社会問題小説・評論板

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クラス『格付け』ゲーム
日時: 2013/05/06 11:28
名前: ちくわ (ID: nEnRoFHz)


それは、何時から始まったのか。

誰の手で始められたのか。

何のために始められたのか。


       それは誰にも、分からない。



『この地獄のゲームの、支配者はだぁれ?』


馬鹿馬鹿しい、そして生々しい、地獄のゲームの『プレイヤー』となってしまった少女たちの物語。

少女たちは、ゲームに『汚染』されてゆく。
『最後まで正気を保てるのかなぁ?』





『無理に決まってる。』

Re: クラス『格付け』ゲーム ( No.1 )
日時: 2013/05/06 12:20
名前: ちくわ (ID: nEnRoFHz)

◆主な人物一覧表◆



神田 早苗

容姿…まぁまぁ   特筆事項なし
頭脳…そこそこ   特筆事項なし
体力…ある     女子の中ではある方。
権力…まずまず   特筆事項なし
性格…普通     特筆事項なし
委員会…飼育委員会 副委員長に所属。
その他
篠原かずみと仲がいい。少々大胆。



篠原 かずみ

容姿…よい方    男子にはまぁ好かれる容姿
頭脳…よい     優秀な方。
体力…ない     体が弱い。貧弱。
権力…普通     特筆事項なし
性格…普通     特筆事項なし
委員会…飼育委員会 書記に所属。
その他 
神田早苗と仲がいい。モテる。明里という双子の妹あり。




篠原 明里

容姿…普通     特筆事項なし
頭脳…普通     特筆事項なし
体力…普通     特筆事項なし
権力…普通     特筆事項なし
性格…控えめ    特筆事項なし
委員会…運動委員会 副委員長に所属。
その他
極めて目立たない。杉原一樹という男が好き。かずみという双子の姉あり。




小野 沙織

容姿…中の上    特筆事項なし
頭脳…悪い     馬鹿。
体力…ある     体育などは優秀。
権力…ある     権力強し。
性格…悪い     高飛車。
委員会…放送委員会 特筆事項なし
その他
金持ち。権力強し。新田雫や河野美紀と仲が良い。
『クイーン』になり易い。




新田 雫

容姿…愛嬌のある顔 かわいらしい容姿。
頭脳…普通     特筆事項なし
体力…ない     特筆事項なし
性格…腹黒い    ぶりっこ。
委員会…栽培委員会 書記に所属。
その他
いつもかよわい女子を演じている。




河野 美紀

容姿…よい     大人っぽい顔。背が高い。
頭脳…よい     頭脳明晰。
体力…普通     特筆事項なし
性格…悪い     性格が極めて悪い。
委員会…放送委員会 委員長に所属。
その他
大人っぽい女子を演じているが、性格は極めて悪い。新田雫と同じく猫かぶり。



野村 菜々

容姿…悪い     男子にも噂される「不細工」。
頭脳…よい     頭脳は極めてよい。
体力…ない     貧弱。
性格…とてもよい  一日一善を心がける。しかし気弱。
委員会…図書委員会 委員長に所属。
その他
小野沙織等の女子達に虐められやすい、また虐めやすい。
彼女自身も辛いらしいが、気弱なためか反逆できない。
『奴隷』になり易い。




藤川 カノン

容姿…よい     ハーフ。美人。
頭脳…よい     とても頭がよい。
体力…ある     体力がとてもある。
性格…不思議ちゃん とてもいい性格だが、どこか抜けている。
委員会…図書委員会 副委員長に所属。
その他
野村菜々の唯一の友人。『格付けゲーム』を強く非難する。
目立つ。

Re: クラス『格付け』ゲーム ( No.2 )
日時: 2013/05/06 12:07
名前: ちくわ (ID: nEnRoFHz)

第一章 地獄のゲーム




第一話 終わりの始まり



よく晴れた、すがすがしい朝だった。
この日は妙なほど風が気持ちよかったのをうっすらと覚えている。

私のクラスは、『虐め』があった。
ソレは、女子のみに行われていた物で、男子を巻き込むことは全くと言って無かった。

私は全く関与していなかった、と言いたいところだが、私も当時このことは知っていた。だが触れなかった。当時の「観戦者」にとっては、それが暗黙のルールだった、と言えよう。

