BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 源→不(♀) 生理ネタ ( No.266 )
- 日時: 2011/03/18 22:30
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: uHvuoXS8)
- プロフ: 最高に『ハイ!』って奴だァ!!
■好奇心は猫を更に疑問符の海へと突き落とした、
腹の中心に漬物石を入れているような、ずっしりとした痛み。きりきりと自己主張が激しい鈍痛は、私を渋い顔にさせるのには十分過ぎる。女とは不便なものだ。何が、とかどんな風にとか、そういう細かいことは言わないけれど。とにかく面倒だ。もしかして今、私の体内では沢山のナイフが蠢き、胃腸を傷つけているのではないだろうか。流れ出てくる血は、そのせいなのではないだろうか。
(……あー、鬱だ)
本日何度目かの溜め息をつき、握り拳を目の前の彼の頬へと振りかぶった。当然の如く気付かれ、その手はぱしりと彼によって受け止められたのだが。いつもと違うへなちょこパンチじゃあ、彼の顔を苦悶にゆがめさせることは出来そうにない。
「ちょ、不動、痛い痛い」
「るっせ」
重い下半身を彼の近くへと引きずり、動かすのも億劫に右足で彼の足を踏み潰す。ぎゅりぎゅりという靴裏とスニーカーのゴムが擦れる不愉快なノイズ。足を動かす度に内臓が悲鳴をあげているようで気持ち悪くなったので、すぐにやめたが。
あー、鬱だ。鬱という言葉は楽だ、不謹慎だと責められるだろうが。自分の鬱屈な感情は、腹部にある痛みと同じで内側に篭っている。ああ、これが外へ全て出せたら良いのに。冷めた瞳でつま先を見つめる私に対して、彼はただ「痛い……」と呆然と呟いていた。彼は若干涙目になると、意味分からないとでも言いたいような表情で私に疑問を投げつけてきた。
「……何で不動、今日そんな機嫌悪いんだ?」
「んー?」
この痛みを知らないお前に何を言えと。性行為と一言言うだけで真っ赤になるお前に何を告げろと。純粋過ぎるというか、最早鈍感な彼に言葉を変えさず、私はお腹に手を当てた。まだ痛みは続いている。ずきずきと、ずきずきと。それはまるで私の苛立ちのようで。
「内緒、だっつーの」
お前に言っても何も変わらないなんて、分かってるから。