社会問題小説・評論板
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- 花は枯れた。
- 日時: 2014/05/05 14:43
- 名前: 翡月 (ID: 5YqwrR3X)
はじめまして、翡月といいます!
えーと、中学生のいじめをテーマに書かせていただこうと思っています。
初心者ですが、頑張るので読んでやってください<(_ _)>
- Re: 花は枯れた。 ( No.1 )
- 日時: 2014/05/05 14:14
- 名前: 翡月 (ID: 5YqwrR3X)
*プロローグ
なんでだろう。どうして?
わたし、なにかした?
真っ暗。
光もなにも見えない。
もう歩けない。歩きたくない。
泣きたい。全部吐き出してしまいたい。
なのに、ねぇ、まだ歩き続けなきゃだめ? 歩かせるの?
笑ってなきゃだめなの? 全部、全部、我慢すればいいの?
わたし、もう笑えないんだよ。
- Re: 花は枯れた。 ( No.2 )
- 日時: 2014/05/05 14:42
- 名前: 翡月 (ID: 5YqwrR3X)
*第一話
「いってきます……」
笑花は小さくつぶやくように言うと、玄関を出た。
朝早いにもかかわらず、すでに太陽は夏の光を放っていた。家の花壇には、オレンジや黄色など、明るい花弁を広げる花々が咲き誇っている。
それをちらりと一瞥すると、足早に学校へ向かう。
周りに登校する生徒の姿はない。学校に着いても、生徒玄関には誰一人来ていなかった。
それもそのはずだ。登校時間の三十分は早く学校に着くよう、家を出ている。
「…………」
なぜか。
『澤内』と自分の名字が書いてある上靴。“いつものように”、それは下駄箱ごと荒らされていた。
『ブリッコ』
『キモイ』
『死ね!』
クセのある女の子らしい丸い文字で、ノートの切れ端に汚い言葉が吐き出されている。そして靴の中に詰まった泥。靴の周りに散乱したゴミ。
悪意の塊のようなそれらを、笑花は表情を変えもせず片付け始めた。
リュックを下ろし、悪口が書き連ねられた紙片を入れる。学校のゴミ箱にでも捨てたら、教師に見つかるおそれがある。
それから靴の中の泥を、一度外に出て、校門の脇の木の根元に捨てた。
そうして全て片付け終わる頃には、登校してくる生徒も出てくる時間になっていた。
小さくため息をつき、まだ少し土がついている上靴を履いて教室に向かった。
- Re: 花は枯れた。 ( No.3 )
- 日時: 2014/05/05 15:32
- 名前: 翡月 (ID: 5YqwrR3X)
「なんかこの辺、くっさいんだけど」
「もう、そんな事言っちゃだめでしょ! ゴミがいるんだから仕方ないじゃん」
「あはは! 菜々サイコー」
げらげらと笑う二人のクラスメート。
今は朝会が終わって、授業までの十分休憩の時間だ。そんな短い時間でも、笑花への攻撃は容赦なくやってくる。
イスに座って、視線を少し下げていた笑花の髪が、突然引っ張られた。
「いっ……!?」
ふいをつかれた笑花は思わず相手の手を振りはらう。
「いたいなー。ちょっと髪の毛触っただけじゃん。なにー? 男にしか触らせませんー、みたいな?」
「うわ、さすが男好き」
笑花の髪を引っ張った、ショートカットのクラスメートーー菜々が、机の上の筆箱を手に取った。そのまま上へ放り、もう一人のクラスメートーー佐季に投げ渡す。
「おっと」
「ちょ、返して」
笑花が手をのばすが、
「そのへんの誰か、取ってねー」
佐季が教室の後ろの方へ投げ渡した。
「よし。取ったよー」
「ナイスキャッチ」
「て、いらないんですけど、こんなの」
筆箱のチャックの部分をつまみ、ぶらぶらゆらす。周りに笑いが起こる。
笑花は唇をかみ、後ろへ歩きだすが、菜々に足を引っかけられて派手に転倒した。
「あは、ドジ」
一回笑花の背中を蹴ると、彼女の筆箱を持つクラスメートーー和歌奈に声をかけた。
「それさ、いらないなら捨てちゃっていいよ?」
「マジ?」
「マジマジ。こいつのガードゆるいのが悪いんだし」
そんな会話を、笑花は聞く事しかできない。
泣くな、泣いちゃだめ。もうすぐ授業が始まる。泣いてたら怪しまれる。
心の中で必死に泣くな、泣くなとくり返す。
「んじゃ、笑花ちゃん」
和歌奈が目の前にしゃがみこんだ。筆箱をぶらぶらと揺らす。不自然なほど優しい笑顔をうかべている。
「これ、男子トイレの中にでも放り込んどくね」
「……っ、嫌だ! 返してっ」
手をのばすが、佐季にその手を踏まれた。
「捨ててきていいよ」
「うん。詩織、一緒に行こ」
詩織ーー。笑花が助けを求めるように、和歌奈に手をひかれていく友達を見つめる。
「しおり」
一言、名前だけを呼ぶ。
だが、詩織が立ち止まってくれることはなかった。やっぱり、助けてはくれなかった。
あんなに一緒にいたのに……。友達だったよね……?
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