私たちも、好きで観戦なんかしていた訳ではかろうじて無い。
だが、ターゲットを黙って見ていた、つまり見殺しにしていたので、関与した、ということになるのだろう。




    それが本格化したのが、正にこの日だったのだ。

Re: クラス『格付け』ゲーム ( No.3 )
日時: 2013/05/06 12:19
名前: ちくわ (ID: nEnRoFHz)

その日の放課後。
私達はいつものように帰宅しようとした。だがそれは許されなかった。

何故なら、こんな紙切れが机の中に紛れ込んでいたからだった。
その紙切れには文字が並んでいた。鉛筆で書かれたつたない独特の字が。
その文字は順序よく並び、「文」となっていた。
その文を丸写ししてみる。

『こんにちは、神田早苗さん。
 突然こんな紙っきれが届いてびっくりしました?
 まぁ面倒くさい前置きは抜きにして、早速本題に入ってしまいましょう
 ね。
 2階の一番右隅の空き教室に来てください。
 それは何故か。あのね、私とっても面白いゲームを考え付いてしまった んです。知りたいでしょう?でもね、これすっごく複雑なルールなんだ ぁ。だからね、長いことは空き教室に行ったら分かると思う。っていう か絶対分かるよ!えへへ、じゃあ放課後に空き教室に来てね?
  
        絶対ね。            
                       イラカ」


何だ、これ?イラカと言うのは名前らしいが、…変な名前だ。イルカの書き間違いか?いや、それはあり得ないだろう。
気になる。



何をされるのかは分からないが、取りあえず行ってみようと思う。






私は知らなかった。
その紙切れが、これからの地獄のゲームの始まりとなるコトに。

Re: クラス『格付け』ゲーム ( No.4 )
日時: 2013/05/11 10:21
名前: ちくわ (ID: nEnRoFHz)

空き教室というのは、どこか哀愁の漂う所だ。
もともとあそこは、『特殊学級 ほしぞら』とかいうクラスだったらしい。
もっとも、特殊学級生は昔ほどは減り、そのクラスは無くなり、空き教室となっているが。

教室の隅っこに、血痕のようなものも付いているし。
いやまぁ、「赤い絵の具だ」という説もあるが、私はどうも、あの濃厚な紅く残酷な色が、ヒトによる血だとしか思えない。



話がずれた。
とにかく、空き教室に向かっていた。
すると、すぐ横を小さな2年生が駆け抜けていった。
忘れ物でもしたのだろうか。

空き教室は、大変私のクラス女子たちで込み入っていた。
やはり、あの紙切れは女子全員に行き渡っていたのか。恐ろしいものである。
此処にあの狂人「イラカ」が居るのか?と、思ったら、そこには紙切れがセロハンテープで、無造作に貼ってあった。
やはり紙切れと同じ筆跡の、つたない字で書かれた文章が並べられてあった。

その文章を丸写ししてみる。



『来てくれたんですかあ。私すっごぉい嬉しいぃ!
 とにかく、面白いゲームの内容を教えちゃいましょうねぇ。
 
このゲームの名前は、ズバリ『格付けゲーム』!
最近「いじめ」があるでしょう。
それを本格化してしまうゲームでぇす!楽しそうでしょでしょ?

ルールを説明しますね。

このゲームには「階級」なるものがあります。
これは2週間おきにリセットされますよ。
まず、その種類と人数をば!

クイーン 1人

伯爵   2人

貴族   8人

平民   10人

奴隷   1人

えへへっ!このクラスの女子数にぴったりでしょう?
で、その階級それぞれの特徴をお伝えしちゃいますよぉ!!


