社会問題小説・評論板
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- あの子がぶりっ子する理由。
- 日時: 2015/02/16 19:00
- 名前: 椎名 ◆PceToXXaTU (ID: nUPupIAw)
私のクラスには、ぶりっ子という一つの個性を持った子がいる。
その子の個性を忌み嫌ったりするクラスの女王様を気取る奴らはその子をいじめている。
私は彼女がなぜそんなことをするのか
いじめられてもぶりっ子をやめないのかを全て知っている。
でも、それを伝えることは難しくて。
今はまだ何も出来ていない。
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工藤 美香。私はこの名前が昔から好きで、自己紹介も得意だったし、自信に満ち溢れていたほうだと思う。
そんな私が、偽りの仮面を決して外さない少女に出会ったのは、中学二年生…去年の春だ。
隣のクラスは凄く賑やかだったのに、誰もがよく陰で口にしていた子がいた。
それは、ぶりっ子の女の子で、学校中で有名だという北条 愛。
北条さんの口癖は決まって同じだという。
「愛ちゃん、自分が可愛いと思ってるしぃ…?」
最初はすごく寒気もしたけど、その子のことを知って正直興味もあった。
絶対面白いって思ってた。放課後、体育館で出会うまでは。
* * *
私が体育館に来た理由は、バスケ部の子が3人大きな怪我をして、全員で保険室に行ったから。
バスケ部はみんな運動神経もいいし、全員結構なイケメンだから女子に騒がれる。しかし、そんなのはお構いなしに頑張っている真面目な部員たち。
私はそんな人たちが、3人も怪我を負うなんて思ってもなかった。
手当をしたかったのはやまやまだけど、マネージャーの私は片付けを頼まれ、保健室まで送ったあとに片付けをしていた。
しかし、誰かが一人でバスケットボールをゴールにひたすら入れていたのに気づき、そのまま足を止めた。
遠くからでもわかるほど自分の可愛さに自信があるような容姿だけど、実際本当に可愛くて。
そんな子がイライラしたような顔でバスケをしているなんて思ってもなかった。
ボールは散乱していて、その子は手に持っていたボールを見つめたあと、綺麗なダンクシュートを決めた。
思わず拍手をしてしまった。部員たちでもたまに失敗するダンクシュート。
それを綺麗に決めるなんて。
女の子は驚いたような表情でこちらを見た。
思わず手を引っ込める。
「誰?」
「工藤、美香…。バスケ部のマネージャーの。あなたは?」
「愛は北条 愛っていうの。よろしくねっ」
如何にも作ったような表情と声。
それを簡単にわかってしまう自分が少し怖い。
というか、噂の愛ちゃんと話してしまった…っ!
「よ、よろしく…。ところで、どうして怒ってるの?」
愛ちゃんの表情が崩れ、舌打ちが聞こえた。
「そこまで見てたのかぁ…」
「あ、あと…どうして表情とか声を作ってるの?」
「おお。愛をそこまで見抜く人は初めて。美香ちゃんすごいんだね。バレちゃったから教えてあげる。ちょっとこっちに来て」
手招きされ、愛ちゃんと後を付いていった。