BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 仏→普 学パロ、女々しい兄ちゃん ( No.222 )
- 日時: 2011/01/15 17:53
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: jbwgUQwv)
- プロフ: ※ジン名※現代学パロ
今日は結構運が良い日だと思う。天気は快晴。寒くもなく暑くもない気温。しかも授業は3時間で、今は昼休みだ。それに、御兄さん手作りの弁当を広げていたら————幸せの極みとしか言いようがないよねぇ、なんて。1人で自画自賛して、悪友2人と箸をとる。頂きます。粗暴に見えるこいつらも、実はすごく礼儀正しいのだ(いや、喧嘩っぱやいとかそういうのはナシで)。
「うおー、フランシスーこのハンバーグ美味すギルぜー!」
ん? そお?
こっそり恋心を抱いてるギルちゃんから、賛辞の言葉が。御兄さんは手に箸を持っているけど、あえて弁当には手をつけない。何しろ、こいつらの喜ぶ笑顔こそが御兄さんの昼飯だから。……なーんちゃって!
「フランシス、何にやにやしとんねん? ……あ、ギル! それ俺の卵焼きや!」
「ケセセセセ! 早いもの勝ちだっつーの!」
ぎゃあぎゃあと弁当の中身を取り合う2人に、生暖かい視線を送る。2人はそれに気付かずに、御兄さんの弁当を舞台に戦いを繰り広げていた。でも、ほとんどアントーニョが勝っている。ギルちゃんは初めの卵焼き以外、狙ったものはひょいひょいとアントーニョに横取りされてるみたい。
……まぁ、御兄さんは可愛い女の子の味方ってことで。
「ギルちゃん、はい唐揚げ。御兄さんの自信作だよー」
「あ、ギルずるっ! 卑怯や! フランシス、俺にも俺にもっ」
自分が口に入れようとしていた唐揚げを御兄さんに取られたアントーニョは、箸を持って必死に講義。だけど、ギルちゃんは俺の方をきらきらした目で見つめた後、唐揚げを一口で食べた。そんで、きっとアントーニョの方に振り返って、叫んだ。
「駄目だっつの! フランシスの料理は全て俺の!」
「な、何やて! それずるい、俺もフランシスのご飯食べたい!」
爆弾を放られた、気がした。
本人は何でもないような顔で、平然とポテトサラダへと視線を向けている。それとは真逆に、俺は。心臓バクバクの中、ぎゅるぎゅると混ざっていく嬉しさと喜びの中から、一つの冷静さを一生懸命取り出して。
「……ギルちゃん、女の子なんだから食べてる最中に喋っちゃ駄目だよー」
何とか言った。こんなんで真っ赤になるとか。
あー、俺って女々しい。1人で苦笑した。
■その一言が、ね。
「美味いんだから良いじゃん」
にひひと笑って、返された。