社会問題小説・評論板

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譲り合い
日時: 2016/07/30 12:49
名前: タラ (ID: l8Wvg9Qa)

ここは私立桜園女学院。屈指のお嬢様達が通う名門校。

そして私は本郷愛奈。この学園の頂点。最早この学園は私のお城。

一般人より少しお金持ちなこの学園の生徒も、私から言わせればまだまだ庶民。本来ならばこの学園に相応しくない存在だ。

それでも私はみんなと仲良くしてあげている。馬鹿な愚民共と日々対等に接している。

私のすること1つ1つに、間違いなんてないんだから。

Re: 譲り合い ( No.1 )
日時: 2016/07/30 13:00
名前: タラ (ID: l8Wvg9Qa)

今日も朝はやってきた。

私、本郷愛奈は有名な本郷財閥の一人娘。日本でもかなり上位の権力と地位を持っている。
そのおかげで、今まで色々な贔屓はされてきた。例え周りにそれを不快に感じる輩がいたとしても、なんせ私は学園の頂点。全ての権利を私に預けた状態で、そんな愚痴を溢せる者などいない。

フカフカのベッドから起き上がり、いつも通り登校の準備をする。顔を洗って制服に袖を通し、リボンをしっかりと結んで等身大の鏡を見た。

ばっちりだ。今日も、いつもの美しい私。
自分の容姿に満足すると、私は部屋を後にした。

「お嬢様、おはようございます」
「おはよう」

廊下ですれ違う度に使用人と挨拶を交わし、食堂でいそいそと食事をする。食事を終わらせ、時計を見やると午前8時であった。

スカートを翻して玄関に向かい、使用人からバッグを受け取る。

「お嬢様、行ってらっしゃいませ」
私は使用人達に軽く会釈をして家を出た。

Re: 譲り合い ( No.2 )
日時: 2016/07/30 13:12
名前: タラ (ID: l8Wvg9Qa)

学校が見えてくる頃には、幾人かの同級生や他学年の生徒とすれ違う。
友達と仲良く登校する者も、1人で黙々と歩く者も、私を見ると立ち止まり「おはようございます!!」と頭を下げてくる。私はそんなことお構いなしに歩き続ける。運動不足にならないよう、余裕のあるときは歩いて登校するようにしていた。

教室の前まで辿りつくと、静かにドアを開けた。

「あ、愛奈様。おはようございます」
「おはようございます」
「おはようございます」

先ほどまで楽しそうに話していたクラスメイトは私を見ると口々に同じ言葉を唱えた。

私はそれを一瞥し、優雅に椅子に座った。

「愛奈様、おはようございます」
「あら、おはよう」

私の取り巻きである静香と瑠亜が話しかけてきた。

「あ、そうそう、静香。あの子を此処に呼んでいただけないかしら?」
「あの子と言いますと…」
「昨日話していたあの子よ。どうしても直接お話がしたいの」
「かしこまりました」

静香は教室を出て行った。

Re: 譲り合い ( No.3 )
日時: 2016/07/30 13:23
名前: タラ (ID: l8Wvg9Qa)

静香がいなくなった後、瑠亜が口を開いた。

「″あの子″、標的にするおつもりですか?」
「標的なんて言い方失礼じゃないかしら?ただ、仲良くしたいだけよ」
「それもそうですね、失礼しました。私も仲良くしたいと思っていたものですから楽しみです」

しばらくすると、静香が戻ってきた。

「愛奈様、お連れ致しました」

静香が強引に腕を掴んでいるのは、小柄で可愛らしい少女。

「貴方が、″西條綾″さん?」

私が名を口にすると、少女は肩を震わせながらこちらを見た。

「あ、あ…あい、な、さ…ま」
「気安く呼ばないでくださる?不愉快だわ」
「ごっごめんな、さ」
「謝らないで」

私は彼女を見つめ、

「西條さん?
 私、貴方のそういう態度、



 

 …気に入らないわ」

冷たく言い放った。

「…愛奈様、今週はこちらの屑ですか?」
「ええ。そうさせていただくわ」


私は椅子に座り直し、足を組んで口を開いた。



「今週は、こちらの西條綾さんと仲良くしましょう。」

Re: 譲り合い ( No.4 )
日時: 2016/07/30 16:57
名前: タラ (ID: l8Wvg9Qa)

1時間目は、体育だった。
私のクラスは2年2組。2組は3組と一緒に体育の授業を行うことになっていた。

─そう、西條綾のクラスと、だ。

「愛奈様、体育は3組と一緒ですね」
「西條綾にどんな悪ふざけしますか??」

着替えている間に、何人もの生徒が私にこう話しかけてきた。きっとご機嫌取りだろう。私の″悪ふざけ″に加担してお気に入りになれば標的にされないとでも思っているのか。本当に下衆の思考には呆れる。

「…静香、瑠亜」
「はい」

私が小さく2人に合図すると、着替え終わっていた2人は愚民の前に立ちはだかる。

「貴方達、邪魔よ」
「愛奈様は今着替えられているでしょう?目も見えないのかしら」
「それはおかわいそう。けれど馬鹿はいらないわ、戻って」

生徒達は口々に小さく文句を言いながら引き上げた。

「ご苦労さま。2人がいると、何かと助かるわ」

私のこの一言に2人は目を輝かせ、

「ありがとうございます!!愛奈様のために尽くしていこうと思います」と言った。
まあ、そんなのは放っておいて。

「行きましょう。もうすぐ授業が始まるわ」

私はうっすらと笑みを浮かべ、2人を促した。


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