BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【色々】透明サイコロジー【短編】 ( No.205 )
日時: 2011/01/06 00:09
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: jbwgUQwv)
プロフ: ふわもこファーのコートが欲しい今日この頃。臨也さんのが欲しい。

 煙草のようだと比喩されたことがある。
 今まで、鰐のようだとか、白馬の王子だのと言われることは多々あったが、煙草だなんて比喩されるのは初めてだった。ここで反応するのは何だかフラミンゴ野郎に話しかけるようで嫌だったので、とりあえず俺はその言葉の先を静観しておくことにした。

 「居たら居たで俺の神経をぼろぼろのずったずたにして、俺に害を与えてよぉ。 近くにあったら手に余るの何のって」
 「……じゃあテメェが俺から離れれば良い」
 「そーいう訳にはいかねぇんだなぁ、鰐野郎」
 「あぁ?」

 あぁ————ついつい、罵倒するコイツに反応してしまった。俺は若干の自己嫌悪と後悔をしながら、どすの効いた疑問符を返す。そこまでして、また俺はフラミンゴ野郎と会話しようとしていることにはっと気付き、自己嫌悪のリピート。
 俺の態度を見ると、フラミンゴ野郎はにたりと不愉快な笑みを浮かべた。そして話の続きを言うために、また笑う。

 「煙草っつーのは中毒性があるだろぉ? いる時には扱いが困るのに、いない時はいない時で俺をイライラさせるんだなぁコレが」
 「……それが俺だっつーのか、フラミンゴ野郎」
 「ああ」

 突然、にゅっと視界にフラミンゴ野郎が入ってきた。それも大画面でだ。俺は相手に見せ付けるように、視線を鋭くすると、顔を背けた。何だか、答えるのがとても面倒になったからだ。……それがこいつの言葉のせいかどうかは知らないが。

 「おい、鰐野郎」

 と、目の前のコイツは俺の顎を捉えると、口付けを交わそうと顔を近づけてきた。ふわりと、独特の酒や女の香りが鼻を掠める。あまりにも突然で、俺は不快感を隠せずに眉を顰めた。少しの焦燥を気取られないようにと、不敵に笑んでみる。

 「…………てめぇ、俺と居たら中毒になるんじゃねぇのか」
 「はぁ? 何言ってんだ鰐野郎」

 フラミンゴ野郎の呆れた声。腹が立つ、と奥歯を噛み締めた次には、何故か俺はフラミンゴ野郎の腕の中にすっぽりと収まっていた。まるで、さっきの言葉なんて無かったかのようにして。笑いを噛み殺しているような声で。

 「俺はとっくに毒されちまってるから、今更そんなの関係ねぇんだよ」


 ■俺は彼の煙草のようです


 俺の世界は今、ピンクに埋め尽くされた。