だけだよ」って

そうやって言うと児玉は満足した

だから僕は嘘を吐いた

思ってる事と違う、優しい事を言ってあげた

そうすれば児玉はリスカをしないと思ったから

嘘を吐くなんて簡単だった

ちょっと笑って優しい言葉をかけるだけだもん

僕は嘘を重ねた

だってリスカなんて怖いじゃないか

肌が切れるんだよ?

"血"が出るんだよ?

児玉がそんな怖い事をするぐらいならって思ったんだ

嘘を吐く事ぐらい容易かったさ

でも結局それは児玉を傷付けていただけだったんだ

うわべだけの優しさ

そんなもの児玉は望んでいなかったのかもね

今回はここまでにしようか

続き?

君が自分から聞きにおいでよ

そしたら聞かせてあげるよ

とびっきり最悪な僕のお話をね

Re: You mean a lot to me. ( No.3 )
日時: 2012/12/25 18:51
名前: かるふぁと@光フレッツ ◆gi3lAa5UzA (ID: uh7M8TG/)

《Wrist slash》

おやおや

こんにちは

続きを聞きに来たの?

そっか

じゃあ話そう

今日は児玉じゃなくて僕のお話だよ

僕がどうしてリスカをしたのか

知りたくなくても聞いてよ

大切な話だからね

僕がリスカをしたのは

やっぱり児玉が関わるんだけどね

ある日児玉が変な事を言い出したんだ

「お前の友達を好きになった」ってね

いやいやいやおかしいだろと思ってたら

「もう告った」とまで言い出す始末

もう僕何も言えなくてね

固まってたら児玉がその子の名前を言うんだ

その名前を聞いて僕は倒れるかと思った

だってその子、僕の親友、仲間だったんだもん

なんでその子にまで手を出すんだって

僕は

児玉とその子を

恨んだ

元から児玉は恋多き人って言うの?

彼女も結構いたらしくて

分かってたけど

でもやっぱりさ、いざとなるとね

よりによって僕の友達だ

恨んだよ

自身が崩れそうな位にね

そこで僕は

その日の夜

カッターを手に取ったんだ

冷たい、無機物の感触

誰も見ていない、一人の空間

刃を出して

左腕にあてる

内側を切る勇気はなかったからね

外側だよ

スッと刃を滑らせる

白い跡がついた

痛くない

跡だけだから

怖くない

恨みの気持ちの方が強かったからかな

僕は夢中だった

必死だった

ただ時間を忘れて跡をつけた

10本、20本

50本、90本

100本、200本

300本つけてやっと我に返った

気がつけば夜の12時

もう寝ようと思ってカッターをしまった

血なんて出ていない

白い跡がついただけ

僕はその夜ぐっすり眠れたんだ

不思議だね

大変な事をしたという気持ちはなかったんだよ

ただ、児玉と友達だけを思ってやったんだ

見たか、お前達のせいで僕の体に傷がついたんだ、お前達のせいで

とまで思ったよ

酷いよね

僕の事なんだけどね

狂っていたんだ

僕も、そして、

児玉も

狂っていた

リスカなんてしても現状は変わらないのにね

分かっていたんだよ

それでも

すがりたかったんだ

逃げたかった

現実という残酷すぎる世界から

自分でもよく分かんないんだけどね

君もそうじゃないの?

違うかな

ああ、君は違うね

君は

誰かに構って欲しいんだよね

分かるよ

大丈夫

分かってる

構って欲しい

それは僕も一緒だった

リスカをしたら児玉がこっちを見てくれるって思ってた

気づいてって心が叫んでた

本当に辛かったんだよ

なかなか理解してくれる人はいないけどね、残念ながら

でも君もこういう経験あるでしょ?

構って欲しい、気づいてって思う事

僕はその気持ちがおかしな形で

リスカという形で表れたんだ

でもその白い跡も、安心感も1日の幻だったんだ

次の日の朝起きたら跡は綺麗に消えてた

ちょっとがっかりした

だからその日の夜はもっと深くって思った

でもね

人間の皮膚って強いね

なかなか深い傷はつかなかった

力がないのか

勇気がないのか

だから僕は方法を変えてみたんだ

浅い傷をいっぱい重ねてみたんだ

そしたらさ、1本の深い傷になるんだ

嬉しかった

僕は調子に乗って何本も浅い傷を重ねた

深い傷がたくさん現れた

その時の傷はまだ残っているよ

ほら、この前見せた傷だよ

覚えているかな?

白く跡が残ってしまったんだ

一生、消えないよ

君は「カッコいい」って言っていたね

僕には、人生の汚点でしかないのにね

今回はここまで

僕もいっぺんに思い出すのは辛いからね

正直もう限界なんだ

だから時間を置いてまた来ておくれ

そしたら今度は、そうだな

この傷を見せた時の反応についてお話するよ

人それぞれだったけれどね

僕は、あの人のおかげでリスカを止めれたんだよ

まあまあ、焦らないで

また今度ね

皆は、一生消えないこの傷、どう思うのかな

楽しみにしていてね

次の悲劇を

Re: You mean a lot to me. ( No.4 )
日時: 2012/12/25 20:31
名前: かるふぁと@光フレッツ ◆gi3lAa5UzA (ID: o/NF97CU)

《Wipe your tears》

こんにちは

また聞きに来てくれたの?

