BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【色々】透明サイコロジー【短編】 ( No.196 )
- 日時: 2010/12/31 22:11
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: jbwgUQwv)
- プロフ: 今年もそろそろっすね
「頑張って頑張って頑張って。それでも掴めなかったものは何だ?」
外はすでに夜の帳が下りていた。濃紺の空と共に、窓からは白い光が薄っすらと差し込んでいる。俺は答えもせずに、彼に押し倒されたまま視線を空中へと仰いだ。強かに打ちつけた背骨や、現在進行形で掴まれている両肩は、インドア派の俺にはちょっと厳しい。
なぜか、仕事場の電気は消えている。何でだったっけ、と仕事疲れで鈍った思考の中で考えてみた。が、思い出せないので途中でストップ。
「お前はいつも何でもないような顔して、亜豆ばっかり見てるけど。俺のことなんか、って感じだけど」
彼の言葉だけが、俺の鼓膜を支配する。恨むような、責めるような彼の調子。俺はたいした罪悪感も覚えずに、無言で突き通す。……知ってたことを、理解していたことを何度も責められても、困るから。
目の前の彼が、ひゅっと息を呑んだ。窓を開けているので、冷気が俺達を取り巻いている。すっかり体は冷えてしまった。
「ほんとは」
震えた声。と、両肩を掴む彼の手が一瞬緩んだ。それをきっかけに、俺は冷たい床に手をついて、軽く上半身を起こす。そうしてやっとのことで、俺は彼の表情を窺えて。
「…………ホントは、俺が一番大事なんだろ? 知ってるさ、それぐらい。だって、お前は————」
————俺のことが。その言葉と一緒に、俺の頬には何か冷たい雨が降ってきた。冷たい雨は惜しみなく、けど弱弱しく、俺の顔を濡らした。そこで俺はようやく、
「欲しいものが、」
掠れた声を発することが出来た。「手に入らなかったのは」。途切れ途切れの文章だけど、この冷たい空気にはよく響いた。冷たい空気に、冷たい雨。冷たい態度の俺に、冷たい雫を流す彼。……そろそろ、温かさを欲しても、良いんじゃないか? 1人心の中で、そう問いかける。答えなんて、誰にも求めないままに。
小さく息を吸い込んだ。
「……頑張っても掴めずに、欲しいものも手に入らなかったのは、お前だろ、シュージン」
■冷たい指先は、君の心に直に触れた。
(そうかもなぁ)
涙を浮かべながら、そう小さく苦笑したのは誰だったっけ?
————————————
バクマン。より、最秋最 てかどっちが攻受かわかんね!