社会問題小説・評論板
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- 君と私と生と死と。
- 日時: 2013/10/23 18:15
- 名前: 陽炎 ◆6YHidVC6Ek (ID: zS76SbFU)
はじめまして、陽炎です。
結構暗いです(´・ω・`)
よろしくお願いします。
登場人物
・結城 光(ゆうき ひかり)♀
高校二年生。
・松村 優士(まつむら ゆうし)♂
光の同級生。
・結城 佳織(ゆうき かおり)♀
光の母親。
・結城 伸二(ゆうき しんじ)♂
光の父親。
- Re: 君と私と生と死と。 ( No.1 )
- 日時: 2013/10/23 18:22
- 名前: 陽炎 ◆6YHidVC6Ek (ID: zS76SbFU)
『私はなぜ生まれてきたのだろう』
いつしか、そんなことばかり考えるようになって。
生きる希望も、みえなくなって。
『死にたい』だなんて、思うようになって。
私には
生きる価値が、ありますか?
- Re: 君と私と生と死と。 ( No.2 )
- 日時: 2013/10/23 18:37
- 名前: 陽炎 ◆6YHidVC6Ek (ID: zS76SbFU)
両親を事故で亡くしてから、いくつもの年月が過ぎて。
両親を失った悲しみも、薄れかけていた。
「いってきます、お母さん、お父さん」
いつものように、母と父の写真に笑いかける。
返事は、ないけれど。
二人の姿をみれれば、返事なんかなくたっていい。
鞄を肩にひっかけ、家を出た。
「ひかりーっ!!おはよー!!」
「おはよー、未羽ちゃん」
友達と喋りながら、学校へ向かう。
こんな小さなことだけど、とても幸せなんだ。
両親の死から立ち直れたのは、大切な友達のおかげで。
もし友達がいなかったら、私は壊れていたかもしれない。
「あ、そうそう!!今日ね、転校生くるんだって!!」
「転校生……?」
「花ちゃん……っていってたっけかな。すんごい美人さんらしいよー」
「へー……」
仲良く、なれたらいいな。
なんて。
この時は本当に、思っていた。
あんな事が起きるなんて知らずに___……
- Re: 君と私と生と死と。 ( No.3 )
- 日時: 2013/10/23 19:55
- 名前: 陽炎 ◆6YHidVC6Ek (ID: zS76SbFU)
「さて、今日は転校生を紹介します」
先生の一言で、ざわついていた教室が静かになった。
朝に未羽ちゃんが言っていた、花ちゃんかな……
「入っていいですよ」
ガラッと教室のドアが開いた。
教室は、転校生の歩く音しか聞こえないほど静かだった。
転校生が、あまりにも美人だったからだ。
「はじめまして、世羅花と申します。よろしくお願いします」
お辞儀をする姿も、とても綺麗で。
女の私でもおもわずみとれてしまった。
「じゃあ、世羅さんは……結城さんの隣が空いてますね。そこでお願いします」
「はい」
先生が指差したのは、私の隣。
ドキンっと胸が高鳴った。
仲良くなれるかな……
「よろしくね、結城さん。私のことは花でいいよ」
「あ、え、えと、よろしくね、花ちゃん。結城光です。光でいいよ!」
自分でも噛みすぎだと思うほど噛んだ。
恥ずかしい……
「ふふ、よろしくね。光ちゃん」
ふわりと微笑んだ花ちゃんは、本当に綺麗だった。
ぞくりとするほどに。
「……これで、HRを終わります」
先生が教室を出た直後、生徒たちは花ちゃんの周りに集まってきた。
あまりの勢いに、私は椅子から落ちてしまったぐらいだ。
「どこから来たのー?」
「すごい、めっちゃ綺麗!!」
「趣味はー?」
質問が飛び交う中、私はちらりと花ちゃんをみた。
その目は、とても冷たい感じがした。
……気のせい、だよね?
「……ふふ、そんなに一度に質問されたら、答えられないわ」
あの美しい笑顔を浮かべると、周りの人達はその笑顔にみとれた。
「また明日、質問をまとめてきてくれないかな?ちゃんと答えるから」
「そう……だよね!! ごめんね?」
「じゃあさ、学校案内するよ!」
「本当に? ありがとう」
花ちゃんは席を立ち、女の子数人と学校を見回りに行った。
なんだか、嫌な予感がした。
- Re: 君と私と生と死と。 ( No.4 )
- 日時: 2013/10/23 20:52
- 名前: 陽炎 ◆6YHidVC6Ek (ID: zS76SbFU)
「光? お前、今日、日直なんじゃ……」
花ちゃんが教室を出ていって静かになった時、優士君が話しかけてきた。
「……そーだったぁぁぁぁぁ!!」
転校生のことで頭がいっぱいになっていた私は、日直のことなんてキレイさっぱり忘れていた。
日直の仕事で、職員室に行って日誌を取りに行くのもさっぱり。
「ちょっと行ってくる!! ありがと、優士君!!」
「おー。走って転ぶなよー?」
手を振ってきた優士君にぐっと親指を立てると、職員室へと急いだ。
「……のよ……」
「……ですよね……」
「……だから……」
日誌を取りに行った帰り、廊下の隅から複数の話し声が聞こえた。
「本当……うざいわねー」
「学校来んなって感じですよねー」
「ブスだしぶりっこだしサイアクー」
陰口だ。
嫌なものを聞いてしまった。
こういうのを聞くと、すごく暗い気持ちになる。
そっと立ち去ろうとしたその時だった。
「やっぱりそうですよね、花さん!!」
え……?
花、さん……?
驚いて振り返るとそこには、あの美しい笑顔を浮かべた……
花ちゃんがいた。
- Re: 君と私と生と死と。 ( No.5 )
- 日時: 2013/10/24 18:30
- 名前: 陽炎 ◆6YHidVC6Ek (ID: zS76SbFU)
「……あれ? 光……ちゃんだよね?」
やばい。やばいやばいやばい。
気づかれた……!!
「えと……その……花ちゃん? なに話してたの……?」
「……聞いて、なかったの?」
こくりとうなずいた。
最初から最後まで聞いていたなんて、口が裂けても言えない。
「別に、なんでもないよ? あ、もう時間だね……戻ろっか」
「う、うん……」
花ちゃんが浮かべた笑顔は、とても美しくて。
とても、恐ろしくて。
「……話したら、どうしようかなぁ」
すれ違いざまに、そう囁かれた。
私のみえすいた嘘なんてバレバレだった。
花ちゃんがなにを言いたいのかなんて、すぐに分かる。
___言ったら、次はあんただからね?
なぜ、あんなことが言えるのだろう。
今日来たばかりなのに。
なにも、知らないはずなのに。
「言っちゃ、駄目……絶対、駄目……!!」
自分にそう言い聞かせ、その場を立ち去った。
言ってしまったら、私の居場所はきっと、なくなってしまうだろう。
なら、言わなければいい。
そんな甘い考えをしていた自分が、馬鹿だった。
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