社会問題小説・評論板
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- 酷く歪んだこの世界で。
- 日時: 2016/01/06 13:06
- 名前: みるみる (ID: l8Wvg9Qa)
私は自分が嫌いだ。
短所なんていくらでも出せた。
短気、乱暴、お節介、早とちり、空回り、馬鹿、面倒な人格…上げだしたらキリがない。
学級委員を半年務め、生徒会役員に立候補した私はいわゆる「優等生」だった。つい、一ヶ月前までは。
「あ、書記サ〜ン」
「今暇ァ?」
廊下を歩いていると、三年生の先輩が声をかけてきた。確かバスケ部のヤンキーだ。
「なんですか?」
「いやあね?この前の俺らの仲間の借りを…ね」
そう言って先輩二人は私の腕を掴むと、強引に体育館に連れて行った。
抵抗する気もなかったし、もう全ては見えたので黙って引っ張られていた。
体育館に入った途端、私は片方の先輩に後ろから押さえつけられた。
「放して下さいよ」
「てめえこの前はよくもやってくれたな」
「ぜってえ許さねえ」
どこまでも深いため息をつき、目の前で殴る準備をしている先輩を蹴飛ばす。
「うおっちょってめえ!」
「餓鬼ですね」
私は倉庫から出されているバットを一本手にし、
「先輩なのに、思考は小学生以下なんですね」
──プラスチック製のバットを振り下ろした。
- Re: 酷く歪んだこの世界で。 ( No.1 )
- 日時: 2016/01/06 13:17
- 名前: みるみる (ID: l8Wvg9Qa)
「……ただいま」
玄関に入り、靴を脱ぐ。当然返事はない。
黙って自室にこもり、机の上に置いてある包帯を手にした。
制服を捲り、今日痣になったところに包帯を巻いていく。あの後私はプラスチックバットで先輩二人に打ち勝った。が、たまたまバットを落とした時に太股あたりを強く蹴られ、痣になってしまった。
いつもこんな感じだ。小学生の頃から喧嘩っぱやくて、よく他人に怪我を負わせては自分を責めていた。だから、中学校に入学したのを機に自分を変えようと思った。
優等生を演じ、誰にでも平等に振る舞ううちに自信もついてきた。それが、生徒会役員に決定した時に崩れた。
たまたま廊下で二年生の先輩と鉢合わせになり、その際に演説のことを色々言われた。言い方は明らかに私を馬鹿にしていた。だから、私はその先輩を
…………………殴ったんだ。
当然先生達にも話は行き、一時は生徒会を辞めさせようとしたらしいが、私は現に生徒会にいる。ただ、生活指導の先生には酷く怒られた。
狂ってるんだ、こんな世界。
狂ってるんだよ、こんな私。
狂気しかなくて、考えるだけで吐き気がして。
巻き終わった包帯を、静かに机に置いた。
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