BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

オリジナル 百合 別れ ( No.287 )
日時: 2011/04/15 21:30
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: uHvuoXS8)
プロフ: 古川PさんのAliceを小説化してみたの結果。残念。

 ——これはこれは、遠い遠いお話。
 彼女は思いついたように語りだした。夕焼けの色に浸された空間はオレンジとなっていて、夕日を眺める彼女の横顔も明るく照らされている。そんな彼女の横顔を見るのも、今日が最後。新学期になればいなくなるであろう彼女の横顔をまじまじと見つめて、私は次の言葉を待った。

「いつか、僕が深い森に落ちたなら。きみは、一人で行くんだぜ」

 彼女とつないだ手には、柔らかな体温が灯っていた。突き放すような彼女の言葉に対して私は何も言えずにいた。と、彼女の細い指がゆらりと私の指から解けた。ひゅっと息を呑んだ音が聞こえた。

「きっと、枯れた音色の鐘が鳴るだろうから……きみは一人で、行くんだぜ」
「…………貴方は、貴方はどうするの?」

 夕焼けがまぶしい。自分のことを僕と呼ぶ、少しだけおかしな性格の彼女はくすりと微笑んだ。何で笑うの、悲しくないの、なんてたくさん疑問はあったけど私には訊くことはできなかった。

「僕も独りで行くんだよ?」
「嘘」
「……ごめんね、嘘。あー、やっぱ君には届かないなぁ……」
「わかってるくせに」

 くふふふ、と小さく笑うと彼女は悲しげな表情になった。
 ——何で君が笑うと私が悲しくて、私が笑うと君は笑うんだろうね。体内から湧き上がる疑問を小さくちぎって、道端に捨てて、それでも私は彼女と話す。

「嘘をつくことも、もう疲れたからね。だから僕は遠くへ行くよ。…………君と、黄金の部屋でいたことを忘れないから、安心して」
「それで、終わり?」
「うん。それだけの話」



 ■Alice



 きみは、ひとりで、ゆくんだぜ。