社会問題小説・評論板
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- いのち─生きる道─
- 日時: 2016/10/27 19:22
- 名前: 茂片みづ (ID: l8Wvg9Qa)
人は、美しいものが好きだ。
私はというと、美しいものがすこぶる嫌いである。何故なら、死にたくなるからだ。
この美しい世界にあと何日滞在できるだろう?あとどれだけの時間が、私に残っているのだろう?
明日にでも、死んでしまうかもしれない。
そんな発想に、いつも胸が締め付けられるのだ。
だからこそ、貴方との出会いは美しかったんだろう。
「大丈夫、まだ生きられるよ」
「あたしは、明日死んじゃうけどね」
- Re: いのち─生きる道─ ( No.1 )
- 日時: 2016/10/30 00:01
- 名前: 茂片みづ (ID: l8Wvg9Qa)
その日の教室は、いたたまれないほどの侮蔑に満ちあふれていた。
君島愛は小さくため息をつき、目の前の光景を見つめる。そこには、複数人に囲まれて髪の毛を掴まれる少女の姿があった。
西条朱音。彼女は現在、このクラスの「食べ物」である。
弱肉強食。誰かがこの言葉を口にしたことから、このいじめは始まった。
強い者が弱いものを食べる。それはつまり、命…人格を否定するも同然だ。
そして、一ヶ月に一度の頻度で「食べ物」が決まる。その人物を決めるのは、このいじめの主犯格である山口沙樹。愛の中で、現在このクラスの色は朱音と沙樹、そして愛の3人だけだ。
「いたい…やめてっ…」
「あーマジ腹立つ。あんたそろそろ消えなよ」
朱音の調理が始まって、もう2週間。いや、朱音にとってはまだ2週間の間違いかもしれない。
「あんたみたいな弱者はさ、とっとと消えちゃえっての」
相変わらず、沙樹の無慈悲さには目を見張るばかりだ。愛は沙樹の友達─というより、裏番長というか、実はこのいじめに深く関わっているのは愛である。
だがしかし、愛は直接人をいたぶったりはしない。愛の嫌いなものは美しいものだ。死にたくなるほどの、美しいもの。いじめという残酷な行為は美しくなどない。愛は、人の絶望に満ちた表情、地獄へと歩むその過程を見るのが大好きだった。
だからこそ、美しくないいじめという行為を見物することを好み、最期に壊れていくターゲットを嘲笑うのが愛の趣味だった。
- Re: いのち─生きる道─ ( No.2 )
- 日時: 2016/10/30 00:21
- 名前: 茂片みづ (ID: l8Wvg9Qa)
今日も、東山中学校の二年三組は高らかな笑い声に包まれている。
皆面白そうに朱音を見やり、各々自分の持つゴミを投げつける。必死に腕でガードしようとする朱音を沙樹が蹴飛ばし、地面に倒れた彼女を更に踏みつける。
「あ、やば。先生来ちゃう」
沙樹が時計を見て小さく舌打ちをし、朱音を踏みつけていた足を退かす。
少し安心した表情を見せた朱音は、ゆっくりと立ち上がった。
その様子を眺めていた愛は、静かに教科書を閉じた。
「──えー、ということで、本日佐伯先生がお休みですので、皆さんキチンと自習をするようにー」
「よっしゃあ!!!」
「ほらそこ立たない。では、ちゃんと勉強するんですよー。仮にも来年は受験生なんですから、ね」
日頃から生徒に曲がっている、と笑われているメガネをきっちりとかけ直し、数学教師の雨宮は教室を去って行った。
今日は社会科教師の佐伯が体調不良のため休みらしく、自習の時間ができたクラスは大はしゃぎだった。
「モン◯トやろうぜ!モ◯スト!!」
「いちかちゃんもこっち来て−!話そ−!」
皆、授業中だということも忘れて席を立ったり、携帯を取り出したり、やりたい放題だ。
「愛」
聞き慣れた声が、愛の耳元に響いた。
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