BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

ジョル承→dio  ( No.269 )
日時: 2011/03/18 23:18
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: uHvuoXS8)
プロフ: 最高に『ハイ!』って奴だァ!!

 ジョルノに押し倒された時、俺は何を感じたのだろう。きっと、彼の荒々しさを思い出したんだろう。しかしジョルノは彼のような、獣のような獰猛さは無かった。俺をベッドの中心に仰向けにしたまま、無言だった。服を脱がせることも、キスをすることもなく。何かあったかといえば、俺の頬にぽたりと雫が落ちてきたことぐらいか。いつもは強気に、俺には敬語を使い礼儀正しい、気丈に振舞うジョルノが初めて本音を零したぐらいだ。

 「承太郎、」

 ブルーの瞳から流れ出るそれは宝石のよう。ぽろぽろと頬を伝って俺の瞳へと降り落ちてくるそれは、遠い彼の残滓。だけども違う、それにはジョルノ自身の深い思いと願いが詰まっている。嗚呼、何だ。こんなところにまで、俺は彼を感じてしまっていた。彼はいないのに。目の前のジョルノはジョルノで、決して彼の代用品などではないのに。……なぁ、どうしてだろうか。俺が彼の欠片を捨てきれないのは何故だろうか。

 「ぼくを、みてよ」

 お前の欠片を拾って両手を一杯にしたならば。俺は気付かない間に、彼の欠片を過去に落としていくことが出来るのか?

 「俺はお前しか見ていないから、安心しろ……ジョルノ」

 愛してるなんて甘い言葉は吐かねぇよ。俺の言葉にお前が安心して笑っていても。俺の中に彼の欠片は残って、今でもちくちくと心の片隅を傷つけているんだから。じくじくとした痛みは、俺の瞳と彼の瞳に泉を作る。ずっとずっと湧き出てくる、涙の泉を。

 (なぁジョルノ、お前は俺を見ていてくれよ)



 ■そして君は欠片を捨てる(、そのことにどんな意味があるのか知らずに)



 お前が俺を見ていないと、俺は彼の欠片を拾ってしまいそうになるから。