社会問題小説・評論板

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君のために謝ったんだよ
日時: 2024/12/14 19:02
名前: さくらだんご (ID: UgVNLVY0)

注意!!
この小説には以下のような要素が含まれます!
・いじめ
・オーバードーズを連想するような表現
・ホラー要素
・自殺シーン
それでも良い方は、ぜひお読みください
あとキッズの描いた小説なので、ね。下手です

















「謝る」
このような表現は、謝罪している・反省しているといった意味を持つ。
それに、謝り方も人それぞれだ。言葉で伝える、行動で伝える…etc…
だが、どう謝っても正解なのか?

Re: 君のために謝ったんだよ ( No.1 )
日時: 2024/12/14 19:09
名前: さくらだんご (ID: UgVNLVY0)

ある真冬の寒い日。周りには真っ白な雪が積もり、辺り一面が銀世界へと変わる。
そんな冬景色の中に、1人の女の子がいた。
1人は木ノ下 真由(きのした まゆ)。ここの街にある学校へ通う。14歳の女子中学生。地味な雰囲気だから優しくて、真面目で、とても'いい子'。
真由は、自転車で、銀世界の街を走り抜けていった。たくさんのビルを越えて、道を走って、毎日、毎日、遠くから学校に通っている。
そうやって、自転車で走ってるうちに、都内の中学校・A中学校に着いた。
少し洋風な、歴史あるレンガ造の校舎に、冬でも色とりどりの椿が咲く花壇。
真由は、そんなA中学校が大好きで、毎日、遠くから通い続けていた。
昇降口に入ると、綺麗にされた下駄箱がお出迎え。フローリングもいい香りがする。
真由は下駄箱から自分の上履きをとって、履いて、自分の教室へ向かう。
真由の教室は2-A。俗に言う2年1組。ここのクラスは、みんな優しくて、協力的で、楽しいクラス。

だと思ってた。今日までは…

ガンッ!
教室に入った瞬間、何か固いものが真由にぶつかった。
音のした方を見ると、学校から支給されたタブレットを持った瑠夏るかがいた。
タブレットを見ると勢いよくぶつかって画面がひび割れていた。瑠夏はびっくりして戸惑っている。
「あ…ご、ごめんなさい…」
真由は震える声で言った。すると瑠夏は顔を引きつらせて怒鳴った。

「酷っ!あんた何してんのよ!!このクズッ!」

……!?ッッ
真由は初めて「クズ」と言われた。今まで言われたことなかったのに。ここで、初めて言われた。
そのせいか真由は戸惑いを隠せず、あたふたして、困惑した表情をしている。
その顔を見て瑠夏はますます顔をひきつらせる。
「これ、13万もするのよっ!何してくれてんの!弁償よっ!」
瑠夏の言葉と共に周りのみんなが「べーんしょーう」と真由を責め立てる。
「ご、ごめんなさぃ…」
真由は今謝ることしかできず、ひたすら謝る。弁償できるお金もないし、代わりになるものもない。ただ反省してそれを皆んなに伝えることだけしか、今の真由にはできなかった。
それをいいことに、瑠夏は真由に言った。
「じゃあ、もっと謝りなさいよ。」
「…え?」
真由が今、必死で謝っているのに、瑠夏はそう言った。それでも周りの皆んなは「そーだ」と言って瑠夏を全肯定する。
「そうね、言葉だけじゃ足りないわ。ちゃんと動かないとね」
瑠夏はそう言って困惑している真由を揶揄する。
だが、真由には、それが本当のように聞こえてしまったのだ。
「…。はい。」
真由は小声で囁いた。瑠夏は予想外の反応に困惑している。
それからが、地獄の始まりだった。

Re: 君のために謝ったんだよ ( No.3 )
日時: 2024/12/15 13:27
名前: さくらだんご (ID: UgVNLVY0)

次の日。
学校が怖い。何をされるかわからない。
真由は怖くて、足がすくんでうまく歩けない。いつもは早く履ける上履きも、なんだかうまくはけない。
やっとのことで教室に着く。でも、ドアを開けるのが怖い。手が震える。
本当に怖くて、怖くて、…
(もう開けるしかないっ!もういいやっ!)

