BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【色々】透明サイコロジー【短編】200企画中っていう。 ( No.234 )
日時: 2011/02/16 19:45
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: zi/NirI0)

 今年も例年通りに町は愛の色で溢れている。若い子たちが照れつつも一生懸命に自分の愛情を伝えようとどぎまぎする姿、親子や友人同士で普段の感謝をこめた笑いをみせる姿————この季節は、そんな姿ばかり見かける。自分が若かった頃は色々あったせいでこのような行事は行ったことがないので、正直、内心羨ましかったりする。
 だが、だからと言って……
 「……この年齢にもなって、チョコは恥ずかしいだろうが」
 「そんなこと無いっス! 承太郎さんならばりばりオーケーっス!」
 「お前の中の私は妖精か何かか?」
 「はい」
 何かもう人間の言葉が駄目というか、理解の範疇を超えているのでスルーしておいた。何で私は妖精扱いなんだ、そもそもこんな大人を前にして妖精発言ができる仗助に素直に呆れる。私の前で両拳をグッと握ってバレンタインのチョコの重要さを力説する仗助。このままずっとここにいられるのも迷惑(いや論文書かなくちゃならん)なので、はぁと深いため息をわざとついて一言だけ述べた。
 「………………じゃあ、今日の夜に私の部屋に来い……ちゃんと(チョコを買っておく的な意味で)用意しとくから…………」
 「え、ま、マジっスか! まさかそこまで俺の言葉が承太郎さんのハードルを上げていたとはッ……!? わかったっス、俺も男。承太郎さんの用意(性的な意味=私を食べて的な感じ)を心待ちにしておくっス!」
 「……………………(何か勘違いされてるけど面倒だから放っておこう)」

         ————————仗承(♀)







 オレンジの道を1人で歩いていると、ふと背後に誰かがいた。振り向いてそいつの顔を見た時、やっと自分の名を呼ばれたことに気付く。マフラーを巻いているせいで首元がごわごわするけど、温かさには変えられない。首のみを後ろに向けるという少々辛い姿勢のまま、口を開いた。
 「……ヒロト?」
 「っは、風丸さん」
 これも今気付いたことだけど、どうやら彼は猛ダッシュをしてここまで来たらしい。彼の荒い息遣いと赤い頬、額の汗がそれを物語っている。何でだろう、という疑問符が脳内を占めて行く。 
 「どうしたんだ、もう皆帰ってるはずでしょ」
 「いや、ちょっと君に用事っていうか、補足っていうか。ささやかなプレゼントフォーユー?」
 「意味が微妙に理解出来ない……」
 だろうね、と苦笑して何かを放られた。小さい何かを。反射的にそれを両手で受け取る。赤い手袋をはめた両手の中には、小さな箱があった。しかもラッピング済み。え、どういうこと?
 「君さ、今日みんなにチョコあげてばっかりで、貰ってないでしょ?」
 「あ、うん」
 「だから、チョコレートあげる」
 にっこりと綺麗に微笑まれた。何だ、そのためにここまで、帰り途中の私を走って追いついてきたのか。今の状況を速やかに整理する。そして、2メートルぐらい離れたとこで、真っ赤な鼻をして笑うヒロトに目を向けた。何だよ、嬉しそうに笑うなって。こっちは顔が緩みそうになるの、必死にこらえてるんだから。

         ————————ヒロ風(♀)




■2月14日の何処かの誰かと2月15日の何処かの誰か②