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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【色々】暗い、喰らい、Cry【短編】 ( No.185 )
- 日時: 2010/12/04 22:25
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: abkT6QGo)
- プロフ: おっさんを抱きt————
「……えんど、う」
微弱な声で呼ばれた名は、紛れも無いアイツの名で。呼ぶなと念じていた俺の願いは呆気なく神様に却下されたっぽい。だから、俺の心にいる神様を足蹴にするという想像をしてみた。だけど、そんなのしてみても、現状は変わらない。現在、俺は圧倒的不利。
「でも、俺、俺は、えと、えっと……」
コイツが口に出来ない言葉を、俺は知ってる。コイツが担ってきた重みも、感情も、責務も。だからこそ、わざと大きな大きな溜め息をしてみせた。
「……だろーな」
「きッ気付いてたのか!?」
「当たり前だばーか」
くくっと喉の奥で笑い、目を細める。さっきまで恥ずかしさ有頂天だったコイツは俺の笑みを不快そうに見ると、気まずそうに閉口した。気まずそう、っていうか切なげって方が似合う顔だったけど。
「…………お前さぁ」
俺はそんな顔を一瞥、空を見上げながら白い息を吐いた。コイツの水色の髪とこの冬空は、似ている。妙なデジャヴに囚われつつも、更に言葉を続けた。
「辛くねぇ?」
沈黙。ちらりと盗み見してみる。すると、核心をついたその言葉に、コイツは肯定も否定もせず、ただ赤い鼻をマフラーで隠していた。そして一言。
「…………知らねー」
あ、そ。
■冬空の下、第三者との会話から
まぁ、お前のことはどーでも良いけど。
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