ガラッッ!

…?あれ、何にもない。
本当に何もない。いつもの教室だった。
(よかった…)
そう思ったのも束の間、瑠夏がまゆに話しかけてきた。顔は普通だ。
何を言うんだろ…。
「あ、真由。おはよう」
やった!普通だ。きっと、許してもらったんだ!
ほっとする真由に、瑠夏は少し顔を引きつらせて話した。

「ねぇ、今日トイレ掃除変わってよ。昨日の償いとして」

(あ…。そう言うことか)

真由は瑠夏の言葉で、自分がぱしられることを、悟ってしまったのだ。
これから、「償い」として、パシリにパシられ、終わったら…
でも、真由には今、この瑠夏から言い渡された「償い」をすることしかできなかった。
「…はい。」
____________________________________________________
キーンコーンカーンコーン
放課後。皆んなはもうゾロゾロ帰っていて、教室には真由以外誰もいない。
でも、真由は放課後、瑠夏のトイレ掃除を引き受けないといけない。
「はぁ…嫌だな」
そう呟きながら、真由は渋々と女子トイレへ向かう。
ゴム手袋をはめて、ほうきを持つ。
トイレ掃除は嫌いじゃないけど、なんか任されてると、嫌だな。
ほうきでゆかを履いたら、今度はモップだ。
「きゃあっっ!」
茶色くてガサガサしたモップの表面には、幼虫がびっしり、こびりついていた。
…だから瑠夏はやりたくなかったのか。今日のトイレ掃除。
真由は一個一個、死んだ幼虫を取り除いて、捨てる。
気持ち悪い…
でも、これが真由にできる。償いだった。

Re: 君のために謝ったんだよ ( No.4 )
日時: 2024/12/15 13:25
名前: さくらだんご (ID: UgVNLVY0)

それからも真由へのパシリは続いた。
宿題写させてとか、嫌なことを押し付けたり、机ふかされたり。 
今日は何をさせられるのだろう。
「おはよう。真由。」
瑠夏がフッと笑う。機嫌は良さげだ。何かいいことでもあったのか。
瑠夏は真由を見た瞬間軽い足取りでスマホを取りに行く。
しばらくすると瑠夏が戻ってきて、目が痛くなるくらいキラキラしたスマホをコチラに向ける。
画面には新作コスメのリップ。
「あのさー、これ、買って欲しいの」

(…あ、そうなんだ)

真由はまあまあ予想がついていたが、本当に物を買えと言われ、少し困惑した。でもこれも「償い」だ。タブレットを壊してしまっ自分が悪い。
「…買うよ。でもどこで買うの?」
真由がそう言うと瑠夏は少し苛立ってキツくしゃべる。
「そんなのもわかんないの!?ほら、近くにB屋って言う場所あるでしょ、あそこよ、あそこ!」
「…わかりました」
真由は渋々と引き受ける。
…そういえば最近、真由は敬語で話すようになった気がする…
瑠夏もだんだん怒りっぽくなったな…
___________________________
「真由!」
放課後のB屋前で、瑠夏は叫んだ。
「ご、ごめんなさい。」
「なにがごめんなさいよ!早くしなさい!」
ペコペコ謝る真由を、瑠夏は叱る。
2人が揃ったので、一緒にB屋に入った。
中には香水やらコスメやらがいっぱい並んで、オシャレとは無縁な真由には、とても真新しい空間だった。
店員さんも、明るい髪色をして、オシャレなメイクをしている。
(すごい…初めてきた)
真由がそんなことを思っていると、瑠夏が笑って話しかけてくる。
「真由ー!あったよ!」
瑠夏は真由のセーラー服の袖を引っ張って、新作コスメコーナーに真由を連れてった。
瑠夏は目の前のコスメを見てにっこり。その中から桜色のリップを指差した。
「え、は、8万?」
「8万って、8万よ」
値段を見て驚く真由に、瑠夏は平然と喋る。
「ほら、早く買いなさいよ。」
瑠夏は真由の手を勢いよく掴んで、リップの方に持っていく。
「ほら、早く!レジ行くよ!」
瑠夏が腕を引っ張る。すごく痛い。
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう、締め付けてくる。
「お客様、お会計ですか?」
気づけばレジの前に来ていた。茶髪の女の人がにっこり笑っている。
「あ、えと…」
「このリップぅ、この子が欲しいみたいでぇ、」
瑠夏は、店員さんに思いっきり嘘をつく。
「えーっと、8万円ですね。お支払い方法は?」
「げ、現金です」
真由はそう言って財布を漁る、だが…
(どうしよう…2000円しか、ない)
「あ、あの、二千円しか、ない…です」
「そうなんですか。またのご来店、お待ちしていますね!」
真由はそう言ってお店を出て行った。
その後ろ姿を、瑠夏は必死で追いかける。
「あんた!なにしてんの?」
パァンッ
「痛っ…」
右頬がヒリヒリする、瑠夏に叩かれたんだ。
「そんなこともできないとか、償う気、ある?」
ひどい言葉が真由の耳に入る。
真由は、償いきれなかったのだろうか

