社会問題小説・評論板
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- 生きる意味
- 日時: 2017/09/27 14:50
- 名前: ? (ID: zjy96Vq7)
学校のチャイムが鳴った。「キンコーン、カンコーン」そのチャイムと共に「ドーン」「バリン」と音がする。また始まった、机を窓から落とす音だ。クラスメイトの鈴はいじめられている。その理由は明らかだ、目が見えにくいらしい。鈴は慣れたように2階から落とした机を運びに外に出た。窓から鈴の姿が見えたその瞬間クラスメイトの一人亮太が残った椅子を鈴めがけて思いっきり投げた、鈴の目の前に落ちた、亮太は「くっそ外れた!」と笑いながら言った、クラスの皆は大笑いした。僕はものすごく腹が立った心の中で憎しみ亮太のことを許さないと思った。太陽が雲に隠れ日差しが消え一瞬外が暗くなった、窓に映った僕の顔は笑っていた。自分の惨めさと悔しさで溢れ出した。鈴とは家が隣同士で幼なじみだ、幼稚園の頃にはよく遊んでいて仲が良かった中学に入り少しずつ遊ぶ回数が減り、中学三年になり鈴がいじめられ始めてから他人のように接してる。「ガラガラ」鈴が椅子と机を持って戻ってきた。亮太は笑いながら言った「こいつこのクラスにいたっけ?」礼子も笑いながら「間違えたんでしょ!」と追い打ちをかけるように言う。礼子は女子の中のリーダー的存在だ。鈴は静かに机と椅子を戻し何事もなかったように座った。僕は疑問に思った、「なんでこんなに鈴は強いんだろう」学校が終わるチャイムが鳴るとそれを測ったかのように雨が降ってきた
「ポツン」「ポツン」僕は友達といつものように帰っていた、目の前には壊れた傘をずぶ濡れになりながら持っている鈴がいた、友達が言った「あいつ目が見えないんだよね?キモくない?」僕は顔をひきつらせながら「そうだね‥」と言った、そして友達とは帰る方向が違くなりここで別れた。ここから家まではあと五分ぐらいかかる、目の前にはずぶ濡れになっている鈴がいるその微妙な距離感を取りながら帰っていた、僕は思い出した幼稚園の時鈴とまだ無邪気に遊んでいた頃を‥その思い出に浸りながら僕は重い口を開いた
「おーい!鈴!」鈴は振り向き泣いていた。大雨に濡れてるわけではない、大雨の中でも分かるぐらい目を真っ赤にして泣いていた。鈴も重い口を開いて言った「死にたい‥」その真っ直ぐな目と真っ直ぐな言葉は心の奥底に響き渡り僕は思わず頷いた。鈴は強くはなかった、弱かった‥。それは強く見せようとした幻想に過ぎなかった。僕と鈴は雨上がりの夜の学校に忍び込んだ。屋上に行き無数の星を見上げてる時も僕は感じていた。鈴は死のうとしてるんだと、部外者の振りをしていた僕にはそれは止められない。ただの傍観者に過ぎないからだ。鈴は重い腰を上げフェンスを乗り越えたその時だった。「リンリン」「リンリン」真っ暗な静かな暗闇の中で鈴の着信音が鳴り響いた。鈴はスマートフォンを見たそこには「お母さん」と書いてあった。鈴は生きたいという気持ちを抑える為に思いっきり泣きながらスマートフォンを屋上から叩きつけるように落とした。暗闇の中で光るスマホは「バン」と小さいようで大きい音をならした。鈴はこっちを見て笑った、そして無数に光る星を見上げたそれを後押しするかのように「ブォーー」と強風が吹いた。僕は思わず目を瞑った、その時にはもう鈴はいなかったその二秒後に「ドン」という音がした。その音は大きく耳に焼きつき、その瞬間まるで重い鉛が乗ったような気持ちになり息が荒れた。僕は荒れた息を戻すかのように心臓を抑えた。 僕は目が覚めたここは病室のベットだ、後から色々聞いた。鈴は飛び降りた後即死だったこと、いじめていた複数のクラスメイトは退学になったこと。僕はあの日のことを二度と忘れないだろう。
それから半年が経った日僕は慣れない高校の制服を着て学校に行った。
教室に入り自分の机に座ると周りの雑音と共に一つの言葉が僕の耳に響いた、「死ねよ!」笑いながらクラスメイトの一人が言った言葉だった。その言葉を聞いた僕はまた重い鉛がのしかかり冷や汗をかき拳をグッと握り締め生まれて初めて生きてる実感がした。