BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

■上イン 22巻ネタバレ 捏造 ( No.264 )
日時: 2011/03/17 23:54
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: uHvuoXS8)
プロフ: 最高に『ハイ!』って奴だァ!!

 白いシスターは、茜色の空へと話しかけた。窓から見える風景は、まだ一ヶ月程しか経っていないというのにひどく懐かしくて。だけどその懐かしいという記憶は、今まで自分が見たどの風景にも当てはまらない。より余計に上条当麻という少年が恋しくなった。

 「ねぇとうま」

 空に呼びかける。返事はない。当たり前なのだろうが、白いシスターはそれを気にしなかった。まるで空に続く、遠い誰かを想うようだった。ぼんやりとした表情で、赤くなった鼻をすする。白い修道服の袖が、涙の跡で汚れていた。

 「私ね、とうまがどこにいるのかなって考えてるんだよ」

 だけどね、と少女は続ける。外から、開け放した窓へと少し肌寒い風が吹き込んだ。白銀の長髪が少し揺れ、少女は顔の横でなびく髪を耳にかける。その際に、涙が流れ乾いた頬に人差し指が掠った。

 「でもねとうま、どこにもとうまはいないんだよ」

 おかしそうに、けれど寂しそうに頬が緩む。
 少女は茜色の空を惜しむように、窓の桟に手をかけた。

 「ねえ、とうまはどこ?」



 ■教えてよ、神様!



 少女は知らない。
 少女の知る彼はすでに、どこにもいないということを。