社会問題小説・評論板
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- ある少女の話(深紅の復讐1)
- 日時: 2022/12/30 21:08
- 名前: 八神翼 (ID: 1/ByZBjN)
もう限界…死のう。
少女は屋上の淵に立っていた。
風が吹き、少女の服をめくる。
少女の白い肌には痛々しい傷がたくさん刻まれている。
少女が柵を越える。
その目は絶望で霞んでいた。
眼下には黒いアスファルト。
15階から落ちれば間違いなく死ねるだろう。
「ふっ……」
少女が笑う。
自虐的な笑いだった。
少女が足を踏み出す。
その瞬間、強い風が吹き、少女は目を瞑った。
目を開いた時、少女は目を疑った。
目の前、つまり空中に女の子が浮かんでいた。
ゆるい緑色のワンピースを着、緑色の目をしている。
何より目を引くのは身長と同じくらいの大きさの、「凶器」。
銀色でとても重そうだった。
その凶器は歪んでいた。
「ねえ、今死んで悔しくないの?思い残すことはないの?…復讐はしないの?」
少女の声は鈴のような声だった。
「え…?」
『簡単なこと。あなたには復讐したい人がいるんでしょ?その人に復讐すればいいのよ。復讐はあたしが手伝うわ。』
傷だらけの少女が顔を上げる。
胸元でサラサラと揺れるブランドの髪の毛。
白い肌に整った顔立ち。
目は緑色をしていた。
一目でハーフとわかる顔立ちをしている。
「条件があるんだろ?」
顔に似合わないぞんざいな口調。
『へえ…?意外と鋭いじゃない…。そうね、ただとは言わない。でも条件が何かってことも言わない。』
にこりと笑って答える。
「…誰がそんな不利な条件を呑むんだよ。」
傷だらけの少女は言い返して顔を背ける。
女の子は少し目を見開いた。
『あたしに、逆らうの…?』
「誰がお前に従うと言った?」
『…そう…?』
女の子が傷だらけの少女の腕を掴む。
少女とは思えない力に傷だらけの少女は引っ張られ、身体が浮く。
『今ここで死ぬか、あたしと契約して復讐するか。』
女の子が顔を近づける。
その口元は笑っているが目は笑っていなかった。
傷だらけの少女に悪寒が走る。
今までの人生で憎かった人たちの顔が強制的に思い出される。
「あああああ…」
少女の口から人とは思えぬ声が発せられる。
「復讐…スル…」
そう言う少女の目は白目を剥いていた。
『ふふ!良かった〜!』
女の子は少女を屋上に戻す。
『あたしの名前はルカ。ジングウジルカっていうの。よろしく、ルイさん!』
「…!?俺の名前…」
少女、ルイは何か言おうとしていたが、すかさずルカが消えた。
テレビを消すような消え方だった。
手首を抑えたルイは歯を食いしばり、身体の底から湧き出る怒りに耐えていた。
…彼女は操られているのだろうか?
それは、ルカのみぞ知る…
闇夜に少女の影が浮かび上がる。
…ルカである。
『ふ…ははっ!今回は何人の血を味わえるかな〜!』
歌うように言う。
狂気に満ちた顔で大口を開けて笑う。
『キャハハハハハハハハ!!!!!』
空気を切り裂くような笑い声が夜の闇に響く。
さあ、深紅の復讐を始めましょう。
【復讐第一夜~復讐の始まり~】に続く
作者より
返信くれると嬉しいです!
続編はまだまだあるので、どんどん描いていこうと思います。
八神翼を応援してください!