今回は傷を見た皆の反応についてお話する約束だったね

じゃあ話そうか

今回は君も出てくるよ

耳をすませて聞いていてね

この傷を初めに見た人は誰だったかな

もう覚えていないけれど

確か友達だったはずだ

誰に見せたかな

クラスの友達も結構知っているよ

君も、ね

皆「どうしたの!?」って心配してくれた

あんまり言われるのも面倒だから「木の枝で引っ掻いた」って言っているんだ

簡単に皆騙されるよ?

特にあの"親友"とかね

見せてあげたんだ

わざとらしくね

案の定引っ掛かったよ

「自分でやったんじゃないよね!?」とか必死になってたよ

僕は本当の事なんて言わないさ

だからその子にも「引っ掻いちゃった」って言うんだ

僕は狂っている

人を騙すのが楽しくなっていたんだよ

おかしいでしょ?

たくさんの人に見せては心配かけてそれから騙す

でも皆同じ反応

心配するだけ

心の底から心配している人なんてきっと1人もいなかった

ある日の学校帰り、僕は傷の事を児玉に言ってみた

児玉は

鋭い目付きをしたまま黙り込んだ

僕が声をかけると

児玉は走って家に帰ってしまった

そのちょっと後児玉のお母さんから電話があった

「すごく泣いてる」って

児玉が出た

鼻声

まだ泣き止んでいない

声を発するのも大変な状態で児玉は

「何やってんだよ!!!」

と叫んだ

びっくりした

児玉は、心配して、絶望していた

僕はそこで初めてリスカをした事を後悔した

命の重さを

人の思いの重さを

嫌と言うほど痛感した

もうやらないと誓った

児玉のお母さんにも怒られた

もうやらない

僕は児玉とも、児玉のお母さんとも約束した

でもね

正直言うと

僕はその時児玉の事を

うざい

と思ってしまった

いちいち泣くなよ

キモいよ

女々しいんだよ

親にまで言うなよ

うざいな

そう思った自分がいた

でも抑えた

人1人泣かせたんだ

止めなきゃ

その日から僕はリスカをしなくなったよ

人って凄いね

でも結局僕は

いや、またの機会にしようか

また聞きに来た時は、そうだな

児玉とのその後と

君との話をしよう

結局今回君を出してあげられなかったからね

じゃあ、またね

今度の悲劇は「連鎖」だよ

さあ、ここからが本番だよ

Re: You mean a lot to me. ( No.5 )
日時: 2012/12/26 08:58
名前: かるふぁと@光フレッツ ◆gi3lAa5UzA (ID: hBEV.0Z4)

《A chain reaction》

また来たね

じゃあ、始めよう

今度こそ君が出てくるよ

あの後、結局僕はリスカを止められなかったんだ

児玉と別れたからね

リスカはそれが原因じゃないよ?

ただ、児玉がいなくなってストッパーがなくなったからね

のびのびとリスカが出来るって訳だ

まあ深い傷はつけてないけど

浅いのを、いっぱい

しかも白い傷痕が残らないように

上手くなったよ

クラスの男子は冷めた反応

さすが男子、だよね

皆「ふうーん」程度だもん

でもその中でたった1人

食いついた奴がいたね

それが君だよ、楓

楓はバカみたいに食いついた

どうやった?とか痛い?とか

心の声が漏れてますよ、って思ったもん

しかもお前さ

「やってみたい」

って言うんだもんね

僕はその時楓が本物のバカだと確信したよ

ありえないよ

普通やってみたいなんて言わないのにね

楓は楓なりに何かあるんだろうね

楓はその後本当にリスカをやってみせた

僕は

意識が飛ぶかと思った

恐怖に包まれた

何が起こってるか理解できなかった

血は出てないけど

僕には出ているように見えた

何かが崩れた

僕はそれまで封印していたリスカを久しぶりにやった

楓がやったら僕もやるという条件

流石にそれなら楓もやらないだろうと

思ったのに

楓は止めない

日に日に増える傷

日に日に深くなる傷

楓の腕はもう

傷だらけだったよね

それにつれて僕の腕の傷も増えたんだよ

またちょっと

暗い気分になった

僕は楓がリスカをする原因を探した

楓、君は「ない」と言ったよね

僕には分かっているよ

でもそれは僕の口から言っていい事じゃないから言わないことにしているんだ

リスカを止めない君、楓

それを止めようとリスカをする僕

このままじゃダメだよね

だから今こうしてここに言いたい事を綴っているんだ

楓を止めたいんだ

楓は「生きてる意味がない」って言ったね

僕にもないんだ

恋人はいるけどそんなの生きてる意味にならない

家族はいるけどいざとなったら捨てたっていいと思ってる

自分は?

