社会問題小説・評論板
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- 小さな社会 -Small society-
- 日時: 2015/09/21 14:48
- 名前: 和水 (ID: 3NNM32wR)
私立のお嬢様小学校から転校してきた少女・琴音。
地味で目立たないいじめられっこの少年・大翔。
充実した生活を送ってきたように見える少女・榛陽。
クラスメイト一人一人の思いが、小さな社会「学校」を変えていく———。
- Re: 小さな社会 -Small society- ( No.1 )
- 日時: 2015/09/21 15:12
- 名前: 和水 (ID: 3NNM32wR)
春には、『始業式』という一年の運命を決めるほど重大な行事がある。
仲の良い子と同じクラスになった場合は手を取り合って喜び、仲の悪い子と同じクラスになった場合はひっそりと悲しむ。
それは、教師においても同じかもしれない———と二年目の教師・新谷優衣は思った。問題児がいるクラスを受け持つ事になって落ち込んだのはつい昨年の事だ。
「六年三組、かぁ……」
問題児という問題児は見当たらないし、少し煩いだけの生徒を問題児と数えていたらこの学校は恐らく問題児だらけになっているだろう、と優衣は思う。
だから六年三組に問題児はいない、多分。今のところは『少し煩い』生徒が男子に数人と、少し気がかりな生徒が女子に一人———そしてその悪い予感は恐らく当たるだろう。
「それにしても煩いですね、新谷先生」
「はい、特に六年一組なんて……凄いですね」
話しかけてきたのは六年二組を受け持つことになった優衣より少し年上の男性教師・山崎祥平だ。六年二組は三組の横でぎゃあぎゃあ騒いでいる。
『まるで猿山のようだ』と思ったのは勿論黙っておくが、三組に比べかなり煩い事は一目瞭然、繕いようのない事実である。
「一組の担任は……岩田先生か、二組よりも煩いなんて相当だな。はあー、三組は静かで羨ましい。四組も静かだな……あとは転校生次第ですね」
転校生……恐らく訳あり、そして優衣の中では問題児予備軍だ。
気がかり、な一人の女子生徒……それは私立のお金持ち名門小学校から転校してくる一人の女子生徒の事である。
○
恐らく生徒にとっては面倒であった始業式も終わり、教室にて『自己紹介』という転校生以外には今更必要もない時間が設けられ、今はその最中であった。
「赤坂啓太、好きな物は金と美女!」
眼鏡をかけた色白のモヤシの様な出席番号一番の男子生徒が自己紹介をする。大人しそうな外見に似合わず、サッカーがかなり上手く、優衣の中での
『少し煩い生徒』の中に入っている。
「赤坂なんだよそれー」
「何言ってんのあんた、馬鹿じゃないの!」
その自己紹介には勿論他の生徒から非難のヤジが飛ばされるが、決して嫌われているわけではない。
「猪野雄心、好きな食べ物はモヤシ……」
出席番号二番の男子生徒も眼鏡をかけていて、しかも色白でガリガリ、顔が長めで、正直赤坂よりもモヤシっぽい外見であり、名前と外見が全く一致しない。
「共食いじゃねえーか!」
……と、先ほど同様ヤジが飛ばされるが、決して嫌われているわけでもない、大体この生徒は嫌われるほどの関係を持つ友達がいなかったはずだ。
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