社会問題小説・評論板
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- 隣の席のいじめ
- 日時: 2016/09/17 20:30
- 名前: モンブラン博士 (ID: dY5SyZjq)
もしも正しいことをしているのにいじめられたら、あなたはどう思いますか?
隣の席の子が自分の知らないところでいじめにあっていたら、どうしますか?
それはそんな物語です。
- Re: 隣の席のいじめ ( No.1 )
- 日時: 2016/09/17 21:06
- 名前: モンブラン博士 (ID: dY5SyZjq)
怠け者になりたいと何度も思ったことがある。しかし生来生真面目な性格のせいで、私は中学二年になる現在までに遊び人になることが出来ていない。
このまま宿題や親からくるプレッシャーに押しつぶされ気が変になってしまうかもしれない。だが他のクラスの連中は授業中でも適度に手を抜きスマホをしたり、近くの生徒と先生にバレないように小声でお喋りを楽しんでいる。
視力が悪いために一番前に座らないといけない私は、常に教師と睨めっこ状態であるため、とてもそんな真似はできない。もっとも視力が低下したのは漫画の読みすぎとアニメの見過ぎなので他人を責めることなどできないのではあるが。
だが、そうだと言っても気楽に授業を受けストレスを溜めこまない生き方ができる皆が羨まし過ぎる!
背筋をピンと伸ばして朝のホームルームの担任の話を聞くのが辛くなってきたところで、先生が言った。
「実は今日から新しくこのクラスの仲間になる子がいます。入ってきて!」
軽くざわついたところでガラガラと音を立ててドアが開き、ひとりの少女が入ってきた。
綺麗に三つ編みがされた柔らかそうな黒髪に丸眼鏡をかけた、いかにもインドア風な女の子だった。スカートの丈も長く履いている白靴下も他のクラスの女子と比較するとかなり長く感じられ、昭和の文学少女と言った印象を受ける。
彼女は担任の立つ教壇の隣に背筋を伸ばして立ち、口を開く。
「青森優子です。よろしくお願いします」
ぺこりと九〇度に頭を下げるその様子は見事の一言に尽きた。推測だが余程両親の躾が行き届いているのだろう。
「それじゃ、青森さんは緑川君の隣の席に座って」
「えっと、その方はどなたでしょうか」
「私だよ」
申し訳程度に手を挙げて、私は彼女を上目遣いに見た。
先日私の隣にいた女子が転校したのでちょうど私の席は空いている。
そこ意外に座る場所がないとは言え、よりによって私の隣とは。
ただでさえ女の子の接し方がわからず女子と関わるのを苦手としているのに、今回でそれに拍車がかかりそうだ。
かくなる上は極力必要最小限度の会話で済ませた方がよさそうだ。
青森さんは「はい」と短く返事をして、私の隣に腰かける。
「あの、緑川君……でしたっけ?」
「そうだが私に何か用かね」
「フォローしてくれてありがとうございました」
「別に大したことではないよ」
ここまで言ってHRが終わったので、私は青森さんから逃れるように教室を抜け出し図書室へと足を進めた。
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