こんな傷だらけの体になんの意味があるというんだ

勉強なんてくそくらえだ

あんな学校クズの集会所でしかない

友達なんてうわべだけの群れだよ

仲間なんて綺麗事

だから僕だって生きてる意味がないのさ

でも僕は生きるんだ

何でだろうね

不思議だよね

生きてる意味がないのに死なないんだもん

さっさと死なないのかな、僕って人は

死ねないのかな

勇気がないから?

臆病だから?

分からないや

次までに考えておくよ

だから今はちょっと休ませて欲しいな

辛いんだ、そろそろ

じゃあ、次を楽しみにしててね

『生きてる意味』か

それは

僕にも

楓、君にも

ないんじゃないかな?

Re: You mean a lot to me. ( No.6 )
日時: 2012/12/26 10:56
名前: かるふぁと@光フレッツ ◆gi3lAa5UzA (ID: jQF4W0MP)

《I'll tell you the reason》

いらっしゃい

『生きてる意味』について考えてきたよ

だから早速聞いておくれよ

僕と楓の『生きてる意味』について

ああもちろん、他の方にも一緒に考えていただきましょう

じゃあまず結論といこうか

考えたんだけどね

僕の生きてる意味は

見つからなかったよ

前も言ったけどね

やっぱりなかったみたいなんだ

じゃあ何で死なないのかって思った

そしたらさ

ふと気づいたんだ

『死ぬ意味』もないことに

死んでも何もいい事なんてないんだから

じゃあ死ぬ事ないか、ってね

いいことあるなんてバカらしい

死んで楽になれるとか思ってたら間違いだ

死ぬまでが

楽じゃないんだよ

勇気が必要

道具が必要

君が死んだら後片付けも必要

ほら、大変でしょ?

ちょっと話がそれちゃったね

それでね

結局僕には

生きてる意味も死ぬ意味もなかった

じゃあ生きよう

いや

生きざるを得ない

死ぬのはめんどくさい

生きるのもめんどくさい

死ぬのは怖い

生きてても怖い事いっぱい

天国が地獄か

生か死か

苦か楽か

僕にはどっちも選べない

だからこそ生きる

訳分からないでしょ?

でもね、いざ死のうとすると

体が拒否するんだ

ピクピクって痙攣するんだ

手足がバタバタして

体が『生きたい』って言うんだ

生きるしかないんだよ

ねえ楓

君がそんな理由でリスカに手を出したなんて

君の親も

君の沢山の友達も

君の先輩も

それから

僕も

皆が知ったら

どう思うだろうね

大変だったねって

慰めてくれる?

バカじゃないのって

貶される?

じゃあ僕もって

リスカが広まる?

分からない

分からないから、怖い

君が本来踏み入れる筈じゃない

『リスカ』という領域に

誘ったのは



だから僕は

責任を取りたい

君の腕の傷は消えないし

リスカをしたという事実も変わらないけど

それでも

僕にも何か出来る筈だから

楓にリスカをやめてほしい

そんなことしなくても

悩みを

苦しみを

乗り越えてほしい

そういう仲間をつくってほしい

心の底から

笑ってほしい

もっと違う事を君と話したい

リスカの話なんて嫌だよ

それが僕の想いです

でもちょっと嫌な事言うとね

甘えてんじゃねえ

リスカに逃げてるだけだろ

リスカなんかしなくたって君は

1人でやっていける

だって、人間だから

それでも辛くなったって

友達がいるよ

仲間がいるよ

僕が

僕がいるよ

だからやめてよ

お願いだよ

僕は

君の事が気になって

またリスカしてないかって

不安で

冬休みも

土日ですら

安心して過ごせないんだよ

ねえ

このお話を聞いてくれている皆

あなたは

君は

リストカッターですか

身近にリストカッターの方がいますか

いなくても

何か抱えていませんか

誰かに気づいて欲しいんじゃないですか

助けを求めていませんか

ねえ

僕が

話を聞くよ

だから

抱えないで

リスカなんか

やめてほしい

なくなってほしい

僕は

それだけを

願ってる

綺麗事言ってるのは分かってる

こんな自伝で

誰が救われる訳じゃない

でも

言いたい

これしか言葉が見つからないけど

こんな言葉でしか

伝えられないけど

でも伝えたい

楓も

僕も

それから

このお話を聞いてくれている皆も

誰かの子孫で

誰かの家族で

誰かのクラスメイトで

誰かの友達で

誰かの仲間で

誰かの好きな人で

誰かにとっての

心の支えで

信頼できる人で

大切な人で

僕にとって

とてもとても

大切な命

大切な人

だから

だから

笑っていて

何かあったら

言ってよ

抱えている事があるなら

教えてよ

君が

大切だから

守りたい

今回はここまでにしようか

言いたい事はまだ尽きないけど

長くなりそうだからね

僕も君も疲れちゃうでしょ?

だからまたね

君が抱えているものは

何?


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