社会問題小説・評論板
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- 死ね、と言われたら。
- 日時: 2018/06/22 22:14
- 名前: 倫 (ID: vehLH22f)
もしも、ずっと仲が良かった友達に、
「死ね」
と言われたら。
あなたは、どう思いますか?
- 1話 入学式 ( No.1 )
- 日時: 2018/06/23 21:05
- 名前: 倫 (ID: vehLH22f)
小学校を卒業して、早3週間。
入学式の朝は、いつもより早く目が覚めた。
「おはよう、夏凛」
「おはよう」
下に降りると、お母さんはもう朝ご飯を作り終わっていた。お父さんは新聞を読んでいる。いつも通りと言ったらいつも通りだ。
朝ご飯を食べ、歯を磨き、制服に着替える。
真っ白なシャツの上に、真新しい紺のブレザー。チェックのスカートをはき、スクールバッグを持てば、もうどこからみても小学生には見えない。
「わ、まただ」
「あら、どうしたの?」
お母さんが礼服に着替えながら、お父さんに訊く。
「中学2年生の男の子が自殺したらしい」
「最近多いわねぇ。夏凛は、絶対人をいじめたりしちゃだめよ?」
「分かってるよ」
いじめなんか、くだらない。
そんなことしてる暇があったら、LINEしたり、YouTubeみたりしてる方がよっぽど幸せでしょ。
「あー、美紅と同じクラスになれるかなー」
「ちょっと、起きてからそれ言うの何回目?」
「多分3回以上は言ったと思う」
美紅は私の大・大・大親友!
小学校6年間ずっと同じクラスだったんだ。
「あと、絵未ちゃんと、莉々ちゃんと、奈々と……ねえ、誰も同じクラスになれなかったらどうしよう」
「誰かは同じクラスになるわよ」
「……そうだよね!」
うん、皆違うクラスなんてことはないはず!
だと、思ったんだけど……。
「おっはよー!」
「夏凛おはよ。ね、私と莉々1組だった」
へえ、美紅と莉々ちゃんは1組か。
「私は3組。奈々ちゃんは、2組だったよ」
ふうん。
じゃあ、確か今年は4クラスだから、4組以外だといいな。
「あ、夏凛は4組だったよ」
……え?
「それ、本当?」
「うん。玲とか、優星とかと一緒だった」
自分の目で確かめようと、掲示されているところへ向かう。
人の波をかき分けて、自分の名前を探した。
「やっぱり、美紅が嘘つくわけないか」
『1年4組 27 萩原夏凛』
私の名前は、確かに4組にあった。
美紅と莉々ちゃんの名前は1組にあったし、奈々は2組で、絵未ちゃんは3組だ。
「じゃあ、別々ってこと?」
「そう、だね」
同じクラスになりたかった4人は、皆悲しい目をしていた。多分私も、そうだったと思う。
「でも大丈夫だよ。新しい友達だって、すぐにできるって」
そう言ったのは、私と同じで一人になった奈々。
「だね。それに、クラスが違くても、友達じゃなくなったわけじゃないし」
絵未ちゃんも、前向きだった。
「じゃあ、入学式終わったら、一緒に帰ろう!」
美紅がニカッと笑った。
「うん!」
- 2話 初対面 ( No.2 )
- 日時: 2018/11/18 16:11
- 名前: 倫 (ID: dSN9v.nR)
教室の中には、見覚えのある顔がちらほらあった。でも、やっぱりぼっちは寂しいなぁ。
席に座って、ため息をつく。
早く友達、作らないと。
「ねえねえ」
「わっ! あっごめん、何?」
いきなりポンっと肩を叩かれ、話しかけられた。
「びっくりさせてごめん。私、田端小の藤沢理瀬(フジサワ リセ)」
その子__理瀬ちゃんがにこっと笑った。
「わ、私は萩原夏凛。垣見小」
ちぐはぐなツインテール。はっきり「可愛い」って言い難い顔。
でも、悪い顔には見えない。
「緊張するねぇ」
「そう?」
「だって皆の前で名前呼ばれるんだよ? 夏凛ちゃんは緊張しないの?」
「べ、別に……」
ガラガラガラ、とドアが開いて、若い女性が入ってきた。お団子頭で黒髪、パンツスーツ。はっきりとした目鼻立ちに眼鏡。……なんかキツそうだな。
「皆さん、おはようございます。4組の担任になった、樋口友香里(ヒグチ ユカリ)です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
樋口先生は理科の教師で、この学校に赴任して3年目だと言った。入学式関係の色々な話をして、私たちに出席番号順の二列で廊下に並ぶよう指示した。
出席番号順に並んで、体育館に向かう。教室は3階で、体育館への連絡通路が2階だから、ちょっと動く。
その時、前の子とその隣の子がひそひそ話をしているのが聞こえた。
「理瀬と同じクラスとかサイアクー」
え、理瀬ちゃん?
「あいつよく学校来れたよね」
「垣見小のぼっちに声かけてたよ」
垣見のぼっちって私?
さ、さりげなくバカにされた……。
「うわぁその子可哀想」
「しぃーっ、その子後ろの子」
「え?」
その女の子が後ろを向いた。
ぱっちり二重の可愛い顔。校則にギリギリ引っかからないヘアアレンジ。
理瀬ちゃんとは対照的だ。
「何見てんの」
「えっ、いや、別に……」
『理瀬と同じクラスとかサイアクー』
『あいつよく学校来れたよね』
理瀬ちゃん……何かしたのかなぁ。
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