社会問題小説・評論板
■漢字にルビが振れるようになりました！使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例）鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 「「貴方にはわからないでしょうね」」
- 日時： 2015/11/03 22:32
- 名前： 蛍 （ID: 9AGFDH0G）
あの子は私にないものを全部持っていた。
容姿、頭脳、運動能力、人望……すべてを。
私があの子と**じゃなかったら、惨めな思いをすることもなかったのに。
▽
私はなにも悪くない。
私が容姿端麗なのも、頭脳明晰なのも、ぜんぶ、ぜんぶ。
私のせいじゃないのよ。
＿＿＿＿＿
はじめまして。
小説を書くのは久しぶりなので色々と見にくい点や拙い点あると思いますが、よろしくお願いします。
更新は亀並みです。
▽主要人物
楯山 芙美/たてやま ふみ
七尾中学校2年1組。いじめられている。
亜未を嫌っているようだが…。
白城 万里花/しらき まりか
七尾中学校2年1組。近所ではそれなりに有名な実業家の娘。
芙美をいじめている。悠真のことが好き…？
鈴森 亜未/すずもり あみ
七尾中学校2年1組。万里花らとよくつるんでいるが、
いじめには加担していない様子。
小日向 悠真/こひなた ゆうま
七尾中学校2年3組。芙美が思いを寄せている相手だが、
本人は亜未が好き。
七尾中学校:都会とも田舎ともいえない場所にある。クラスは各学年3クラスで、全校生徒は300人弱。
＿＿＿＿＿
▽目次
プロローグ >>1
第1話 >>2
第2話 >>3
第3話 >>5
第4話 >>6
第5話 >>7
第6話 >>8
第7話 >>9
第8話 >>10
- Re: 「「貴方にはわからないでしょうね」」 ( No.1 )
- 日時： 2015/10/31 09:48
- 名前： 蛍 （ID: IqVXZA8s）
［プロローグ］
——…あの子に出来ることが何で貴方に出来ないのかしら？
—…やっぱり貴方は出来損ないね
…死んだ方がいいんじゃない？
「何も出来ないよね」
「あんたって、ほんと出来損ない！」
「さっさと死んでくれない？」
私は"出来損ない"なの？死んだ方がいいの？
あの子は必要で、私は不必要？
あの子さえいなければ、私は比べられなくて済んだのに！
—全部あの子のせい。私は悪くない。
- Re: 「「貴方にはわからないでしょうね」」 ( No.2 )
- 日時： 2015/10/31 10:55
- 名前： 蛍 （ID: RnkmdEze）
［第1話］
「おはよー」
「ねぇねぇ、昨日のテレビ見た？」
「放課後遊ばね？」
朝、各々の会話が飛び交う中、私は教室に着いた。
家が近いから油断してたら、自転車がパンクして、こんな時間になってしまった。ギリギリ間に合ったけれど。
私にはこの出来事を話す人も、挨拶を交わす人もいない。扉を開くガラガラという音にも、誰も振り返らない。
それが、ふつう。
急いで自転車をこいだためか少しくらくらする頭を沈めながら席に座る。
机にはマジックで、死ねやらうざいやらと、見るにも耐えない落書きがされていた。新しく増えていた落書きはまだかわいていなかったようで、指にインクがついてしまった。
ため息をつき、教科書とノートを取り出す。当然のように破られ、落書きだらけの教科書たちを机の中にしまう。
「あ、おはよぉ、芙美ちゃんっ」
上からねっとり声で話しかけられ、顔をあげると、クラスの権力者である万里花の姿があった。グーにした手を顔の横に配置し、表情はかなりあざとい。俗に言うぶりっこのような感じ。
ここで無視をすれば勿論只では済まない。
「…おはよう、ございます」
「あっ！机に落書きがあるぅ！かわいそーう。私が消すの手伝ってあげるね？」
万里花はそう言うとどこからともなく雑巾を取りだし、私に向かって投げた。特に抵抗をしなかった私の顔面に雑巾が当たり、そのままずるっと膝の上に落ちた。びしょ濡れの雑巾が制服にしみ、足に変な感覚がする。
「あ、ごめんねー。…そっちのほうが汚れてたから」
そう言う万里花は反省の素振りも見せず、私の顔を指差した。
この状況を見てわからない人はいないと思うが、私、楯山芙美はいじめられている。クラスの権力者、白城万里花に。
いじめの理由は簡単、私がなにもできないクズだから。
顔は平均以下、勉強も出来ない、運動もできない。おまけに人と話すのが苦手で、少し空気が読めない。
私はよくあるいじめられっ子体質なのだ。
でもクラスメートは知らんぷり、先生も知らんぷり。
万里花はこの辺では有名な実業家の娘だから、あまり強く言えないらしい。いや、それ以上に"面倒ごとに関わりたくない"という気持ちが強いと思う。
「万里花、もうすぐHRだから座った方がいいかも」
その時、万里花の背後から美少女が歩み寄ってきた。万里花は振り返るとにっこりと笑い、
「亜未！…うん、わかった」
と言った。
万里花をたしなめた彼女の名前は鈴森亜未。私が万里花以上に嫌っている人間。万里花と席に戻っていく亜未は、万里花が言う私の悪口に困ったような微笑みでうんうん、と頷くばかり。
私はこいつが嫌いだ。いじめに加担していない、悪口を言っていない。だから無関係だ。なんて、偽善者もいいところ。
でも、私が亜未を嫌う理由はもう一つある。
それは——……