BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

DIO←承(♀) 博士と孔雀パロ ( No.238 )
日時: 2011/02/17 22:20
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: zi/NirI0)
プロフ: うおおおおおおお承太郎たんうおおおおおおおおおお

 彼が私のことを愛していないのは、明白だった。
 初めはなぜ彼が自分を抱くのかが理解できなかった。だけどそれが3、4回続くと、単にジョースター家への憎しみや苛立ちをこんな形でぶつけてくるんだろうと妙な納得をしていた。スタンドを使ってみたりばたついてみたり、毎度意味の無い抵抗をしていたのに、そう考えると何だか抵抗する気も失せた。単純に面倒になったのもあるが。
 そんな夜が何回も何十回も続いてくると、彼の表情や様子を感じ取るが出来るようになった。はっきりとしたものは分からなかったが、何となく。あれは月の無い夜だった。
 いつものように乱暴にベッドに投げ出された格好のまま、静止している彼の顔を見たのだ。真っ暗な空間の中で、彼の表情だけははっきりと見えた。彼は私を見ていなかった。その瞬間、私はようやく理解できたのだ。彼は私ではなく、私を抱いていたのではなく、何百年も前の————彼の最愛の人に触れていたのだと。何度も何度も、戻ることのない愛と消えることのない喪失感を味わっていたのだと。

 「もっと、近くに寄れよ」

 ——————何で私に背を向けるんだ? それは、まだお前が過去のアイツを好きだから? 私が、アイツの子孫だから?

 「どうか、見捨てないでくれ」

 ——————もっともっと、愛してくれ。もっともっと、近づいてくれ。昔の恋人なんていう思い出に、私を当て嵌めないで。私を見て欲しいんだ。皮肉にも、私はお前を愛しすぎているのだから。

 「愛する人には、なれないけど」

 ——————お前に触れていたいんだよ。お前のその唇に触れて、キスしてみたいんだ。

 「だから、なぁ」



 
 ■そして彼女は立てなかったので。




 「私と…………ずっと、此処にいてくれ……ッ……」