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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- ■ガゼ→バン 暴力描写有 ( No.257 )
- 日時: 2011/03/06 00:20
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: zi/NirI0)
- プロフ: 子・作・りしまURYYYYYYYYYYYYYYYYY
じくじくとした痛みが右腕を支配する。手首の辺りを切られているせいか。これが俗にいうリストカットという奴なんだろうが、自分の意思なしに行われるそれはただの暴力としか受け取ることが出来ない。生涯感じたことの無い痛みに、悲鳴を噛み殺したままバーンは荒い息をついた。痛い。意識が朦朧とする中で、そのワードのみがバーンの脳内にひしめいていた。
「テメェ……ガゼル……」
「それじゃ……その名前じゃだめなんだ、はるや」
捨てたはずのバーンの名を、ガゼルは呟く。薄暗い部屋の中で鈍く光を放つ銀色のナイフ。銀のそれを片手にし、ガゼルはさらにバーンの喉元に刃を宛がう。当然のように、刃の冷たさを喉に感じたバーンは口をつぐんだ。
「おまえが私の名をわすれたら、私はどうなるんだ」
暗闇の中で、バーンはガゼルの顔が見えなかった。だけど、ガゼルの言いたいことは何となく感じることができた。同時に、彼が自分に望んでいることも。小さく息を呑むと、暗闇の中に溜まった生暖かい空気が肺を汚した。砂を飲んだようなざらざらとした声が、ガゼルにとっての甘い妄想を映す。
「……忘れね、ェよ……馬鹿風介……」
抱きしめようと伸ばした手から滴る赤は、現実のように苦かった。
■ドント・フォーゲット
(忘れないでくれ、)(お前と私が笑顔でいられた、あの瞬間を)
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