社会問題小説・評論板

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毒林檎の樹。
日時: 2015/03/05 20:03
名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)

どうも、亜季と申します。

普段は本館のシリアス・ダークの方で活動しておりますが、今回新たに此方でも活動する事に致しました。
次から急にプロローグが始まりますご注意ください↓

—プロローグ 林檎—

皆さんは、林檎はお好きですか?
甘くて、ほんのり酸っぱい林檎。あの子の頬の様に赤い林檎。
それぞれ味や形を想像しているでしょう。
でも、この樹は違いました。
皆さんが林檎を食べて幸せに為るとすれば、この樹は食べれば差し詰め不幸が訪れます。
ええ、そうでしょう。
誰もそんな物、食べるわけがないと思っていらっしゃるのでしょう。

ところがね。
頭や顔の良い子が、それをもぎ取っていくのですよ。
え?取る理由?
さあ、私には分かりかねませんね。だって、もぎ取って食べるわけじゃないんですから。

誰かにむりやり食べさせているのかもしれませんけどね。

Re: 毒林檎の樹。 ( No.1 )
日時: 2015/03/06 16:35
名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)

時間が無かったので一日置いての投稿です


—新芽—

〜〜
わたしは新芽
まだ 伸びるの

まだまだ 実を結ぶには早い

だから 遊ぶ事にした
〜〜

普段通り、騒がしい教室。其処に皆嫌っている先生がずかずかと入って来た。

「静かにしろ!」

先生の怒声で、教室は一気にしんとなった。まあ、数名はにやにやして、時々小さな笑い声を出しているが。

「皆に、大切なお知らせがある」

そう言った先生の声は、何処となく震えていた。そんなに大切な知らせなのだろうか。先程まで笑っていた奴も、今日ばかりは真顔になっている。

「…6年B組の、紫藤凛は知っているな」

そう問いかけるように先生は言った。だが、それに答えを求めていないのを知っている。誰も何も言う事無く、先生は話を進めた。

「紫藤凛が、死んだ」

先生の顔に表情は無かった。泣くわけでもなく、悲しげに微笑むのでもなく、ただただ無表情だ。よく見ると、先生の顔には涙の痕が残っている。それに、泣きはらした目。それを見て、先生はとうに泣きつかれているのだと悟った。

「せ、先生。死んだ、って、どういう…」

そう、素っ頓狂な声をあげたのは、先生の真正面に座っている香夏子だった。そういえば、香夏子は凛と仲良かったっけ。

「…昨夜7時頃だ。何時もの様に食卓を囲んでいると、急に紫藤が腹痛を訴え、嘔吐してしまったそうだ。只事ではないと思った両親が救急車を呼んで、搬送される途中で死んだという。何故急に死んだのかは、今警察が調べているらしい」

淡々と先生は語った。
凛の事はあまりよく知らなかったが、それでも同じ学年の人が死ぬと言う事は少し悲しい。仲間が、一人消えると言う事だから。

「凛…嘘だぁ…」

香夏子は、両手で顔を覆ってすすり泣いている。チラと隣の恵理を見ると、彼女も泣きそうになっていた。多分、香夏子が泣いているのを見て、つられて泣きそうになっているのだろう。

じっと恵理を見ていると、急に恵理が顔を上げた。見ている事に気付いたのだろう。

「…修也は、泣かないの」

「え、ああ…。だって、泣いたら凛に悪いだろ」

適当にそれらしい事を言って誤魔化す。仕方ない、涙が出ないんだから。

「そっか…。修也は強いね」

彼女は、そう言って力無く微笑んだ。だが、恵理の目には涙が浮かんで、数秒の間に零れ落ちていく。

俺は、落ちていく液体をじっと見つめていた。

Re: 毒林檎の樹。 ( No.2 )
日時: 2015/03/07 10:15
名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)

—新芽 2—

紫藤凛が死んだ。別に、あの子の事を知っているわけでもない。一度や二度しか話した事がないから。
だから泣かないのは普通でしょう。ニュースで何処かの県の人が死んだという記事を見たって、悲しくならないように。

なのに、失礼なお馬鹿さんは、わたしの事を変だと言うの。
別にあの子の事、好きじゃないのにね。

「ねえ、なんで綾ちゃんは泣いてないのかな」

ほら、また声が聞こえる。わたしが地獄耳だってこと、知らないのかしら。
全部聞こえるのに。

「男子なら泣かないのはまあ許せるけどさあ、女子だし。ねえ?」

ああ。また差別ね。10代前半の女子によくありがちな、男女差別。全くもって嫌になっちゃうわ。

「そういえば、杏の隣の、修也君は泣いてなかったね」

「…修也君は強かったよ。泣いたら凛に悪いって」

最近の小学生は感が鈍いのかしら。そんなの、本心見え見えだわ。
涙が出ないんですもの、仕方ない事。

「本当、なんか綾って仮面付けてるみたいだよねぇ。普段はニコニコしてる癖に、こういうときは全然感情を表さないの。ちょっとおかしくない?」

ああ、なんかだんだん腹が立って来たわ。こうやってじっと聞いてるのも飽き飽きしちゃうし、ちょっと行って問い質してみよう。

「ねえ、龍樹ちゃん。今、何話してたの?わたしの事、見てたみたいだけど」

お得意の笑顔で問い質す。まあ、単刀直入に言えば、尋問だけど。

「…っ」

わたしが来た事に驚いているみたい。あはは、本当馬鹿らしいわ。聞こえてないとでも思ってるのかしら?

「い、いや…特に他愛のない話してただけ。あと、あたし別に見てないし…」

「龍樹ちゃん、地獄耳って知ってる?」

「え?」

わたしの突然の問いに、びっくりしてるみたい。当然、周りの子の笑顔も消え失せる。だって、龍樹は馬鹿だけど、周りの子は頭良いもの。
なんで龍樹なんかと付き合ってるのかしら。

「地獄耳って言うのはね、人の秘密とか、逸早く聞き込んでる人の事を言うんだよ。知ってる?」

「…知らない。それがなんだっていうの?」

龍樹が、少し睨んでくる。怖がらせてるつもりなのかもしれないけど、全然怖くない。

「なんとなく言ってみただけ。まあ、それが何を意味しているかは、自分で考えればどうかな?人に聞いてばかりじゃ、勉強にならないし、ね」

ここぞとばかりに、にっこりと笑って見せる。
今のは、ちょっとした警告のつもりだけど、何時の間にかクラス中の皆がわたしの話を聞いてたみたい。

まあ、いいわ。
あの話は、落ち零れじゃ分からないでしょうけど、察しの良い子は簡単に気付くからね。

「それとね、龍樹ちゃん」

わたしは言い忘れていた事を思い出し、話を続けた。

「何度も言った話は、二度とする物じゃないんだよ」


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