Re: 君のために謝ったんだよ(No.4) ( No.5 )
日時: 2024/12/15 17:56
名前: さくらだんご (ID: UgVNLVY0)

次の日。
澄み渡る晴空。こんな日は久しぶりだ。
真由はゆらゆらと昇降口に向かう。最近元気がなく、ふわふわする。
ガチャッ
!!!???
下駄箱には上履きがなかった。
(どうしよう!どこいったんだろ?)
必死に上履きを探す。他の下駄箱も、いろいろ探した。
やがてゴミ箱を漁っていると…
「え!?なんでここに私の上履きが…」
生ゴミの奥には、真由の上履きが入っていた。
鼻水やゴミ汁で汚れ、何より、臭う。
「汚い…」
なんでこんなことしたんだろう、誰がしたんだろうと考える。
…瑠夏か。
瑠夏しか考えられない。
昨日あんなことしたからだ。ちゃんと「償い」ができなかったからだ。
教室に入るのが怖い。
本当に怖い。
これが瑠夏だったら、毎日こんなことやられるのかと、心配になる。

--5分後--

やっと教室の前までこれた…
真由はドアを握る。
ガラッッ!
「あ、ゴミ真由が来たよ」
「このゴミ真由め、近づくな!」
「タブレット壊されたんでしょ、かわいそー」
真由の耳にひどい言葉が飛び込んでくる。
タブレットのことを言ってると言うことは、瑠夏がやったに違いないだろう。
ひどい言葉を言われ悲しんでいる真由の前に、瑠夏がきた。
「まーゆ。おっはよ」
にこにこしながら真由に近づく。一体なにをするのだろうか。
ボゴォッ
「グハアッ!」
「あんた、今日から本格的に償ってもらうから。よろ。」
真由の顔を殴る瑠夏は、にっこりして喋る。
「まあ、当然だよね。タブレット壊したんだもん」
「…はい。」
真由は、我慢した。
______________
それから一週間、真由の「償い」は続いた。
机やバックは全部汚され、身体中あざだらけ。
近くを通れば、顔をこわばらせ、罵られ、叩かれる。こんなことは日常茶飯事だった。
今日はなにをされるのか…
震える手で教室のドアを開ける。
ガンっ!バッシャーン
「…!?」
手を見ると、水がかかっている。よく見たら床も水浸しだ。
そして、前に落ちているのは、トイレと書いてあるバケツ。
「見て見て!汚水爆弾だいせーいこーう!」
瑠夏の大きな声と共に、みんながゲラゲラお腹を抱えて笑う。
ああ、トイレ掃除の水か。
トイレの床が汚いから、それを掃除したモップを洗って、汚い水をかけたのか。
真由は水浸しのまま、ゆっくりと自分の席へ向かう。
もうどうでもいいのだ。
「は!?ちょっ、あんたさ、それでいいの?」
瑠夏は少し焦っている。バレるのが怖いのだろうか。
「おい!拭けよ!これで!」
瑠夏は焦り声で近くにあった雑巾を真由に投げる。
それを周りの子が急いで持って、真由を拭く。
でも真由はもうそんなの気にしてない。
真由の中には、諦めが9割と、「助かるかも」の希望が、1割あるだけだった。


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