まず、クイーン。

いわゆる「トップ」。全ての階級を自由に操り、決められます。
特に「奴隷」虐めのトップになれちゃいます。
伯爵以外の人は、敬語ではなさなければダメですよん!
なぁんでもトップ。皆さんこのヒトを丁重に扱わなければ、あとで痛い目にあっちゃいま〜っす!おお怖い〜。
この階級のみ、私が決められます。
私の気分で決めちゃうのでぇ、前この階級だった人が、奴隷に転落しちゃうかもなので、威張り過ぎにはご注意を♪


そして、伯爵。

唯一クイーンに私語で話すことのできる、クイーンの次にエラい人でぇっす。
比較的優遇されます。
この役もクイーンが決めちゃいまぁっす。


さらに、貴族。

貴族はまだクイーンに私語はNG〜!!
でも少しは優遇されます。
クイーンに指名されます。


また、平民。

極めてフツーの人たち。クイーン、伯爵、貴族の雑用係。
奴隷の虐め材料の調達等ですね。
おとなしくしときましょう。いつ奴隷に堕とされてもおかしくないです。
クイーンに指名されます。


最後に、奴隷。

最低クラス。皆がこの人を虐める権利を持ちます。
だから、どんなコトされちゃっても、自殺はダメよん。
大変な立場かもしれないけど、ガンバでぇっす!
もしかしたら次クイーンになれるかもだしぃ!?




こんなカンジで〜す☆
何度も言うけど、この階級は『2週間おきに』リセットですよ!

でわでわ、今回のクイーンを決めましょう。
今回のクイーンは、ズバリ・・・


藤川 カノンさんでぇっす!


あさってまでに、皆の階級を決めて、それを紙に記して、ソレをココに置いていってくださいなっ!

健闘を祈りまぁっす。     イラカ』

Re: クラス『格付け』ゲーム ( No.5 )
日時: 2013/05/31 10:48
名前: ちくわ (ID: nEnRoFHz)

「…なにこれ」
思わず口から飛び出した落胆の声。

頭がおかしいのか、これを書いたやつは。
腰がへなへなと弱まり、力が入らなくなる。
呆れた。

軽々しい文章。
丸っこい文体。
狂気の内容。

「…ねぇ何?これ…」
かずみが、きつく束ねたポニーテールを揺らして、私に寄り添った。
「わかんない…頭おかしいよね…」
「あーまさにソレ。あのさ、ねぇ、帰ろ。ほら、早苗っちさぁ、今日はスイミングの日じゃなかったっけ?」
かずみはわざと明るい声を上げる。でも私は明るくはなれない。
「…違う。それ明日。ねぇ、これ誰?」
「…こんなの、無視してさ、ほらほら、帰ろぉ!」
「…でもさぁ、気になるじゃんさぁ。かぁっぴもそうでしょ?」

私達が喋っていると、


がらり


ドアが空いた。
ドアの向こうには一人の少女が仁王立ちしている。
それは正しく、狂人イラカに『クイーン』を押し付けられた、藤川カノンだった。

白くて細い陶器のような足で、紙の前にずかずかと進み、
爛々と光った黒か茶色か微妙な色の瞳でそれを舐めるように読み、
これまた微妙な色の綺麗な髪を軽く引っ張りながら、
ピンク色の鮮やかな唇で大声で叫んだ。

「・・・・・・・・!!」

私たちにはその内容は聞き取れなかった。聞きなれない言葉。恐らく彼女が昔学んだという英語だろう。

「信じらんない!何コレ?狂人!クレイジー!サイコパス!こんなフザけたもん認めない!タダでさえ頭のおかしい人間もいるのに!」クラス一の美少女軍団、沙織、雫、美紀を睨みつける。
「こんなもん、私は認めない!こんなの、破ってやるわよ!」

と、ヒステリックに叫ぶと、なんと彼女は壁に貼られた紙をびりびりと細かく破り、窓を大胆に、ばん、と開け、そこから雪のようになった紙を放り投げた。
それはひらひらと舞い、もはや何が書いてあったかすら分からない。

はぁはぁと息を荒げながら、彼女は、ランドセルを乱暴に背負いあげ、
「何が格付けだ。奈々、行こ」
と、恐ろしげに腰を抜かしている野村奈々を無理やり引っ張り上げ、ずんずんと帰っていった。


「…神経太いよね、あの娘。」


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