社会問題小説・評論板

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

島唄−平和をください−
日時: 2016/12/07 16:52
名前: 冬憧 (ID: gZQUfduA)

初投稿なんでよろしくお願いします

島唄−平和をください− ( No.1 )
日時: 2016/12/07 16:56
名前: 冬憧 (ID: gZQUfduA)


「戦争のない、平和な沖縄が見たかった」


おばあが死ぬ直前に言った言葉だった。

ここは沖縄。

おばあが目指した平和な沖縄にはまだ、程遠い







バタバタバタバタ


遙か遠い、アメリカの地からはるばる来た米軍の飛行機がここ、沖縄に到着した。

基地に向かう途中私は飛行機が飛び交う空を眺めた。


夏休みは毎日基地に通う。

青い空、綺麗な海、広大な緑の真ん中に我知らぬ顔で佇む、私が沖縄で唯一嫌いな土地、米軍基地へ


なんでそんな嫌いな土地へわざわざ自分から出向いていくのか。


それは沖縄にすむものなら少なからずやること、

米軍基地反対運動を行うためだった。


毎日30℃を超える炎天下の空の下で子供から90を超えるお年寄りまでが座り込み口をそろえて叫ぶ


「米軍基地反対!米軍基地反対!」


そんな声など耳に入っていない…いや聞こえないふりをする作業員がただ黙々と基地建設用の機材を運ぶ


国という権力を前にしては非力な私たち一般市民の必死の訴えなんて目に入らないということだ。


でも、例え、何度でも追い返され、裁判にかけられようとも私たちはやるしかなかった。

おばあや先祖が戦争というつらい日々の中で守り抜いたこの美しい海と平和な沖縄を



おばあは18歳の頃戦争を体験した。

毎日くる飛行機の音と米軍にただただ怯え、いつ死ぬかわからない、自分が生きているのか死んでいるのかわからない。そんな生きた心地がしない日々を送っていたという。


戦争が終わり、ようやく平和な、飛行機の音を聞かなくていい、そういった日々を送れる…そう感じたおばあをはじめとする沖縄の人々の期待は大きく裏切られた。

日本に帰れず、ただ基地だけの島と化した沖縄はアメリカの占領下となり、戦争中と変わらず鳴り止まぬ飛行機の音。


日本に帰りたい。

自分が生まれ育った国。


距離は変わらないはずなのに違う国として存在している。

こんなのは嫌だ

日本に帰りたい……


そんな思いが沖縄をはじめとする日本の人々の中で高まり、1972年沖縄は日本に帰ってきた。


そんな中変わらず基地は沖縄にあった。

戦争が開戦してから沖縄に基地がなかったことは一度もなかった。


おばあはもう戦争を思い出させる基地や飛行機といったものはもう見たくなかった。



この話をおばあから聞いたのは私が五歳の頃。

難しくてよくわからなかったけど、あまりにも悲しそうなおばあの顔が忘れられず、それは今日までずっと私の記憶に残っている。


おばあが最後に言った言葉

平和な沖縄が見たかった


みせてあげたかった



今もなお授業を飛行機の騒音によって中断される日々

いつ飛行機が墜落するかわからない日々

米軍による暴力に怯える日々



今ある生活を守るために私は今日も基地に向かう


反対運動は正直怖い。

私のお父さんは反対運動をした結果国に訴えられ裁判にかけられたら


私もいつそうなるかわからない

工事のおじさんが怖い顔で私たちを力ずくでどかそうとする


怖い。

涙が出てくる。

でもやめない。

やめるもんか


国という大きな権力を持ったものが弱者の私たちを無視して強行的に事を進める。

こんなの間違ってる


私達はただ平和で基地のない沖縄に住みたいだけなんだ。


私たちは戦う


国という大きなものに立ち向かう



おばあが、皆が愛したこの美しい島を守るために


Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。